世界的に盛り上がりを見せるeスポーツ。スマホのパズルゲームなどは経験しても、少し高度なオンラインゲームに関しては、見たことも触れたこともないという人もまだまだいるのではないでしょうか。今回、『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者、りばてぃさんが、世界で登録プレイヤー2億5,000万人、月ごとのプレイヤーが7,830万人もいるという「フォートナイト」の楽しさが伝わりやすいよう、さまざまな動画とともに紹介しています。あのダルビッシュ有投手もプレイしてるそうですよ。
フォートナイトがニューヨークにやってくる!
世界的に大人気のバトルゲーム「フォートナイト」(Fortnite)。eスポーツとしてプロチームも多数存在する。
ゲームに詳しいという方はもちろんだが、最近では日本のテレビでも「フォートナイト」を取り上げる番組も出てきているので、一度はゲーム名を聞いたことあるという方もいると思う。
ご参考: ● 有吉ぃぃeeeee!~そうだ!今からお前んチでゲームしない?
一方でまったく知らないという方ももちろんいるだろう。ゲームに限らずだがモノや情報が溢れている現代は、自分に関係すること以外の物事には触れることすら無かったりする。
だからこそ、このメルマガの特集で取り上げようと思う。もしかしたら、今まで関係ないと思っていたけども何かの参考になるかもしれないし、少なくともeスポーツ業界で今まさに話題の「フォートナイト」についてくらいは知っておくと話のネタとしても良いのかなと思う。
(1)どれだけフォートナイトは人気なの?
フォートナイトは、エピック・ゲームズ社(Epic Games)が開発し、2017年7月にリリースしたオンラインシューティングゲームだ。
リリース初期は英語版のみだったが、2018年3月に日本語版がリリース。プレイステーション4(PS4)とPC版、そしてiOS版、6月にはNintendoのSwitch版へも配信が続々とはじまった。
日本語だけでなく各国語バージョンがリリースされてから世界的にも大ヒット。リリースから1年ほどで登録プレイヤーは1億2,500万人にもなった。これに伴い毎月の売上も数百万ドル(数億円)規模となっていった。
そして、直近の報道によると登録プレイヤーは2億5,000万人と増加傾向。また、毎月のログイン数(つまりアクティブユーザー)は7,830万人いるとのことで引き続き人気は継続中だと報じられている。
ご参考: ● Fortnite’s player count is closing in on 250 million
なお、2016年5月にリリースし、ゲーム・オブ・ザ・イヤーなど多数受賞している対戦ゲームでeスポーツリーグもある「オーバーウォッチ」(Overwatch)でも2018年5月時点の登録プレイヤー数が4,000万人ということを考えると、いかにフォートナイトが人気なのかがおわかり頂けるだろう。
ご参考: ● Overwatch has more than 40 million players
でも実はフォートナイトは開発発表からリリースまでの道のりが長い。遡ること2011年、当時、エピック・ゲームズ社のデザイン・ディレクターだったクリフ・ブレジンスキー(Cliff Bleszinski)が、スパイクTVのゲームアワードで制作を発表。その後、これまでにないゲームを作りたいという思いからなんやかんやあって、ようやく5年後にリリースとなった。
この5年の間に、エピック・ゲームズ社は『今後、ゲーム業界に起きると予測される大きな変革に備えるため』中国の巨大企業グループのテンセント社(Tencent)より初の外部投資家として3億3,000万ドル(1ドル100円として330億円)の投資を2012年に受けている。ただし、投資と引き換えに株式の40%を譲渡。ほぼ身売りのような投資で、ある意味で賭けに出たエピック・ゲーム社だが、上述したようにフォートナイトは大当たり。
2018年には同社の利益は30億ドル(1ドル111円換算で約3,400億円)に達したと報じられている(非上場企業のため公式発表はされていない)。
ご参考: ● ‘Fortnite’ Creator Epic Games Reportedly Earned $3 Billion In Profits in 2018
そして、2018年10月に新たに12億5,000万ドル(同1,400億円)の投資が入り、リード投資家はテンセントの他にシアトルとニューヨークの投資会社が加わった。会社評価額は150億ドル(同1,700億円)とのこと。
ご参考: ● List of Epic Games’s 3 Lead Investors ● Epic Games、今年の利益30億ドルか──『フォートナイト』のヒットで絶好調
