かつては1月15日だった「成人の日」が1月第2月曜日に定められ、多くの自治体がその日成人式を行なうようになったのは平成12年(2000年)からで、今年はちょうど20回目。そろそろ見直してもいい時期ではないかと提案するのは、メルマガ『竹内睦泰と読者で作る「未来へとつながる歴史、政治、文化座談会」』の著者、竹内睦泰さん。天候や経済事情から晴れ着の着こなしまで、最適な「成人の日」は「1月4日」との主張ですが、皆さんはどのようにお感じになりますか?
来年から「成人の日」を1月4日に移しません?
▼せっかくの晴れ着がぁ(>_<)
現在、国民の祝日のひとつである「成人の日」は、1月の第2月曜日に定められ、多くの自治体で成人式が催されます。2019年、今年は1月14日ですね。ところがコレ、いろいろと問題があるのです。
たとえば天候。1月中旬は雪が降る心配がけっこうあります。直近では2013年1月14日の成人式、首都圏を中心に大雪が降って交通機関が全面マヒしました。雪解け水でぐちょぐちょの道路、せっかくの晴れ着はびしょびしょの泥まみれ、綺麗に結い上げた御髪は「落ち武者」状態、散々な目に遭いましたよね。元凶(げんきょう)は「南岸低気圧」、太平洋側に雪やみぞれをもたらす名うてのワルです。こいつが動き始めるのが1月中旬くらいから。なぜか成人式やセンター試験日を狙い撃ちしてきます。何か恨みでもあるのでしょうか?
▼1月4日は「雪除けの日」(^_^)
都心ではわずか1cm雪が積もっただけで交通機関は大混乱、転倒によるケガ人続出、スリップ事故多発。首都圏は雪に滅法弱いのです(雪国の人からしたら“Why Tokyo people?”ですよね)。
東京での過去30年間(1989~2018年)における1月の降雪日を、気象庁のデータで調べてみました。1月1日~10日までの10日間をA、1月11日~20日までの10日間をBとして、雪が降った日(雪日)をカウントすると次のようになります。
A.1月1日~10日 《雪日》16日 《降雪量1cm以上の雪日》2日
B.1月11日~20日 《雪日》31日 《降雪量1cm以上の雪日》8日
(出典:気象庁天気相談所「近年の東京の降雪日」)
どうでしょう、一目瞭然ですね。雪が降る確率の高い期間にわざわざ成人式を行う必要があるでしょうか? ちなみに1月4日に雪が降ったのは、過去30年間で0回、なんと一度もありません! 今年の1月4日も、太平洋側は穏やかな天候に恵まれました。
▼二十歳のサイフを直撃!(>_<)
もうひとつ、現在の成人の日は、将来の日本を背負って立つ若者から容赦なくお金を巻き上げます。たとえば、実家が札幌にあり、高校卒業後に東京に出てきた人は、年末年始に札幌に帰省したらいったん東京に戻ります。が、その一週間後、成人式に出席するために、改めて札幌に帰省しなければなりません。年末から約3週間のうちに東京・札幌間を飛行機で2往復、航空会社はウハウハでしょうが、ただでさえお金に困っている二十歳の若者にとっては、理不尽な罰ゲームのようなものです。痛い、痛すぎます!
しかし、1月4日を成人の日にすれば問題解決です。年末に帰省したら正月三が日は家族とゆっくり過ごし、翌4日、成人式に出席して同級生たちと旧交を温めることができます。お財布にも優しい1月4日の成人式です。
▼晴れ着の良さを再発見!(^_^)
昨年の「はれのひ騒動」の反省からでしょう、日本の伝統的正装である和服、振袖の良さが見直されています。一見合理的なレンタル晴れ着ですが、しっかりした和服を購入すれば一生使え、なおかつ子や孫の代にまで残せます。長い目で見た場合、どちらが合理的かは明らかです。これを機に、物を大事に扱う日本人の美徳を取り戻しましょう。
洋服もそうですが、和服の場合は特に「着こなし」が大切です。レンタル晴れ着の娘さんは、ひと目でそれと見抜けます。何かしっくりこない、着物だけが浮いた感じで、身体に馴染んでいないからです。
着物を身体に馴染ませるには、何回か着込んでおく必要があります。着物の良いところは、同じものを何日でも着続けられるところです。洋服よりも耐久性に優れているので、毎日着ても傷むことがありません。
そこで、正月元旦から振袖を着ましょう。振袖を着て初詣に行き、おせちを食べ、優雅な気分で三が日を過ごします。その間に着こなしも上達し、ちょうど良い具合に身体に馴染んできます。そして、そのまま4日の成人式へ。
▼振袖シンデレラ・ストーリー(^_^)
「おっ、あの娘さん、着こなしが上手だねぇ!」周囲の大人たちから称賛され、注目の的となります。「あれ、睦美じゃね?スゲー綺麗になったな!」中学や高校時代の初恋の人から声をかけられます。それがきっかけで交際に発展することもあるでしょう。
晴れ着を上手に着こなせるお嬢さんは、どこに行ってもモテモテです。成人式以外にも、卒業式、パーティ、結婚式など、着る機会はいくらでもあります。友人の結婚式に振袖を着て出席すれば、場がパッと明るく華やぎます。男子はもうメロメロ、デレデレです(ただし、主役の花嫁さんより目立たないようにしましょうね)。
外国人が集まるようなパーティでは、いっそうの注目を集めること間違いなし、いきなりプロポーズされるかもしれません。お相手はアラブの石油王、億万長者のイケメン御曹司。振袖シンデレラ・ストーリー、映画化決定です!
▼大学2年生は大迷惑!(>_<)
キリがないのですが、最後にもう一つだけ。地方から東京や大阪に出てきた大学生、そのうち成人式を控えた人(主に2年生)にとって、1月は頭の痛い時期です。1月末に学期末試験があり、そのための勉強に集中しなければなりません。年末年始と成人式、行ったり来たりの2往復はさすがにツラい。落ち着いて勉強できる時間なんてありません。単位を落として留年でもしたら、親に余計な負担がかかります(私立なら100万円近く、国公立でも50万円以上)。
頭が痛いのは教官も同じです。「帰省組」のことを思うと、成人式の翌日くらいは休講にしてあげたい。でも、学期末最後の2、3回の授業ですから、休講にすると授業計画を全う(まっとう)できません。大学や教官が足並みを揃えて休講にすればよいのですが、そうもいきません。かくしてこの時期、やむを得ず授業を欠席する「帰省組」が続出します。
結果、たった1コマの出席日数が足りないために落第点を与えられ、泣く泣く留年する学生が少なからず出てきます。「チクショウ、誰が成人式を1月第2月曜日に決めたんだ!」
▼融通無碍の精神で!(^_^)
かくの如く、現在の成人式は「ハッピーマンデー」ならぬ「ブルーマンデー」なのです。その起源は、埼玉県蕨市(わらびし)の「第1回青年祭」(1946年)、それが全国的に広まって「国民の祝日」に制定された経緯があります。
もちろん、蕨市を恨むのは筋違いです。問題は頭の固いお役人、僕たち庶民の普通の暮らしを知らない政治家です。足りないのは融通無碍(ゆうずうむげ:臨機応変に対応する)の精神、華厳宗では「溶け合って融合する」を意味します。
日本の歴史をひもとくと、「融通無碍の精神」によってさまざまな国難を乗り越え、国としての調和、国民の融和が保たれてきました。現在の成人式も、ある意味で「国難」です。日本の将来を担う若い世代に、負担とストレスしか与えていないのですから。そこで改めてむっちゃんからの提案、「成人式を1月4日に!」
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