昨年末に発生した韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射事件は、韓国サイドの二転三転する弁明や開き直りとすら受け取れる謝罪要求など、収束の糸口すら見えない状況となっています。台湾出身の評論家・黄文雄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、彼らが謝罪できない理由を記すとともに、もともと反日・抗日志向の文在寅大統領が日本に融和的な姿勢を取るはずもないとしています。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年1月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【韓国】文在寅政権と対決することは必然だった日本
韓国軍による自衛隊航空機へのレーダー照射問題は、韓国側の弁明が二転三転するうちに、「日本側が低空飛行で威嚇した。だから謝罪せよ」と加害者が被害者ぶることで自分たちの非をうやむやにしようという戦法に出たことで、さらに混迷の度合いを深めています。
だいたい、日本の自衛隊機が威嚇したというならば、レーザー照射された自衛隊機のクルーが行ったように、現場でその意図を問い合わせたり、威嚇行動の中止を訴えるものですが、韓国側は一切そのようなことをしていません。明らかにあとづけのでっち上げです。
韓国としては、日本に非があることを強調し、非難合戦が泥沼化して膠着状態になって、そのままなんとなく国際的な関心が萎んでいくことを狙っているのでしょう。
かつてサムスンがアメリカのアップルに特許侵害で訴えられた際、逆にアップルを特許侵害で反訴し、裁判を長期化、泥沼化させることで和解に持ち込んだ手法とよく似ています。
いわゆる「徴用工裁判」の韓国における判決に即して、韓国原告団が日本企業に対し強制執行の手続きを進めていますが、これに対して安倍首相が対抗措置を取る動きを示していることに、韓国側はナーバスになっています。
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もともと韓国最高裁判所の判決に対して何ら行動を起こさなかった文在寅政権の無策によって、日本政府が動かざるを得なかったわけで、その責任は韓国側にあることは言うまでもありません。
文在寅大統領がもともと「徴用工問題」を仕掛けて日韓対立を煽ろうとしてきた疑いがあることは、本メルマガでもたびたび指摘してきました。
加えて、今年の3月1日には「三一独立運動」から100周年を迎えます。三一独立運動とは、日韓合邦時代の1919年3月1日に朝鮮半島で起こった独立運動ですが、鎮圧されて上海に逃げた独立運動家が同年に上海臨時政府を創設します。
そこで、文在寅をはじめとする左派は、この1919年こそ韓国の建国年だと主張してきました。そうすれば、韓国の建国は抗日の結果としてなされたことになるからです。
一方、韓国の保守派は1948年8月15日に李承晩が行った大韓民国政府樹立宣言の日が建国記念日だとしてきました。これは日本の敗戦日で韓国の「光復節」とも重なりますから、8月15日を建国記念日としようとする運動が保守派の間で続いてきました。
保守政権だった朴槿恵政権はこの主張に従い、国定教科書に「8月15日を建国記念日とする」と記載しましたが、これに左派が反発し、韓国で教科書問題が大揺れになったことがありました。
というのも、1948年が建国年だとすると、それは南北対立の結果による建国ということになるからです。日本の敗戦によって朝鮮半島はアメリカとソ連による分割統治となり、南北ともに1948年に建国宣言を行いました。
もしも韓国の建国年を1948年とすると、宿敵は北朝鮮ということになります。南北統一を目指す左派としては、これは都合が悪い。そのために1919年を建国年として、宿敵を日本に定めようとしているわけです。
つまり文在寅政権は最初から反日・抗日志向なのであり、その政権が日本に対して融和的な姿勢を取るはずがないのです。
ましてや今年が1919年から100周年という節目に当たるわけですから、どんなに自分たちが悪くても、謝るはずがありません。政権にしても韓国軍にしても「日本を脅かした、負かした」という武勇伝のひとつもほしいところであり、屈服して謝罪することなどできません。
とはいえ、黙っていれば勝手に「勝利宣言」を始め、反日態度がますますエスカレートするのが韓国ですから、日本としては強い圧力をかけなくてはならないわけです。
文在寅政権は、経済政策の失敗や、大統領府による民間人監視疑惑によって支持率が急落しています。そのため大統領秘書室長や内閣の改造を行おうとしています。
とくに大統領の側近である大統領秘書室長はこれまで、北朝鮮のプロパガンダに同調した活動を行ったことで、国家保安法違反で服役したこともある左翼活動家の任鍾ソンが務めてきましたが、さまざまな疑惑や不祥事によって政権支持率が下落したことにより、駐中国大使の盧英敏に交代することになりました。
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大統領秘書室長を親北派の次に親中派を持ってくるところが文在寅政権らしいところですが、同政権の対北制裁破りや反米姿勢によって、すでに米韓同盟の破棄が現実味をもって語られるようになっています。これに米中貿易戦争もからんでくることになりますし、そのために駐中国大使を秘書室帳に据えたのでしょう。
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かつて李明博大統領が竹島に上陸した理由として、「昔に比べて日本は強くなくなっている」と述べたことがありました。つまり、日本が弱くなっていることも、韓国の反日が激化する原因の一つなのです。
日本人は弱者を応援する「判官びいき」の性格ですが、韓国人は強者に従う事大主義を1,000年以上も続けてきました。それだけ性格が異なっているのです。ですから、強くなくなった日本を軽侮するのも当然なのです。やはり日本が強く出なければ、ますます韓国の反日は激化するばかりとなるでしょう。
韓国は昔から内ゲバが絶えず、階級対立のみならず地方同士や一族内でも争いごとが日常茶飯事でした。現在の朝鮮半島でも、南と北の争いが続いていますし、韓国内では青少年と老人の対立のみならず、約半世紀にわたって歴代大統領が次々と牢屋にぶち込まれています。同胞に対してさえそうなのですから、日本人に対して遠慮などあるはずがありません。
いずれにせよ、韓国による1919年の建国年化、媚北・媚中、反日・反米化によって、アジア情勢は大きく変わってくる可能性が高いといえます。単に問題は日韓の感情的な問題だけではなく、日米による韓国切り離しが進み、台湾や東南アジアとの連携の重要性が増してくるという、国際政治や地政学的な大転換になると思われます。
それだけに、日本は韓国に対して曖昧な態度ではなく、厳しく対応を迫っていく姿勢が必要なのです。
image by: 文在寅 - Home | Facebook
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