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子どもの成長を阻害。親が良かれと思っての先回りは「経験泥棒」

可愛いわが子が困ったり怒られたりしないように、つい先回りして障害物を取り除き、手助けしてしまう親のことを「カーリングペアレンツ」と呼ぶのだそうです。そして、そんな親の子どもは、自分自身で考え工夫する力が育たないと、注意を促すのは、メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者、柳川由紀さんです。良かれと思ってしていることが「経験泥棒」となっていないか、振り返ってみてはいかがでしょう。

カーリングペアレンツは経験泥棒

Question

これからの時代は、自己管理能力やコミュニケーション能力を持っていないと生き残っていけない、と聴きました。息子にはそういう能力を持ってほしいと思いますが、自分で何かを積極的にする、ということが苦手です。どのようにすれば、子どもが自然にそのような力を身につけるのでしょう?

柳川さんからの回答

親世代と違い、今の子どもたちの世界はあらゆるもの、コトが多様化しています。ですから、多様化する他者との協力や協働が求められるので、自分の考えや感情コントロールする力、他者とよりよいコミュニケーションを図る力が要求されます。子どもたちにそうした力を身につけさせるために、親ができること、親がしてはいけないことをご紹介します。

1.子どもの障害物を取り除く

スウェーデン生まれのカーリングというスポーツはよくご存知かと思います。ストーンが進む道をブラシでごしごしとならし、スムーズにゴールさせる競技です。

この「カーリング」になぞらえて、先回りをする親、子どもが進む道にある様々な障害物を取り除き、綺麗な道にならしてしまう親を「カーリングペアレンツ」と呼びます。

親の愛情ゆえの行動なので、親に悪気はありません。しかし、この先回り行動は「ありのままのあなたは信頼できない」と言い聞かせているのと同じです。

2.具体的な先回りとは

「明日、お習字セットが必要でしょ?硯と筆も洗ってテーブルに置いてあるから」「体操着の準備はそこにできてるから」「今日は雨が降る予報だから、傘を玄関に出しておいたから」「明日の通院、バスの時間を調べてメモしておいたから」など、本来は子どもが自分で下調べや準備をすることを全て親が、頼まれもしないのに先回りしてやってあげてしまうことです。気づかずに、あなたもやっていませんか?

3.経験泥棒

親が先回りをする環境で育った子どもたちは、多くの経験が欠如してしまいます。自分で考える経験、困難にぶつかる経験、辛い気持ち、不安な気持ちを拭い去る経験、プレッシャーに耐える経験、我慢する経験、失敗する経験などです。

これは、心理学では「レジリエンス(回復力、弾性)」と呼ばれる「折れない心」つまり、「逆境から早く立ち直り、成長する能力」(米:カレン・ライビッチ博士)を作るチャンスを奪うことになるのです。

こうした大事な経験を逸すると、我慢できない、すぐに諦める、自分で考えない、人任せ、待てない、などの状態になりがちです。

家庭教育アドバイス…「先回りは経験泥棒」

2のような先回り行動をしてしまっている親は割と多いのです。なぜなら、親も、その方が楽だからです。「忘れ物をした」と心配する必要が無いだけではなく、もしかしたら先生からも「いつもきちんとしている」などと褒められる可能性もあるのですから。

人は常に予定通りに行動できるものではありません。常に予測不能な未来があります。その都度、臨機応変に対応しなければなりません。親が用意した「正解」ばかりを受け取り、自分で考えてこなかった子どもたちにとって、状況が変わり、これまで上手く運んできたことができなくなったとき、やり方を変え、試行錯誤し、自分で上手くいく方法を見つけ出すことはとても難しいことです。

だからこそ、様々な経験、失敗をし、そこから学ぶ能力を身につけることが大切なのです。親として、経験泥棒だけは、しないようにしましょう。

親の仕事は「待つこと、見守ること」です。「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ」の教えにあるように、子ども自身に解決させるようにヒントを出し、サポートしましょう。

参考までに以前書いたメルマガ記事もお読み下さい。
朝ちっとも起きない子どもを、「いい感じ」に目覚めさせる3つの方法

image by: Shutterstock.com

家庭教育アドバイザー 柳川由紀この著者の記事一覧

家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。子どもは、親のサポートの仕方でずいぶん変わります。子どもの能力を最大限に引き出せるよう、まずは親力をアップさせましょう。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。

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【著者】 家庭教育アドバイザー 柳川由紀 【月額】 初月無料!月額508円(税込) 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第2月曜日・第3月曜日・第4月曜日(年末年始を除く) 発行予定

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