飛ぶ鳥落とす勢いのフォートナイト人気の脅威はゲーム業界だけに限らず、同じテレビ画面を奪い合うようなネットフリックスといった動画サイトは最大の脅威はHBOよりもフォートナイトであるとコメントしているほどとなっている。
ご参考 ● 【ゲーム旋風!】ネットフリックスのライバルはHBOではなくフォートナイト?! ● Netflix Claims ‘Fortnite’ Is a Bigger Competitor Than HBO
(2)フォートナイトの面白さ
企業評価額も売り上げも好調なエピック・ゲームズ社だが、なぜここまでフォートナイトは人気となったのか。様々な考察は当然のことながら出ており、それこそ、ゲームに詳しい人と最近ゲームを始めた人とでは面白さは違ったりと三者三様なので、今回はフォートナイトの仕組みを説明しながら考えていきたい。
まず、フォートナイトには大きくわけて3種類のゲームがある。1つは有料配信されている「フォートナイト世界を救え」(Fortnite: Save the world)。「世界を救え」は、ある日、地球上の人類98%が消滅。残った人たちを襲うゾンビ。生き残るために銃や武器を持って戦うというサバイバルバトルゲーム。
もう1つは、無料配信されている「フォートナイト・バトルロイヤル」(Fortnite: Battle Royale)。
100人のプレイヤーたちが最後の1人の生き残りをかけて戦うシューティングゲームで、この無料配信されているバトルロイヤルがフォートナイトの人気の中心となっている。
そして、もう1つはこちらも無料の「フォートナイト・クリエイティブ」(Fortnite: Creative)だ。
「フォートナイト・クリエイティブ」の説明に行く前に、「フォートナイト・バトルロイヤル」についてもう少しお話しよう。 フォートナイトのようなシューティングゲームには、主に、操作しているキャラの目から見たFPS視点(First Person shooter一人称)と、操作中のキャラを後ろから見たTPS視点(third-person shooters、三人称)の2種類がある。
操作しているキャラの目から見たFPS視点のゲームでは、キャラの目線なので視野は狭いが実際に自分がゲームの中にいるような感覚でプレーできる。オーバーウォッチや最近リリースされフォートナイトの人気を抑える勢いのエイペックス・レジェンド(Apex Legends)
実際に雰囲気をみてもらうため以下参考動画をどうぞ。2つ目の弟者(おとじゃ)さんは有名なゲーム実況者さんで声が声優さんかと思うほど素敵な声で実況してくれる。
ご参考:
● 【実況】OverWatch | トレーサーで怒涛の43キル【ダステル】
● #20【FPS】弟者の「Apex Legends」【2BRO.】
一方、フォートナイトは操作中のキャラを後ろから見たTPS視点。視野が広いので敵など周りの環境を確認しやすいという利点がある。フォートナイトといえば、2018年にプロゲーマーとして史上初めてスポーツ専門誌のESPNのカバーを飾ったNinjaさん。
ご参考: ● Ninja: First Esports Player Featured on ESPN Magazine Cover
ということで、参考動画はNinjaさんのをどうぞ。
ご参考: ● Party Assist Is Toxic!
FPSかTPSのどちらが良いかは好みだが、キャラクターを第3者視点で見れるフォートナイトは熊や兔、魚といった様々なキャラクター(スキンと呼ぶ)になれたり、そのキャラクターが背中に背負うアクセサリー(バックブリング)や、木や建物を壊す斧やグライダーのデザインの変化を楽しめるようになっている。
絵のデザインがアニメ調なのでこれまでシューティングゲームに興味がなかったとか、戦場を描いているシーンはグロテスクで苦手だったなんて人にも比較的好まれやすいデザインと言える。また、エモートといって感情を表現するダンスやペイントなども豊富で、アメリカの小学生はお友達とダンスして楽しんでいるなんて人もいるほど。
ちなみに、現在シーズン8のフォートナイトにはバナナスキンがメインキャラとして登場。バナナで行進して楽しむ動画なども出ている。例えば、フォートナイトの日本の有名実況者さんの1人のつばさブローさんの以下の動画。
ご参考: ● コンガの移動縛りをバナナ着てしてみたwwwww
子どもたちに人気の実況者の総長ウララさんはカスタムマッチ(主催できるゲーム)でバナナスキンを集めた試合を開催したりも。
ご参考: ● 【フォートナイト】今までで一番バナナが多かった試合ww
ちなみに総長ウララさんは野球選手のダルビッシュ有さんともフォートナイトをしており、その時の動画は以下。
ご参考: ● 【フォートナイト】ダルビッシュ有さんと初めてのゲーム
実は、ダルビッシュ有さんは他のゲーム実況者さんともフォートナイトのゲームを楽しんでおり他にも以下のような動画も。
ご参考: ● 【衝撃】ダルビッシュ有さんがワンメンダウン!メジャーリーガーと異例のコラボ動画!
