10日間という大型連休も終わり学校に行き始めた子供たちの前に、ちょっとした変化が起き始めることもあります。困ったことにその変化はいじめに発展することも多いうえ、被害児童は親にいじめられていることを打ち明けられないというデータもでているようです。今回の無料メルマガ『いじめから子どもを守ろう!ネットワーク』ではそんな実態の詳細を紹介するとともに、いじめの起きやすいこの時期に親がすべきことを解説しています。
「5月」をむかえるにあたって
5月に入り、平成が過ぎ去って、令和の時代が到来し、日本は祝賀報道であふれています。4月からの新しいクラス、新しい学年を迎えて、さまざまな出会いを経験した子どもたちも新しい環境に馴染みつつあります。令和を祝う今年だけの特別な10日間、長いゴールデンウィークも終わりました。
学校に慣れ始める5月です。「慣れ」は良いことでもあるのですが、慣れ始めは問題が起きることも多いものです。
保護者としては、過渡期とも言えるこの時期の子どもたちの言動には、注意を向けておくことがとても大切だと思います。特にいじめに関しては、子どもたちが親に話したがらないものです。
今週、「『恥ずかしくて…」イジメを両親に相談できなかった人は6割に迫ることが判明」という記事がネットに配信されていました。
ちなみに、「ニュースサイトしらべぇ」というサイトで、アンケート調査を実施し、そのデータを元に独自の切り口で報道するウェブメディアと紹介されておりました。
記事によると、全国の10代から60代のいじめを受けたことがある男女720名を象に調査したところ
- 全体の6割近くの56.1%が「親に相談できなかった」とのこと
- 男性の49.8%に対して女性の61.1%はいじめを打ち明けられなかったと回答
- 一番現役に近い10代は、男子71.4%、女子61.4%が相談できなかったと答えている
などの特徴が挙げられていました。
注目すべきは現役世代の数字です。7割ということは、ほとんどの子は「親にいじめの相談はしない」と理解しておくことが大切だと思います。また、いじめが判明した場合に、ついつい、「いじめられていることを言わないあなたが悪い」と子どもを叱りたくなるものですが、責めることはやめてあげてください。
ましてや「いじめられるのは、お前に悪いところがあるからだ」などという言は傷つけるだけ、何のプラスも生みません。本人は、十分につらいのですから。
繰り返しになりますが、まずは本人のつらさや苦しみを理解してあげてください。わかってあげた上で言葉をかけてあげて欲しいのです。
「あなたが悪いわけではないからね」
「絶対に守るから」
「どんなことされるの?」
それでも話してくれないこともあると思います。「でも、やっぱり、近頃、おかしい」と感じるならば本人の友達や、ママ友からつてをたどって学校での状況を集めてみましょう。私達の相談の経験からも親には言えないけど、兄弟、姉妹には言えるとか、知り合いのおじさん、おばさんには話せるという子も多いので、その方たちにお願いして聞き出してもらうという方法もあります。
そして、お子さんの状況がわかったら、単に同情するだけでは、いじめは解決しないということも事実です。お子さんの話を聞いたり、なぐさめたりしながらも頭の中の片側では、どのように「いじめをやめさせるか」という具体的な戦略意識しておくことが大切です。
冒頭に述べましたように、学校も4月のオリエンテーションやガイダンス的なものがなくなり、5月の連休が終わる頃から、本格的な学校生活が始まりますが、同時にいじめ問題も増加してまいります。
ですから、学校で小さな問題が起きた時には、「何日の何時頃、誰と誰からどうされた」というように、メモをとっておくことをおすすめします。
学校に相談する必要が出てきた時に、メモを持っていくことで対応や解決がスムーズになります。
いじめの対処やお子さんの様子に不安を覚えるようなことがありましたらご遠慮無く、ご一報いただければ幸いです。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明
image by: Shutterstock.com