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「新型肺炎患者数ゼロ」と北朝鮮が虚偽報告してまで避けたい事態

南極を除く世界の大陸で猛威を振るう新型コロナウイルス。各国が懸命な感染拡大防止策を取る中、発生国の中国と国境を接する北朝鮮は、「感染者なし」とのにわかに信じがたい主張を繰り返しています。そこにはどんな意図が隠されているのでしょうか。北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さんが、自身が主宰するメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』で、北朝鮮がそう主張せざるを得ない裏事情を明かしています。

新型コロナウイルス感染マップが白地図状態の北朝鮮

中国武漢発の新型ウイルスの感染者数と死亡者数は全世界で9万人を突破し、国の数も63か国以上にまで拡大した。

発症国の中国以外にも日本や韓国、イラン、イタリアなどの感染者数が増大しており、テレビや新聞は毎日、その数の推移を発表している。

某民放テレビ局の昼のワイドショーニュースでは、世界地図に発症国に印をつけて報じているが、もはや南極大陸以外の大陸に拡散してしまった。「世界的な大事態にまで拡大した」と、司会の某氏が口酸っぱく言っているが、この世界地図の真ん中付近、つまり日本と韓国付近のところに発症国の発症と死亡者数などを示したテロップ(?)が出てくるので、日本や韓国の姿がよく見えない。

そこで、ある日、新聞の記事に同じような発症国の地図が出ていたので、よく見ると大国中国の周辺国家はみな発症国として識別されているが、さらによく見ると、中国大陸と地続きの朝鮮半島の北朝鮮だけは真っ白になっている。

よく見ないと見過ごしてしまう小さな空間である。なぜ、ここだけが白いのか。中国の大半の周辺国家が発症国として色別されているのに、よりによってこの小さな白色の国だけは中国武漢発の新型コロナウイルスの発症国になっていないのだろうか。誰が考えても“いの一番”に「お前の国に感染者がいないなんていうことは考えられない。お前の国は中国と陸続きではないか(いちおうは鴨緑江と豆満江それに白頭山(中国名・長白山)で国境は遮られているとは言え)。それなのに感染者が1人もいないとは、おかしいではないか!」と言うだろう。

私は、この北朝鮮だけがわずかにぽつんと白色になっている地図を見て、3年前に発行された『Earth Night』という地図を思い出した。これは世界各国の電力事情を夜空の宇宙から見た(撮った)人工衛星がとらえた写真であるが、朝鮮半島とその周辺国家を見ると、この新型ウイルス感染国の地図とは対照的に、北朝鮮の周辺国は明かりが煌々(こうこう)としているのに、1人北朝鮮だけはわずかに平壌などがかすんで見えるが、「漆黒の世界」であり、韓国とは地続きなのに、韓国が「陸の孤島」に見える。

つまり、新型ウイルスの感染国なのに北朝鮮はしらを切って「わが国には感染者は1人もいない」と言うので、WHOも北朝鮮の発生者はいないということで地図にはゼロの空白地帯としているが、一方の夜に宇宙から撮った写真には北朝鮮の電力事情があからさまに晒されているのである。つまり、電力事情が貧弱であるために、煌々とした夜の世界を演出したくても北朝鮮にはそれができないので「漆黒の地域(暗黒の世界)」をさらけ出すしかほかになかったのである。

この「白の空白地帯」は、北朝鮮が実際には大量の発症者がいるにもかかわらず、「わが国には1人もいない」とWHOに虚偽の報告をし続けていることを意味している。

もしWHOに「現在の感染者数は〇〇人です」などと下手に報告をすれば、その後の経過、経緯について報告しなければならないし、場合によっては国際的な医療団などが派遣されてくると、北朝鮮の貧弱の医療体制や技術などが白日の下に晒されてしまうので、それは何としてでも避けたいところである。

また、北朝鮮にとっても今さら「いつ、どこで感染者が発生しました」とは言いづらいし、北朝鮮の「どの地方、どの組織から発生した」のかを一番に言う者はいないはずだ。なぜなら、言ったら、間違いなくその組織の長は左遷、粛清の憂き目にあうことになる。

すでにインターネットなどでは、北朝鮮のウイルス患者の発生とその惨状が伝えられている。次号でさらに北朝鮮で起きていることを報告しよう。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)

image by: Torsten Pursche / Shutterstock.com

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元山梨学院大学教授の宮塚利雄が、甲府に立ち上げた宮塚コリア研究所から送るメールマガジンです。北朝鮮情勢を中心にアジア全般を含めた情勢分析を独特の切り口で披露します。また朝鮮半島と日本の関わりや話題についてもゼミ、そして雑感もふくめ展開していきます。テレビなどのメディアでは決して話せないマル秘情報もお届けします。長年の研究対象である焼肉やパチンコだけではなく、ディープな在日朝鮮・韓国社会についての見識や朝鮮総連と民団のイロハなどについても語ります。

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