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ドコモが進めるポストSuicaの新決済システムが期待できるワケ

1月23日、24日の両日、NTTドコモが東京ビッグサイトでの単独イベントを開催し、5Gを始め未来を見据えた取り組みが注目を集めました。ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、中でもUWBやクラウド型のID乗車券システムへの期待感を、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』にその理由とともに綴っています。一方、同じ週の注目情報として、楽天モバイルがオープンするカウンターのないショップの話題に触れ、その狙いを解説。ただし、継続性には疑問符をつけています。

NTTドコモが最先端技術を集めたイベントを開催――QRコードは5Gとの組み合わせでSuicaの代わりになるか

今週、東京ビッグサイト(青海展示棟)に「DOCOMO Open House 2020」というイベントが開催された。展示棟の2つのホールを貸し切り、5GやIoT、AI、デジタルマーケティングなど多岐に渡るブースがあったのだが、一企業のイベントとは思えない広さに圧倒されてしまった。来場者のなかには「CESより面白い」といった声があったりするなど、展示物の充実ぶりも目を引いた。

NTTドコモの5G関係者によれば「広い会場を偶然にも抑えることができてしまった」ということで、巨大なイベントになったと謙遜していたが、NTTドコモが5Gにかける意気込みが伝わってきたように思う。

なかでも印象に残ったのが、非接触系の技術だ。ひとつはUWBを使った決済システムで、特定の位置に立つと、UWBによってスマホが通信を行い、アプリ上の決済を完了してしまうというもの。タッチやかざすといった行為は不要で、スマホを持っているいるだけで決済が終わってしまうおサイフケータイだ。

もうひとつが、QRコードを使った自動改札のシステム。QRコードといえば、認識するのに時間のかかるイメージだが、展示されていた技術ではQRコードを瞬時に読み取り、5G経由でMECにつなぎ、認証してゲートを開けていた。ゲートが開くまでの時間は0.18秒程度。Suicaでは0.2秒でゲートを開く必要があるとされており、Suicaに置き換わる技術として注目されていた。

今週、PASMOがアプリ化されて、Androidに対応すると発表があった。iPhoneへの対応はまだ時間がかかるようだが、PASMOがスマホで使えるようになるのは大きな進歩だ。ただし、一方で「いつまでFeliCaに頼るのか」という点も気にしておきたい。

確かにFeliCaは便利だが、課題もあるのも事実。5G時代にはもっと便利で安全な決済や自動改札の仕組みがあってもいいように思う。そんななか、UWBやクラウド型のID乗車券システムは、これからの決済や自動改札の仕組みを変えてくれそうな気がして、ちょっぴりワクワクしてくる。UWBはすでにiPhone11シリーズに搭載されるなど、世界的にも普及が見込まれる。

今後、ますます訪日外国人が増えてくる中、グローバルに普及している技術や規格を組み合わせ、いかに日本らしい最先端で便利なサービスを提供できるか。UWB決済やクラウド型のID乗車券システムはまさにグローバルな規格をベースに新しい取り組みをしているという点で、将来的に期待できそうだ。

楽天モバイルが恵比寿駅前にショップをオープン――カウンターのないショップはユーザーに受け入れられるか

1月23日、楽天モバイルが無料サポータープログラムの拡大を発表。従来の5000人に加えて2万人を追加するという。商用サービス開始時、楽天モバイルでは予めネットで楽天IDと連携させ、機種や料金プラン、契約者情報を事前登録しておけば、ショップでは重要事項の説明と本人確認ののち、機種が受け取れるようになるという。

シンプルな手続きにより、契約時間は最短18分になるとのことだ。従来、他の店舗では2時間半近くかかることもある。また、楽天モバイルのMVNOでも97分かかるということから、大幅な時間の短縮になるようだ。

ただ、実際はネットで機種と料金プランを選べるのであれば、そのままネットで契約手続きを進めてしまうのではないか。客とすれば、「実際にスマホは触って確認したい」「店員さんにおすすめを聞きたい」「料金プランも店員さんに聞きながら選びたい」からこそ、店舗に足を運ぶわけで、スマホやPCで事前登録してくる人がどれだけの割合になるのかはかなり未知数だろう。

今回、楽天モバイルは、恵比寿駅前に新たにショップをオープンさせた。ショップは佐藤可士和氏がデザインなどを監修しているという。

ショップには受付カウンターなどはなく、店員がタブレットを使って契約業務を行うという。このような接客方法は、アップルストアでは当たり前に行われているし、アメリカのベライゾンなどのキャリアショップでもすでに取り入れられている。ただ、椅子がないと、長時間、待たされたときに契約せずに帰ってしまう客が続出しないか心配だ。

とはいえ、どうやらショップ店員間でメモ用紙のやりとりは発生しないものと思われ、客を侮辱する心配はなさそうだ。また、店内にはポスターなどは掲示されないという。

新規参入キャリアとなると、どうしても最初はショップにも変化を求めようと頑張ってしまう傾向が強い。特に思い出させるのが、ソフトバンクがボーダフォンを買収し、オープンさせた表参道店だ。当時、100席以上のカウンターを設け、「日本最大」と銘打ち、24時間営業を華々しくぶち上げていたが、結局、半年も経たずに通常の営業時間にしれっと変更。100席のカウンターもみるみるうちに減っていった記憶がある。結局、いまでは他とは変わらないショップになってしまった。

楽天モバイルの新しいショップも、実際に商用サービスが開始され、ユーザーが殺到したときに、どれくらい機能するのか。最初の意気込みとコンセプトをどこまで維持できるのか、注意深く見守っていきたい。

image by: shutterstock

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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