何かを「してあげた」際に相手からの感謝を十分に感じることができず、不満を抱いたことはないでしょうか。教育の現場でもビジネスシーンでも、そんな意識が大きくなると問題が起きてしまうものです。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、「してあげたこと」に見返りを求めない大切さを、わかりやすく解説しています。
「してあげる」は見返りなしのプレゼント
「してあげる」ということについての一つの観。
学校は、子どもに何かとしてあげる場である。いくら主体的に、といっても、何もしてあげない訳にはいかない。教育の場なのだから、当然である(親が子にしてあげるということも同様である)。
さて、「してあげる」の意識が多いほど、ストレスがたまる。こんなにしてあげた「のに」が登場するからである。
ここの意識を変える。して「あげた」のだから、返ってこなくてよいと考える。「あげた」ものを「返せ」というのは、横暴である。「いつになったら返すの」とか言われたら、もらったと思っている方はびっくりする。
「あげる」は「貸し」とは違う。「あげる」というのは、プレゼントである。見返りを期待するものではないし、相手が喜ぶかどうかも、相手主体、相手次第である。
プレゼントの最大の恩恵は何か。あげる側の幸福感である。相手の喜ぶ顔を期待する幸福感である。選ぶ段階から楽しいのが、プレゼントの本質である。
プレゼントを渡した相手が、喜ばなかったとする。「これ、いらないや」と言うこともある。この時、相手を非難するのはおかしい(まあ、子どもでなかったら、通常「嬉しい」「ありがとうございます」ぐらいは言うという礼儀はある)。たまたま、プレゼントの選択が良くなかったのである。そこをくよくよしても仕方ない。
あげたら、それで終わり。見返りを期待しない。返してもらおうとしない。
こう考えるだけで、ストレスが大幅に減る。例えば、ものすごく力を入れた授業研で、子どもの反応が思うより良くなかったとする。そこに怒るのは、当然変な話である(授業がつまらないという証である)。
自分があげたくてあげたのだから、そこまでである。見返りを期待しない。あらゆることに応用の効く観なので、紹介してみた。
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