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ビジネスパーソン必見。NY5番街のナイキ旗艦店は何が違うのか?

メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんが、20回目となるニューヨークを自身の足で歩いて見聞きした最先端のマーケティングの現場のレポートの第2弾が届きました。今回は、昨年11月、マンハッタンの5番街52stににオープンして評判となっているナイキの旗艦店「House of Innovation 000」のすごさについてです。ビジネスパーソンなら一度は体験すべきと推す巧みな仕組みがそこにはあったようです。

ナイキHouse of Innovation 000の顧客体験の向上

ニューヨーク、マンハッタンの5番街52stに、2018年11月に新しくできたというナイキの路面店、House of Innovation 000がすごいというので行ってみた。

やはり世界のトップブランドは、まずニューヨークはマンハッタン、それもラグジュアリーショップの多い5番街に、フラッグシップブランド=旗艦店舗を出す、ということなのか、この辺りには、ナイキだけではなく、ライバルのアディダスはもちろん、高級デパートを始め、ユニクロなどもある。

シューズやシャツが1階に売っていない?

ナイキのこの店舗は、「ナイキ・ハウス・オブ・イノベーション000」という名称の通り、まず店内のディスプレイが斬新でユニークな発想でできている。メインの入り口を入ると、オブジェ風のディスプレイ。かなり先進的だ。

そして、シューズやアパレルなどの定番グッズは、はかなり奥の方まで行かないと陳列されていない。4階建てなのだが、1階にはほとんどない、という感じだ。

入ってすぐに、やっと2人くらいがプレイできる、小さめのバスケットコートがある。コートはガラスで区切られていて、外からよく見えるが、様々なディスプレイに加えて、各種モニター画面や独特のライトで、さながらクラブにいるような雰囲気。

バスケができるスペースを上から見ると全体が見える。デザインが画期的なだけではなく、プレイヤーが動くところに光源も一緒に動くなど、まずここからかなりのハイテクが使われている、という印象だ。

ななめ上から見るとより綺麗に全体が見えるが、コートに設置されている一つ一つのモニターに何が写っているのか、先述したライトの当て方など、このスペース全体がモダンアートのようで美しい。これを見ていると、まるで、日本で有名なチームラボの作品のような雰囲気だ。

ハイテクは何もディスプレイや、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)のみでなく、購入までのプロセスもデジタル化されている。アプリでほとんど全てができる、という仕組みになっている。

靴もTシャツなどのアパレル類も、サイズや色など多くのSKUがある中で、欲しい商品にアプリをかざすだけで、自分の欲しいサイズが、店頭にあるかどうかがわかるのは利便性が非常に高い。

ナイキは何を狙ってこの店を作ったのか?

このように、リアルな店舗を単に、「物を売る場所」と位置づけるのではなく、店舗を「顧客が楽しく過ごす場所」と位置付けている。これこそが体験型の購買体験の提供だ。

そしてもちろん、この店でも販売による収益を上げなければならない。その一つが、購入プロセスの利便性向上だ。すなわち自分に合った商品を探して、見つけ、サイズと色を確認し、試着して買うに至るまで、顧客はさまざまな事柄を体験する。その過程をできる限り便利にする工夫が、このアプリでされている。

また、アプリをダウンロードし、アプリで買うということは、以降もアプリを通してナイキ側は、その顧客とコミュニケーションが取れる、ということになる。顧客維持(=カスタマー・リテンション)につながるのだ。

単に目新しい、人通りが多いところに出店をする、というだけではなく、話題性を作り、さらに継続購入までの仕組みも入れている点が素晴らしい。ビジネス・パーソンなら一度は体験するといいナイキの、「House of Innovation 000」だった。

image by: Christopher Lyzcen, shutterstock.com

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