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サッカー元U-18日本代表、甲子園優勝キャプテン相次ぎ逮捕の衝撃

野球、サッカーという人気競技の高校年代に輝かしい実績を残した人物の逮捕が相次いで報道され、両スポーツのファンに衝撃を与えています。サッカー情報で人気のメルマガ『J3+ (メルマ)』の著者じじさんは、「野球やサッカーばかりしてきたのが良くないとの意見は的外れ」と否定。元U-18日本代表でもプロになれるとは限らないのがプロの厳しさで、抱いていた夢を叶えられなかった選手たちを別のキャリアにどう導くかに課題があると指摘します。

元U-18日本代表、甲子園優勝キャプテンが逮捕

FC東京U-18でプレーして中央大に進学した鴨池陽希氏が2019年の9月に武蔵村山市にあるショッピングセンターで買い物中の女性から現金2万8,000円などが入ったバッグを盗んだ疑いで警視庁に逮捕されたというニュースが入ってきた。中央大の4年生と報じられているが1995年5月生まれなので現在24歳。FW矢島輝がFC東京U-18の同期になるが「大学6年生」に相当する。『24歳で大学4年生』ということは(浪人はしていないので)留年をしていると思われるがU-18日本代表に選出された経験を持っている。

FW南野やMF金子翔やMF川辺やDF中谷進やGK中村航などが中心だった世代の年代別代表に招集されているが「元U-18日本代表」ということでメディアに大きく取り上げられている。サッカー界全体のイメージダウンにつながるが「初犯ではない」という。以前にも同じような手口でひったくりをして捕まっているという話なので呆れる話である。ショッピングセンター内となるとそれなりに人も多いはず。また、買い物中の57歳の女性が大金を持ち歩いている確率はあまり高くないことを考えると極めてばかげた話である。

サッカーの鴨池氏の事件以上にショッキングだったのは野球の千丸剛氏の事件になる。こちらは元・高校球児になる。しかも、2017年の夏の甲子園大会で優勝した花咲徳栄高の主将だった選手である。チームメイトの清水達也は中日ドラゴンズ、西川愛也は西武ライオンズに高卒で入団するなど高校時代のチームメイトはプロの世界で頑張っているがこちらは「強盗目的で民家に侵入して住人に頭蓋骨骨折・顔面切創などの大怪我を負わせたとして千葉県警に強盗致傷などの疑いで逮捕された」と報じられている。

計5名が逮捕されているが「頭蓋骨骨折・顔面切創などの大怪我」というのはとんでもない話である。「バッグを盗んだ疑い」という鴨池氏がマシに思えるほどの大犯罪である。また、2年半ほどしか経過していない2017年の夏の甲子園の優勝チームのキャプテンだったというのもショッキングである。千丸剛氏は駒澤大に進学しているが1年のうちに退部。大学も中退しているというが「さわやか」や「クリーン」や「正々堂々」という形容詞が付けられることが多い高校野球をしていた選手とは思えないほどの事件である。

「千丸剛氏の野球の実力がどのくらいだったのか?」は分からない。大学で頑張ったらプロに進めるほどだったのか?否か?は分からないが大学で道を外してしまう選手は多い。高校までは無我夢中で野球やサッカーだけに打ち込んできたと思うが大学に入ると選択肢が増える。野球部やサッカー部に所属したとしても野球漬けやサッカー漬けにはならないのが普通である。自由時間も多くなるが野球の名門の駒澤大、サッカーの名門の中央大となるとライバルも多くて試合に出たり、ベンチに入るのも一苦労だろう。

大学で道を外してしまう選手たち

大学を経由してプロ野球選手やJリーガーになった選手はたくさんいるが一握りの選手のみである。大学くらいになると自分の立ち位置も分かってくるので「この先、野球やサッカーを続けても見込みはない」あるいは「プロになれる可能性はほぼゼロに近い」と思っても不思議はない。監視をしてくれる人も中学や高校までと比べると圧倒的に少なくなるので道から外れやすい。2人とも野球やサッカーのエリートであり、恵まれた環境でプレーしてきた選手になるがこんなことになるとは誰も予想できなかっただろう。

こういう事件が発生すると「野球やサッカーばかりしてきたのが良くない」、「人間教育はどうなっているのか?」という話になるがほとんど全ての人はこんな犯罪は犯さない。「野球やサッカーだけしかしてこなかったのが悪い」という話にもなるが「極端な例」を持ち出して野球あるいはサッカーを批判するのは誤りと言える。この2人レベルで学生時代にスポーツに打ち込んできた人が、後々、犯罪を犯す確率は学生時代に何も熱中するものがなかったごく普通の人が犯罪者になる確率よりもはるかに低いと思われる。

なので「野球やサッカーだけしかしてこなかったから…」という風な批判は的外れな意見だと思うが、「セカンドキャリアの問題」は野球界でもサッカーでも無視できない。この2人ほど高校時代にレベルの高い環境でプレーしてきた選手であれば「プロになること」は大きな目標として掲げてきたはずである。特にU-18日本代表に選出されている鴨池氏くらいになると「Jリーガーになること」は現実的な目標だったと思うが「高校卒業時にJリーガーになる」という目標は達成できなかった。この時点で1つの夢が潰えたことになる。

プロになるのは難しい

改めて言うまでもない話になるが「プロになる」のは大変なことである。Jリーグは56クラブあるが各チームが保有する選手の数は30名前後である。単純に56クラブ×30人だと1,680名である。外国人選手もいることを考えると「狭き門」である。鴨池氏のように高校時代に年代別代表に選出されたクラスの選手がトップ昇格を果たせないケースは多々ある。当然、FC東京くらいのチームになるとトップ昇格のハードルは相当に高くて、今オフに北九州に加入したFW佐藤亮(明治大)でさえ、FC東京のときはトップ昇格を逃している。

彼はFC東京U-18の頃から注目を集める選手であり、2016年にはU-19日本代表に選出されているが、大学に進んでいる。明治大の顔として大学時代は華々しい活躍を見せたが、北九州入りが決まった時期も他のチームメイトと比べると遅かった。しかも、MF安部柊(FC東京)やDF中村帆(FC東京)やDF森下龍(鳥栖)などが早々にJ1のクラブに内定する中、J3からの昇格組である北九州に加入することになったので「高校卒業の時点でも今の大学卒業の時点でもプロ側の評価はそこまで高くなかった」と推測できる。

FW佐藤亮ほど高校や大学で実績を残した選手でさえ、「プロ入りできるか微妙」と言えるくらいなので大変な世界である。「ほとんどの選手はプロになることは出来ずに一般社会で働くことになる」ということは分かった上で高校や大学の監督やコーチは指導をしていると思うが「野球やサッカーしかできない」、「他のことは全くできない」という選手はどうしても出てきてしまう。サッカー界はアジアや欧州などでもプレーできる可能性があるので「野球よりは選択肢は多い」と言えるが2人のようなニュースを聞くと寂しい気持ちになる。

image by: shutterstock

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