絶賛公開中の話題の映画「キングダム」。週刊ヤングジャンプで連載されている漫画が原作の当作ですが、今回の無料メルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』の著者で現役精神科医のゆうきゆう先生によると、心理学的に非常に重要な点があるとのこと。ゆうき先生はどのような点に注目したのでしょうか。
映画「キングダム」に学ぶ、奴隷が出世する最大の秘訣
こんにちは。ゆうきゆうです。
映画「キングダム」を見て来ました。色々と話したい点があるのですが、中でも一番感動した、心理学的にもっとも重要な点を述べます。
映画「キングダム」は、とても味があった
というわけで、映画「キングダム」を観て来ました。こちらは、週刊ヤングジャンプに連載されているマンガ。現在、50巻以上発刊されています。すさまじいです。色々な所で話題になっていたので、自分自身、興味をもって、読んでみました。50冊…。すごい量ですが、飽きさせることがないので、スイスイ読めました。
一言でいうと、「秦の始皇帝」の話です。世界史で学んだ方も多いかもしれません。その始皇帝の若いころから話が始まり、彼がどうやって帝国を築いていったか…というドラマになります。主役は始皇帝ではなく、その部下(かつ友人)でもある「信」という少年です。
さてまぁ、とにかくマンガも読んだことがあったので、あらためて映画を観てきたわけです。何と言うか、いや、最初から最後まで迫力あって良かったです。くわえて一人一人の俳優陣に味があって、とても面白かったです。
個人的にベストは悪役の本郷奏多さん。始皇帝の弟を演じています。まさに「美形の小物」という感じで素晴らしかったです。
そしてヒロインである橋本環奈さん。個人的に、橋本環奈さんって、「藤原竜也さんがどの映画に出てもちゃんと藤原竜也さん」なのに匹敵するくらい「どの映画に出てもちゃんと橋本環奈さん」だと思っておりまして。どこに出ても隠しきれない「おーっほっほ わたくし、橋本環奈でございますよー!」みたいな雰囲気というか。
カレーライスとかでたとえるなら、ニンジンとジャガイモと橋本環奈さん、みたいな。ぜんぜん溶け込んでない。全力で橋本環奈さんがいる、みたいな。ただこの映画では、いい意味でそれがなくて、いい意味で材料の一つになっていて、自然に溶け込んでいました。良かったです。
さてとにかく、俳優陣が一人一人、いい意味で味があって素晴らしかったのですが、純粋にストーリー的に感動した、何より重要な点を一つあげます。
純粋にストーリー的に感動した重要な点
貧しいときの前向きさ
マンガのストーリーは「秦の始皇帝と、友人である信の一生」なわけですが、この映画で描かれているのは、「若いころの秦の始皇帝(=秦王)が、反乱を行った弟を討つ」というところまで。そして主役である信は、当初は奴隷だったところ、全力で立身出世を願い、結果的に、王と合流します。そのため映画の9割くらいの時間、彼は王を助けるため、様々な敵と全力で戦っていたわけですが…。
個人的に一番素晴らしいと思ったのは、映画開始から10分くらいの、彼がまだ奴隷として働いていたときのシーンです。
奴隷としての仕事は、主に「山からマキを集めてくること」。しかし彼はそこで、自ら大量のマキを背負って、山の中を歩いていました。それには主人も驚くほどでした。目的はもちろん「体を鍛えて、強い男になるため」です。
シーンとしては数秒ほどではありましたが、僕の心の中に、一番強烈に残っています。そのインパクトは、映画の9割を占める「王と合流したあとの、敵とのバトルシーン」以上です。なぜか。
実際、立身出世を願っていた彼が、王と共に戦えることになったら、それは頑張って当然です。おそらく、誰だって全力で戦うはずです。目の前にハッキリと出世のチャンスがあると分かりますから。ここで頑張るのは「当然」なのです。偉いことではありますが、誰でもやれることなので、そこまで偉くない。
しかし「王とまだ会ってもいない、しかも奴隷という立場である」というときに「将来の成功を夢見て、奴隷の仕事であるマキ運びを全力で前向きなトレーニングに変えていく」というのは、誰にでもできることではありません。
おそらく大半の人なら、「何で俺は奴隷なんだ」「こんな人生イヤだ」なんて考えてスネたり、「マキ運びなんてイヤだ、俺にはもっとふさわしい仕事が…」なんてグジグジ考えて、ただ日々を怠惰に過ごしてしまうのではないでしょうか。
しかしすべてを将来のためと考えて、自分なりにアレンジしたり、自分なりのゲームやミッションのようにとらえて、前向きに立ち向かう…。それができる人こそが、何より成功に近づいていくわけです。
あなたも日々を変えられる
日本では、阪急・東宝グループ創業者の小林一三が、こう述べた話があります。
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」
これこそが仕事で、いえ人生で何より重要なことではないかと思います。
立場や境遇を嘆く前に、そこで全力を尽くせ。または信がマキ運びをトレーニングに変えたように、面白くない仕事も、自分なりにアレンジして、面白くしてみろ。
こういう発想こそが何より大切なのです。
あなたも日々を変えられる。というわけで、あなたも何か、ヒントとして感じることがありませんでしょうか。「何で自分はこんな立場にいるんだ」とか「どうして俺はこんな扱いなんだ」なんてグチや不満を言っているなら、ちょっと考えてみてください。
「もし今の自分の状況に『意味』があるとするなら、どんなことか?」
「今の状況を『利用』して、将来に役立てられるなら、どんな方法があるか?」
こんな風に考えてみると、気持ちが前向きになります。そして日々を前向きにとらえはじめると、気持ちも明るくなり、すべてがさらにうまく行き始めていきます。どうか覚えておいてくださいね。
今回のまとめ
- 今をスネるのではなく、「今の状況を利用して、将来に役立てられるなら、どんな方法があるか?」と考え、前向きに工夫して楽しんでみること
というわけで、いかがでしたでしょうか。ちなみに自分自身が奴隷の立場だったら、マキ運びを「何かすごい女王様に命じられた仕事」みたいに思って、重ければ重いほどハァハァしていると思います。
ネガティブな方向に成長していく自分を感じつつ、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
image by: 映画「キングダム」公式サイト