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上野の中国人スナック潜入で目撃した、日本人フラリーマンの実態

毎回中国の「リアルな姿」をレポートする人気無料メルマガ『上海からお届け! 簡単3分、写真で覚える生活中国語』の日本人著者で上海在住のジンダオさん。今回、急用で一時帰国した際に訪れた東京・上野で、どうしても気になったという、中国人ママが切り盛りする「中国人スナック」への潜入記を届けてくれました。そこで見えたのは東京で働くサラリーマンたちの現状と悲哀、どうか目を逸らすことなくご覧ください。

中国人ママさんに癒しを求める日本人フラリーマンの巣窟に潜入した話

東京・上野に急用があり数日ほど滞在していました。食事のため上野や御徒町を探索していると、中国人・タイ人・韓国人の観光客が多いこと。彼らはドラッグストアやドン・キホーテの袋を両手イッパイに持って、楽しげに日本観光を楽しんでいるようでしたが、夕方を過ぎた上野を歩いていると一つ気になることに遭遇したのです。

それはキャッチらしき中国人の女性が多く路上にいたこと。警察もスピーカーで「上野でのキャッチは禁止されています。彼らについて行くと間違いなく被害を受けます」と、全否定する放送を流していました。

しかし!うーん、気になるなー。と思いつつ歩いていると「飲みません?」と中国人訛りの日本語で声をかけてきた中国人女性。中国語で「日本人じゃないよ」と返答すると「中国人でもいいです」と追いかけてくる始末。ターゲットは日本人でも中国人でも良いようです

その場は立ち去りましたが、食事で立ち寄った居酒屋で街の話をスタッフに話したところ、近所にボッタクリもない普通の中国人スナックがあると言うので紹介してもらい訪問してみることに。

居酒屋のスタッフが丁寧にお店まで紹介して下さり、潜入してみた店舗には日本人のお客が4名。スナックのスタッフは1名。カウンターとボックス席のよくある店舗構成でした。

値段設定として1時間4,000円で焼酎またはウイスキーが飲み放題カラオケ歌い放題。女性のドリンクが一杯2,000円という構成。しかし先に楽しんでいるサラリーマンは「朝までコースと呼ばれる1万円コースで、24時から始発が運行し始める4時または5時まで楽しめるコースを満喫されているとの事。

私が訪問した時は平日火曜日。4名は二組だったようで大盛り上がりでカラオケを歌う50代サラリーマンと仕方がなさそうに拍手をして盛り上がる若手サラリーマン、太鼓持ち風の50代サラリーマンの3名が一組。そしてお一人でお酒を飲んでいる50代サラリーマンの一組でした。

いずれも朝までコースで店に集まったサラリーマンのようですが、これが俗にいう「フラリーマン」なのかも知れません。

ママさんから「折角なので歌って!」と促され「中国語の歌ってあります?」と、質問してみたのですが「ある」との事で一曲歌うと、場の空気が一気に変わりました。

歌っている最中に横で太鼓持ち風の男性がママさんに「彼は中国人?」「日本人なの?で、歌詞の中国語って正しいの?」と矢継ぎ早に質問。ママさんは中国語の歌を歌う突然の客に大喜び。歌い終わると中国語で会話が開始されました。

太鼓持ち男性は「先輩!中国語が何で話せるんですか?中国人ですか?」と質問攻め。「中国に住んでるのでー」と軽く会話して、次にママさんにお店や上野の中国人スナック事情を聞いてみました。

ママさんの話によると、路上で客引きをしているお店はスナックやマッサージ店が多く、大半は一見客を狙ったボッタクリ系統とのこと。もちろん今回お邪魔したような真面目に商売している店舗もあるようですが、知り合いの紹介でないと入るのに少々勇気がいります。

また上野界隈だけで200店舗近くも中国人経営のスナックがあり、カナリ熾烈な競争が繰り広げられているようです。そのため24時までは数人のスタッフで商売をして、深夜帯は今回見かけたフラリーマンをターゲットにママさん一人が1万円ポッキリで朝まで相手をして小銭を稼いでいるようでした。

たまに中国語を話す客も来るそうですが、基本的には中国語が話せない人が多いそうで、そのため私が中国語を話すことが嬉しかったようで、ママさんのリクエストに応えてもう一曲、中国語の歌を歌うとママさんも少しだけデュエット。

歌い終わると一人で来ていたサラリーマンが「ママさん、俺の時はデュエットしてくれなかった!」とボヤキ、ジャケットを羽織って帰る素振りをし、大の大人がママさんの気を引こうと躍起になっていました。

促されてカラオケを歌った私もイケなかったのです。ちょうど1時間を迎えた所で席を立ったのですが、料金は8,000円なり。一つ私に分からなかったのは、中国人スナックに通う彼らフラリーマンの心理です。中国人が好きであれば少し位は中国語を覚えようとするでしょうが、殆どの客は中国語を話せない。駐在経験や中国に関わる仕事をしているのか?というと、ママさん曰くそうでもない。

もしかすると単純に朝までだらだらと時間を楽しく潰せて自分の相手をしてくれる中国人ママさん目当てなのかも知れません。そして日本人の店だと料金設定が、そこまで安くない、店内のお客の数もいい具合に少なくて気兼ねなく歌って楽しめる。

この部分は私の推測なので正しいか分かりませんが、いずれにせよフラリーマンの心をつかみ、中国人ママさんから癒されているようです。

それにしても平日朝の4時や5時までスナックにいてお酒やカラオケを楽しんで、翌日の仕事はパフォーマンスよくこなせるのでしょうか? 平日が休日の会社で、休み前日に朝までコースを楽しんでいると祈りたいところ。聞くと3年前から毎月2回ほど朝までコースを楽しみ、カラオケを歌いまくっているのだとか。

ふらりふらりとたまの息抜きも大切ですが、家族サービスとビジネスもバッチリ決めて、中国語や中国の歌の一つでも覚えて中国人ママさんの心を掴んで会話を楽しんで欲しいところです。

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【著者】 ジンダオ 【発行周期】 ほぼ 週末刊

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