さまざまなことに興味を示し、やりたがる子ども。どこまで許していいのか、また、やらせてみても途中で投げ出さないようにするにはどうしたらいいのか、悩んでいる親御さんはいませんか?メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者で家庭教育のプロの柳川由紀さんは、「危険でないもの、他人に迷惑をかけない範囲のことであれば、させてみる」とした上で、興味を持続させるためのサポート方法をアドバイスします。
子どもは何でもやりたがる!
Question
まだまだ手が掛かる年長の息子は、最近何でも自分でやりたがります。娘はおしゃれに興味を持ち、メイクやマニキュアなどやりたがります。私としてはまだ早いと思っています。
息子はやりたいことが多すぎ、やっても、中途半端で辞めてしまい、かえって私の手を煩わせることが増えて困っています。親としてはやりたいことはさせてやりたいのですが、子どもの言いなりになるのもよくないのでどこで線を引けばいいのか悩みます。(年中男児、小1女子のお母様より)
柳川さんからの回答
自分でやりたがるというこの時期を大切にしましょう。何にでも興味を持っている、と言うことです。親がその好奇心の芽を摘まないように気をつけましょう。そして、「どこまで子どもの自由にさせるのか」についてお伝えします。
1.させてみる
まずは、子どもの「やりたい」を受け止めましょう。実際は親としてやって欲しくないことかも知れません。けれども、子どもの好奇心は止められません。危険でないもの、他人に迷惑をかけない範囲であれば、させてみることが大切です。
させてみせ、子どもが失敗しても、成功しても、それを笑顔で見守ってあげることが子どものやる気を育てます。それが中途半端で終わってしまったとしたら、「最後までしなきゃダメでしょ」と言いたくても、その言葉をグッと飲み込んで、子どもが自ら最後までやるような声かけに「翻訳」し、「この後どうしようとしてる?」「最後はどうなるの?」などと促しましょう。
また、メイクやネイルについては健康上心配で抵抗があるのは当然です。「そんなの早い!」と禁止するのではなく、「できる範囲」で体験させてみましょう。今は、子どもにも安全なメイク品やネイルシールも出ています。
一方的に子どもに「ダメ」というのは、「子どもの好奇心の芽を摘む」だけではなく、「達成体験」「成功する体験」「失敗する経験」も奪うことになります。
2.親の「べき思考」を捨てる
子育て中は「●●するべき」「▽▽はだめ」などという自分でも気づかない「べき論」をいつの間にか振りかざして子どもに接しています。
ほとんどの場合、それはご自身が育った環境が作った価値観に由来しています。悪いことではありませんが、その「べき」は「子どもにとって本当に必要か?」を見極めましょう。親の勝手な価値基準と判断で、子どもの好奇心の芽を摘んでしまうことほど勿体ないことは有りません。
3.「放任」ではなく「尊重」を
子どもの「やりたい」をどこまでさせるのかは、子どもの性格や行動パターンによって一人一人違います。子どもの「やりたい」を受け入れ、その欲しがるものを与えただけで「放任」していては、子どもの好奇心の芽は育ちません。子どもの気持ちに寄り添い、集中が持続するような親の努力が欠かせないからです。
親として興味が無くても、子どもが一生懸命やっていることを知る努力は必要です。そして、子どもが「やりたくてやっていること」のその一歩先を自分で見つけていけるように促せると、子どもは興味を持ち続けます。例え、躓いたとしても自分で起き上がれます。親としては子どもを放任するのではなく、尊重して見守りましょう。
家庭教育アドバイス…「子どもの自立は植物と同じ?」
子どもを育てることは、植物を育てることと似ています。植物を育てるためには、種、土、水、日光、肥料が必要です。子育てに例えると、種=子ども、土=環境、水=親の愛情、日光=周囲の環境、肥料=刺激です。
子どもの自立を考えるとき、植物を育てることを念頭に置きましょう。芽が出たら、大きくなれ、とむりやり引っ張りはしません。土と、水と日光さえあれば、自ら成長していきます。
土の入れすぎ、水や日光の与えすぎは、根腐れを起こしたり、枯れさせたりします。反対に、土が少なかったり、水をやり忘れたり、日光に当たらなかったりしても枯れてしまいます。
やりたいと言うのならばさせてみましょう。失敗しても良い経験です。子どもの「やりたい」は、その先にある「達成体験」に繋がります。子どもが途中で投げ出しそうになっても、それを諭し、子どもを尊重しつつ最後まで達成させる、そんなサポートができる親になりましょう。
そして、子どもが折れそうになったら、励ましやこれまでの成功や達成体験を思い出させるという「肥料」を与えて見守りましょう。
image by: Shutterstock.com