どんな大きな企業であれ、スタート時点から「大企業」として船出した会社など皆無に等しく、どこもが最初は中小企業だったと言っても過言ではないでしょう。では、中小で終わるままの企業と大企業に成長する会社、その差はどこにあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』で、経営コンサルタントの梅本泰則さんがその秘密に迫っています。
やるべきことをやる
スポーツショップの中には、やるべきことをやっていないお店があります。それでは、なかなか業績があがりません。そうしたお店は、こう思っています。
「売れそうな商品を仕入れて、愛想よく売っていれば大丈夫だ」
そうなんです。このお店の商売は、ただ商品を仕入れて、そのまま売っているだけという昔ながらの方法で行っています。しかし、それだけではお店の運営はできません。「そんなことは分かっている」という声が聞こえてきます。
「商品陳列を工夫したり、イベントを行ったり、たまにはスポーツ教室を開いたり、売る為の努力はいろいろとしているんだ」
頑張っておられることはよく分かります。私が言いたいのはそういうことではありません。販売をするにしても、仕入をするにしても、ちゃんと数字を計画して、その計画をもとに経営をしているかどうかということです。
例えば、次にあげるいくつかの項目で、しっかりと行っていると言えることはどれくらいあるでしょうか。
- 月ごとの販売目標金額をカテゴリーごとに決めている
- 売れた商品ごとの数と金額を毎月集計している
- 毎月の販売結果を目標と照らし合わせて原因を考えている
- 毎月考えた原因をもとに次の月以降の対策を考えている
- 毎月、売れた商品ごとの粗利益を集計している
- カテゴリーやブランドごとに毎月の仕入金額の計画がある
- 仕入金額の計画と、実際の仕入金額との差を明らかにしている
- 毎月の売上の推移を見ながら、仕入計画の調整をしている
- 販売実績の内容をもとにメーカーへの発注をしている
- 定期的に棚卸をして、商品ごとの在庫金額をつかんでいる
- 棚卸の結果から、商品回転率を出している
大企業と中小企業
いかがですか。この中のいくつの項目を行っておられるでしょうか。実は、これらのことは大手のスポーツショップでは当たり前のように行われています。つまり、「販売管理」「仕入れ管理」「在庫管理」です。しかし、残念ながら多くの中小店ではこれらのことがおろそかにされています。大企業と中小企業との差は、ここにあるのでしょう。
大企業では、数字を計画してその推移を見ながら対策を立てて修正をしていくのが普通です。ですから、大企業を経験した経営コンサルタントの方は中小企業のコンサルティングをすることになったとき、「こんなこともやっていないのか」と驚きます。
つまり、大企業では当たり前にやられていることが、中小企業では当たり前ではないのです。スポーツショップでも同じことがいえます。どうしてそのようなことになるのでしょうか。
経営者と現場が近いということが原因かもしれません。例えば、毎日売場での動きを見ていれば、数字を見なくても傾向は分かるという経営者がいます。しかし、それは本当でしょうか。実際に数字のデータを出してみたら、経営者が思っていたことと違っていたということもよくあります。そのためにも、数字を管理することが必要です。
さて、もう少しチェック項目を挙げてみます。
- 顧客リストを作っている
- 顧客リストをもとに、お客様にアプローチをしている
- 定期的に顧客リストを入れ替え修正している
- 顧客別購入履歴を記録している
- 仕入伝票と請求書の照合をしっかりと行っている
- 集金予定表を作っている
- 支払い予定表を作っている
- 毎月、資金繰り表を作っている
いかがでしょうか。「顧客管理」「会計・財務管理」ですね。これもしっかりと行わないと、経営がうまく回りません。大企業では当たり前のことです。
管理の仕方
要するに、今回あげた項目はお客様には見えない部分です。このお客様に見えない部分をしっかりと管理することが、経営力をつけることになるのではないでしょうか。では、この「管理」は誰が行うのでしょう。「管理」を勧めると、こんな言い訳をする経営者がいます。
- そんなデータを取る時間がない
- 店に合った管理用ソフトがない
大丈夫です。その気になれば、時間は作れます。データはエクセルを使えば出来ます。「管理」は経営者が行うと良いですが、不得意ならば担当者を決めても良いです。もちろん、今回挙げた項目の多くが出来ていないとしたら、一度に始める必要はありません。まずは、販売管理を徹底することから始めてください。それができたら次に移りましょう
そして、PDCAです。PDCAとはプラン・ドゥ・チェック・アクションでした。つまり、計画を実行し、その結果を検証して計画を修正するという一連の作業を繰り返す必要があります。そのことによって、業績は上がっていきます。
いずれにしても、大企業にとって当たり前のことが中小企業では行われていないことが問題です。大企業の経験がない人が経営者になることが多いわけですから仕方がないことかもしれません。
しかし、考えてみてください。大企業もその昔は中小企業だったのです。その中小企業が「管理」という武器を手に入れたからこそ大企業になっていったのだと思います。ですから、今からでも遅くはありません。中小のスポーツショップも、「管理」を実践していきましょう。そして、やるべきことをやって、成長をしていきましょう。
■今日のツボ■
- 中小店も計画した数字をもとに経営をすることが重要
- 大企業で当たり前に行われていることを中小企業も行う
- 「販売管理」「仕入れ管理」「在庫管理」を徹底する
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