「勉強を楽しい」と感じている子どもや、社会人になっても常に積極的に学ぶ姿勢を持てている人はどれほどいるでしょうか。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを! 』では著者の石丸智信さんが、大山泰弘氏とサミュエル・スマイルズ氏の著作に共通する「幸せになるための学び」の視点を持つ意味を紹介しています。
学ぶことの目的とは何だろう
以前、日本理化学工業株式会社の会長である大山泰弘氏のご著書『利他のすすめ』を拝読しました。同社は、全社員の70%以上が知的障がいの方々で、チョークを製造・販売している企業です。書籍やテレビ番組などでも多く取り上げられていますので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
著書の中で、「学ぶこと」について触れられていました。また、それに関連して、サミュエル・スマイルズ氏のご著書『自助論』には、「教育」について著されており、この2冊の著書を踏まえて考察していきたいと思います。
まず、著書の中で大山泰弘氏は、「学ぶこと」ついてこのように著されています。
学ぶとは、たくさんの書物を読んだり、たくさんの事柄を記憶することではありません。幸せになるために、自分を最大限に成長させることなのです。
この考え方に関連して、イギリスの著述家であるサミュエル・スマイルズ氏も『自助論』にこのように著されています。
真の教育の目的とは、他人の思想や考えをうのみにしたり頭に詰めこんだりすることではない。
~中略~
われわれは、知恵を発達させ、人格を高め、より豊かで幸福で価値ある人生を送るために学ぶべきだ。知識は、人生の高い目的をより有効に追求するための活力源でなくてはならない。
大山泰弘氏は、学ぶことについて、「幸せになるために、自分を最大限成長させること」と著し、スマイルズ氏は、「知恵を発達させ、人格を高め、より豊かで幸福で価値ある人生を送るために学ぶべき」と著されています。
私は、大山泰弘氏の言葉も、サミュエル・スマイルズ氏の言葉も、文言は違うものの、学ぶことについて、同じような捉え方、考え方をしているように感じました。
私たちは、幼少の頃から、学ぶこと、勉強することそれ自体の目的について考えることは、ほとんどなかったのではないでしょうか。例えば、
- ○○のテストで100点を取るため
- ○○学校に合格するため
- ○○の資格を取得するため
などといった、勉強すること、学ぶことの目の前にある目標に関することはよく考えます。しかし、その目標の先にある目的などといったことはまず考えませんね。そのため、目先の目標を達成するために、知識を丸暗記したり、詰め込んだりしていきます。こういった経験を幼少期から繰り返しているので、「学ぶこと=知識を覚えること」という意識を持ってしまいます。
知識の量を増やすことも必要だと思うので、それ自体を否定するのではなく、学ぶことの先にある真の目的を考えて、見据えていくことが大切になるのではないかと思います。
上記の著書に著されている幸せ、幸福の定義は、人それぞれに違ってくると思います。
自分にとっての在りたい姿、幸せ、幸福などといったものを目指して自己成長、自己進化していくために学ぶという視点を持つことによって、目先の目標を達成したからといって、燃え尽きることも少なくなるのではないでしょうか。
児童、生徒、学生の頃はなかなかこういった視点を持つことは難しいところもありますが、学びの先にあるものを見据えていくことも大切なのではないでしょうか。また、社会人だからこそ、学ぶことに関して、上記のような考え方、捉え方をすることが重要になってくるのではないでしょうか。
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