メンバー同士が固い絆で結ばれ、相互に信頼・尊重しあえるチームは、仕事でも高いパフォーマンスを発揮します。ではどうしたらそんなチームを作ることができるのでしょうか。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』では著者の石丸智信さんが、フラフープを使ってチームづくりを体感する「アクティビティ演習」から得た知見を紹介しています。
アクティビティ演習から見るチームづくりの要諦
経営幹部の方々が受講された研修を聴講する機会があり、その中で、「チームづくり」に関するテーマがありました。そのテーマの中で、「アクティビティ」と呼ばれる演習がありました。本号では、この演習内容に触れ、チームづくりについて考察していきたいと思います。
このアクティビティ演習では、フラフープを用いて、チームづくりを体感するものでした。今回のアクティビティは、10数名の受講者が1つの円になって、受講者一人ひとりが、胸の高さに人差し指を出して、その指でフラフープを支えて、胸の高さから床に下ろしていく、という演習でした。
フラフープを胸の高さから床に下ろしていく途中で、1人でも指が離れてしまったら、またやり直しというルールです。円になった受講者皆さんが、胸の高さに人差し指を差し出し、その上にフラフープを置いてスタートしました。さぁ、このフラフープをすぐに下がるでしょうか?
「胸の高さから床に降ろしていくんだから、すぐに下がるだろう」と思われるかもしれません。実は、フラフープを置いたとたん、上へ上へと上がってしまいました。以前、私自身も、別の研修で、この演習を体験したことがあるのですが、とても不思議な感覚になりました。
何もしないと、上に上がってしまうので、誰かが自然発生的に声をかけるようになります。だいたい最初は、「どうしたら、下げることができるか」というように“やり方”を話し合うようになります。話し合いながら、そのやり方を実際に試してみると、少しずつフラフープは下がるようになってきます。
そして、フラフープが下がるようになると、今度は、下がるタイミングに合わせるように声をかける人が出てきます。お互いに声を掛け合うようになると、少しずつですがスムーズにフラフープが下がるようになり、この研修でも、床まで下げることができました。
私が体験した研修の時には、円になったみんなが肩を組んで、「イチ、ニー」と声を掛け合いながら、フラフープを下げていって、最後は床まで下げることができました。
このフラフープを使った演習を見たり、体験したりして思ったのは、チームワークなどのチームづくりに関する大切なことが凝縮されているように感じました。
真っ先に、チームにとって大切なことだと思ったことは、チームにとっては、「やり方よりも“あり方”」が大切だと感じました。
何らかのことを解決しようとすると、解決するためのやり方(方法)を考えてしまいます。この演習であれば、「フラフープを下げるためには、どんなやり方があるだろう?」と考えます。
たしかに、解決するやり方なので、この演習では、フラフープが少し下がるなどの効果は見られます。しかし、そのやり方だけでフラフープが下がるかといえば、どこかで下がらなくなるので、やり方だけの効果は長続きしません。
やはり、今回の演習だと「フラフープを胸の高さから床に下げていく」という目標を達成するためには、チームとしてのあり方が大事になります。その目標を達成するに値するチームとしての状態をつくっていくことが何よりも大切だと、この演習を通じて感じました。
つまり、この演習であれば、みんなで肩を組む、声を掛け合う、声を合わせるなど、みんながチームとしてひとつになる状態になると、やり方が違っていても、フラフープは下がっていきますし、目標の達成に近づいていきます。チームとしての「あり方」があっての「やり方」だと思います。
チーム(組織)の状態が整っていることに加えて、適切な戦略・戦術などといったやり方を実行したら、そのチームが発揮する効果は、より大きく、長期的なものになるのではないでしょうか。
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