こんな具合に楽しくプレーする動画は数多く、中には生歌を披露しながら実況する動画もあり、そういった関連動画をご紹介しているとキリがないのでこのあたりにしておこうと思うが、こうした実況動画をみていくと、フォートナイトは殺し合いゲームという側面だけでないことが人気の理由の1つなのだろう。
そして、もう1つ、フォートナイトの楽しみ方に建築というクラフト要素がある。斧で草木や建物を壊して得た資材を使い、建物を建てることができるのだ。
壁や床、天井などの建築で敵の攻撃を防いだり身を隠したり、罠をしかけたり、形を変えることでフェイントをかけることができるもので、プロゲーマーなどのゲーム上級者は銃を使わずに壁につけた罠で敵を倒したりもする。
でも、これも敵を倒すだけじゃない。変わった形の建物を建てたり、特殊な階段を作るプレイヤーもたくさんいて、あまりの凄さに一級建築士などと日本では呼ばれていたりもする。
以下は建築技術の凄まじいBeaksさんの動画。実際にプレーするといかに難しいかがわかる。
ご参考: ● The Beaks Rush – New Push Meta???
最後に、もう1つのバージョン、「フォートナイト・クリエイティブ」についてご説明しよう。これはフォートナイトで使われている素材(家や自然を表現しているパーツ)や武器など自由に組み合わせて好きなものを作れるもの。まさにクリティブになれるゲームだ。
できあがるものは様々。無数のイマジネーションを見ることができるが、例えば、ボーラーに乗ってジェットコースター体験や、戦いのための練習ができもの、鍵盤などの楽器素材を使って曲を演奏できるマップなどなど様々となっている。
最近では、記憶力を試すメモリーゲームもあり、もう戦いではない。いや、記憶力を競い合うという意味では戦いなのかな?
ご参考: ● 【フォートナイト】記憶力を試される鬼畜チャレンジ!!
他にも、理想の家を建築することもできるし、
ご参考: ● BUILD Your Own HOUSE CHALLENGE In FORTNITE! (Creative Mode)
米津玄師さんのピースサインもユニークな演出で演奏できるものも。
ご参考: ● 【世界一】これまでの演奏とはレベルが全然違う!最高クオリティの『全自動米津玄師』でみんなにも感動を味わってほしい!
クリエイティブ版はリリースされて間もないがすでにレベルの高いものが制作されており、PCGamerが選ぶベストクリティブマップという記事もあるほど。
ご参考: ● Fortnite creative codes: the best custom maps
以上みてきたように、敵を殺すのが目的のシューティングゲームのフォートナイトだけど、工夫次第で様々な遊び方が可能という点も人気の理由と思われる。
ちなみに、1人で遊びたいという方も十分に楽しめるポイント獲得できる仕組みや、ゲームが上手くないという人でも技術など気にせず参加できるゲームも用意されている(例:チームランブルなど)。
海外の人とチームメイトになれば英語でコミュ二ケーションする(ボイスチャット機能を使うが会話をするかは好み)ので英語の勉強になっているという人もいるかもしれない。人によっていろんな遊び方がある。
そして関連動画を見ていると、驚くほど多くの人たちが、新しいもの面白いものクリエイティブなものを作りたいという想いを披露しているのである。
フォートナイトはゲームの仕組みに誰でもクリエイティブになれる要素がたくさん詰まっており、楽しみ方はそれぞれという自由さが人気を集めたとも言えると思う。
特集がすでに長くなってしまったのでニューヨークにやってくる理由と、eスポーツのプロプレイヤーさんたちについては次回の特集でお届けしよう。
image by: Jennie Book, shutterstock.com