2017年に「うるう秒」による時間調整が行われた事を覚えている方、いらっしゃるかと思います。なんでも、世界標準時(GMT)と協定世界時(UTC)のズレを調整するため行われたそうですが…、そもそも、GMT、UTCとはどういうものなのでしょうか。今回の無料メルマガ『1日1粒!『幸せのタネ』』では著者の須田將昭さんが、標準時の豆知識を、時差の定義とともに紹介しています。
「時差」って?
海外旅行をされた方は「時差ボケ」というのを経験されたことがあるでしょう。
自分が旅行しなくても、最近では海外で活躍する日本選手の応援で、夜中に野球やテニスの試合を見たり…ということはありますね。
その「時差」ってなんでしょうか?
19世紀に入って、国と国の交流が盛んになりました。それまでみながてんでバラバラに国内での時間を使っていましたが、それでは不都合が生じます。
それで、世界で標準となる経度と時間を定めよう、ということになりました。1884(明治17)年に開かれた国際子午線会議で、イギリスのグリニッジ天文台を通る子午線を「経度0度」にしよう、ということが決まりました。そこから地球を360度割っていけば各地の経度が決まります。
地球は横から見るとやや楕円形で,完全な球形ではないのですが、24時間で一周するということで、360度を24で割ると、
- 360÷24=15
ということで、15度ごとに1時間ずれる、ということがわかります。
日本は、東経135度を標準子午線として、ここで太陽が南中する時に正午とすると定めました(1886年)。135度ずれている、ということで、15度で割ると
- 135÷15=9
となって、つまり9時間の時差がある、ということになります。
時差というのは、つまり地球上で経度でどのくらいずれているかということを時間で表したものです。
オリンピックをはじめ、スポーツの世界的な大会が行われると、嫌が応にも時差を実感しますね。日頃からメジャーリーグを見ている人なら、アメリカの中でも時差があることを実感されているかもしれません(アメリカは東西に広いので、アラスカ・ハワイまで含めて考えると、6つのタイムゾーンがあります)。
地球はやっぱり広いんだなあ…と思いますね。
ここまで時差について簡単にお話ししました。1881年に会議でグリニッジ天文台を経度0度とし、ここを標準とすることにした、という話です。
これは、ここまでは正しいのですが、現在のこととなると、実は微妙に違ってきています。
グリニッジ天文台の位置を基準にした時間については「グリニッジ標準時」と言い
- Greenwich Mean Time (GMT)
と呼んでいます。これは長らく「世界の標準」とされてきて「世界標準時」と言われてきました。
ところが、今は、原子時計を元に算出される時間を標準としよう,ということが協定で決められていて、そのため、今の「世界の標準」は「協定世界時」とされています。協定世界時は
- Universal Time Coordinated (UTC)
と表記されます。何が違うかというと、GMTは天文的に観測されて出される時間です。UTCは原子時計の算出する時間です。実際にはほぼ同じです。私たちの日常生活でこれの違いが気になることはないと言っても問題ないでしょう。
天文的に観測されるGMTの方は、実際の地球の自転の影響で微妙なズレが生じますが、原子時計というのはほぼズレませんので、UTCの方は変化ありません。そうすると両者に少しずつズレが生じてくるのですが、その差が0.9秒以内に収まるように常に調整されています(それを超えるズレが生じそうになったら「うるう秒」で調整されます)。
実際の私たちの日常生活では、世界の標準時がGMTなのか、UTCなのか、ということは、まあほぼ影響ないでしょう(知ってなくてもどうってことはないことをちょくちょく書いているのがこのメルマガです)。ただ、
世界の標準時はグリニッジ天文台の位置を0度として決められた
という豆知識は割と多くの人は知っているのですが、
現在は、原子時計による協定世界時となっている
ということは意外に知られていないかもしれない、と思いご紹介しました。
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