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米企業は借金まみれ。2019年の世界経済を大胆予測する座談会

米中貿易戦争が勃発した2018年。年末に株価が大きく暴落したことで不透明感を増す2019年はいったいどのような年になるのでしょうか。メルマガ『国際戦略コラム有料版』では、著者の津田慶治さんが、同コラム執筆者の一人であるF氏と毎年恒例の座談会を実施。日本に大きな影響を及ぼすアメリカの経済動向から、日本の株価と政治経済、さらには中露勢力の拡大まで大胆な予測が展開されています。

年始恒例企画「2019年以降を予測する」

T(津田慶治=以下、T)、F(F氏=以下、F):今年もよろしくお願いします。恒例の2019年以降の予測を行います。

T:2019年は、どのような年ですか?

F:平成が終わり、新しい時代になるが、2019年は難しい年になる。株式市場も弱気相場になり、短期取引で、かつAI高速取引になり、値幅が大きな取引になる。突然流れが変わるなど、個人客が近寄れない相場になるようだ。しかも、米政府や日銀などの意図的な株価操作も増えくる。

また、景気指標は悪くはないが、逆資産効果で徐々に悪くなる。FRBも利上げできずに、利下げということにもなりかねない。米国は、景気後退になり、景気を上げる政策を取る必要になる。貿易戦争で中国経済を壊すことで、米国の景気も悪くなるので、どこかで、折り合うことになる。米中ハイテク冷戦になる可能性はあるが、貿易を完全に止めることはない。

そして、マティス国防長官を切ったことで、トランプ大統領は、本来の自分の政策を行う環境にした。軍産・金融業界の人間を切り、産業資本の人間に換えている。株が暴落すると、金融機関の倒産が出てくる。これを助けない。このため、金融資本主義を駆逐することになる。金融資本主義は、多くの国民の所得を上げない。一部の金持ちだけが得をすることになり、貧富の差が拡大した。
米国民を不幸にしたのは、新自由主義と金融資本主義である。その上のグローバル化で世界のフラット化やイノベーションなどの重要性も見直しがかかる。今まで正義と思われていたことが悪いことになる。これらが、米国民の幸せにつながらなかったことによる。

クリントン大統領の下、ローラ・タイソンが1990年代に日本を潰して、米国に製造業を復活するとしたが、残念ながら製造業の復活ができなかった。このため、IT企業と金融資本主義にシフトしたが、その限界点に来たのがリーマンショックであり、その後、FRBの量的緩和などで負債を政府が肩代わりして、金融資本主義を復活させようとしたが、この株価暴落で、それも限界に来たようである。負債の飛ばす先がなくなった。それが現時点である。そして、企業も個人も借金と資産が両立していたが、資産が大きく目減りしたことで借金に耐え切れなくなる

金融資本主義を駆逐した後、製造業を育成するしかない。この製造業育成を日本企業が米国企業に資本参加して行うことになる。今の日本企業は内部留保が膨大にあり、米企業を買収できる。

米企業は借金まみれで、景気後退になると倒産の危機になる。しかし、米国民の所得を上げるために、トランプ政権は製造業を育成するしかない。このためには、日本企業の製造能力を持ってくるしかないので、日米FTA交渉は、途中から米企業救済会議になる。輸入関税を米国は引き上げるから、輸出はできないが、米国での売り上げは増えることになる。

米IT企業もハイテク技術が中国企業に抜かれて、今後の方向が難しくなっている。世界的なデジタル課税や個人情報保護などの潮流で、利益が減少することになる。この分野は米国政府も守るとは思うが、企業収益を増すことは難しくなる。

というより、イノベーションが重要だったのは、インターネット技術と言う革新的な技術の発明があり、その技術の応用でビジネスが簡単に開発でき、イノベーションが簡単にできたからであるが、今後は、このような大きな技術的大発明がなく、応用できるビジネスの種もなくなり難しくなる。それより、技術をこつこつ積み上げていく製造業のノウハウの方が重要になる。イノベーションの時代から技術を積み上げる時代に戻る。IT技術から製造技術の時代になる。

というより、今までが特殊な時代であったのだ。IT技術の重要性は変わらないが、製造業の1つの要素になるだけである。日本企業の製造業の時代が戻る。この改善のためには、長期雇用や年功序列が重要なことになるので、また、企業経営の方法は元に戻る。日本企業の経営方法が正しいのである。

どちらにしても、経済的な混乱が起きて、世界的な転換期に差し掛かることになる。重商的な新自由主義から重工的な新孤立保護主義にシフトしてくる。もう1つが、国家主義の中露が抑えるユーラシア大陸と、民主主義の日米英豪NYが抑える海洋との分断になる。米国が覇権を求めないし、中国が米国を倒すこともできないし、米中が対立する冷戦というより勢力範囲が分かれるということである。

T:株価はどうなりますか?

F:日銀の買い支えがあり、そこまで大きくは下がらないとは思う。しかし、当分は下げ基調になるはず。エリオット波動の下げABC波になっているし、当分続く。日銀の介入があるので、それほどには下がらない。8月までは難しい局面になる。しかし、米国の経済指標で、景気後退が明らかになると、FRBは利下げや量的緩和を行う可能性があり、流動性相場に戻り、米国は一息つくかもしれない。日本も米国の株価に連動して動くので、そこで一息つくかもしれない。景気の底は2020年になる。今年は、その前哨戦の年という位置づけ。

T:日本の政治経済はどうなりますか?

F:アベノミクスの失敗が明確化する。世界的な景気後退で、不動産価格や株価は下がり、円高になり訪日観光客は減り、輸出も減り、経常収支は大幅な赤字になる。このため、一転して円安になり、輸入価格が上昇してインフレになる。景気後退局面でのインフレとなり、スタグフレーションとなる。法人税も減り税収も大幅に減ることで、予算の赤字幅は拡大して、国債の発行量が増えることになる。

円高時、国債の金利もマイナスになるため、日銀は手持ち10年国債を売却して、10年国債金利を1%にする必要がある。そうしないと、地方銀行の経営が危機的になる。矛盾するが、日銀は資産の縮小をすることになる。しかし、含み損を避けるために、日銀はETFを買増すことが必要である。日本の統制経済化が必要になるし、アクロバット的な金融政策や財政政策が必要になる。しかし、はっきり言って、政府の経済運営で景気が好転することはない

このようなことが続き、消費税増税は無理だと思うし、参議院選挙も勝つのが難しくなる。この状況が2020年まで続くと見る。

T:ロシアや中国は、どうなるのですか?

F:ロシアや中国の勢力範囲が拡大するので、世界は中露優勢のように見える。日月神示でもそう言っている。ロシアは中東の地域覇権を取り、ルーブルを基軸通貨にしたいようであるが、それはできない。中国も援助で各地の港を取るが、それだけでは海洋国家にはなれない。

米国は自国主義で、自国の防衛以外の地域に関心がない。このため、多くの国が中露の方向に向く

T:相当な変化の年になるようですね。参考になりました。

image by: Sakarin Sawasdinaka, shhutterstock.com

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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