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楽天モバイル「名ばかり使い放題」基地局4400のみという貧弱さ

3月3日、国内携帯電話の第4のキャリアとなる楽天モバイルが料金プランを発表しました。「月額2,980円で使い放題」という面ばかりがクローズアップされ報じられる傾向にありますが、「完璧な使い放題とは言い難い」とするのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。石川さんは自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で今回、そう判断する明快な理由を記すとともに、月額7,480円設定のソフトバンクとの比較を試みています。

楽天モバイルが月額2,980円で自前網限定「使い放題」を提供――安さの理由は「完全仮想化」よりも「4,400局」なのではないか

3月3日、楽天モバイルは4月8日から本格サービスを開始する携帯電話事業の料金プランを発表した。

月額2,980円で楽天自前エリアであれば使い放題。ただし、パートナーエリアは2GBまでしか使えず、超過した場合は128kbpsになるが、1GB500円で追加も可能。300万人は1年間無料となるキャンペーンもある。ぶっちゃけて言えば「無料サポータープログラム第3弾」みたいなものだ。5,000名が2万5,000名となり300万名になったといえるだろう。

やはり、月額2,980円のインパクトは大きいようで、一般紙などはこぞって「これで4社間の料金競争が起こる」とのんきなことを書いている。やはり、どんなに安くても「いつでもどこでもつながる」ということが重要であり、都内でも地下などではパートナーエリアにつながってしまうようでは完璧な「使い放題」とはいいがたく、ユーザーにストレスを強いることになるのではないか。

一般メディアから「なぜ、楽天はそんなに安いのか」と聞かれることが多いが、表向きの理由としてあげられるのが完全仮想化ネットワークだ。楽天モバイルでは「設備投資は40%、運用コストは30%削減できる」と強調する。

ただ、別の基地局ベンダー関係者に言わせると「完全仮想化ネットワークは3年早すぎる技術。コストが削減されるように言われるが、実際には設備を置く場所がかなり必要になってくるし、マシンのパワーも必要になってくるため、電力コストがかなりかかる。既存の設備とコスト的にはあまり変わらないのではないか」とのことだ。

ぶっちゃけて、楽天が安価な料金プランを提供できているのは、三木谷浩史社長の思いつき的な料金設定と、「基地局の少なさ」なのではないか。

楽天モバイルの基地局数は3月末の見込み数で4,400局となる。短期間にこれだけの基地局を設置したのは大したものだといえる。ここは素直に称賛に値する。

ただ、無理を承知でざっくりとしたことをいうと、月額2,980円で4,400局しかつながらないということになる。一方、ソフトバンクの場合はメリハリプランの月額7,480円で23万局つながるという計算が成り立つ。

楽天モバイルとソフトバンクの料金の差は2.5倍あるが、使える基地局数で見ると、52倍の開きがあるのだ。

つながる場所、使える基地局という視点に立つと、ソフトバンクのほうが安いといえなくもない。

果たして、4,400局だけの使い放題で本当にユーザーは満足するのか。1年無料とはいえ、ユーザーの反響が気になるところだ。

ソフトバンクが「AQUOS R5G」など5Gスマホを4機種投入――ラインナップになぜ「Xperia 1 II」がなかったのか

ソフトバンクは3月5日、5Gサービスを3月27日より開始すると発表。同時に5Gスマホ4機種を発表した。

シャープ「AQUOS R5G」、LGエレクトロニクス「V60 ThinQ 5G」、ZTE「Axon Pro 5G」、OPPO「Reno3 5G」といった布陣だ。

ソフトバンク常務執行役員プロダクト&マーケティング統括モバイル事業推進本部本部長兼コンシューマ事業統括新規事業開発室室長の菅野圭吾氏によれば「安定感のシャープ、2画面でコンテンツを楽しめるLG、ちょっと目新しいということでOPPOを選んだ」という。

驚いたのが、ソニー「Xperia 1 II」がなかったということ。菅野氏によれば「ソニー・Xperiaについては、いつになるかはわからないが、次回というかたちで継続的に取り組ませていただく」という。今回は春モデル的な位置づけとなるが、夏モデル以降で採用される可能性について含みをもたせた。

価格に関しては、3月27日に発売するモデルに関してはすでに公表されている。AQUOS 5GRは12万9,600円、Axon Pro 5Gが8万,9280円だ。いずれもSnapdragon 865を搭載しているので無理もない。やはり、5Gスマホの初期モデルは10万円前後が当たり前になりそうな雰囲気となった。

ただ、ソフトバンクではOPPO「Reno3 5G」を投入してきた。榛葉淳副社長によれば「驚くような低価格で5Gをお楽しみいただける」と強調していた。

菅野氏は「OPPOが、日本市場に参入したときから話はしてきた。『いいタイミングが来たらやりましょう』と言っていたが、ようやく5Gでタイミングがやってきた。5Gスマホのなかでもユーザーの手元に届きやすいものを目指すことになった」という。

Reno3 5GはSnapdragon 765Gを採用する。このあたりの値付けがいくらになるのかが注目と言えそうだ。

本来、低価格な5Gスマホを目指すなら、ファーウェイ製を選べるのが望ましい。しかし、昨今の情勢ではキャリアがファーウェイを採用するのは難しい。

菅野氏は「ファーウェイ製品は技術的、スペック的にも素晴らしく、個人的な想いとしては頑張ってもらいたい。ただ、今後、採用するにも、ユーザーや店頭でのオペレーションを考えると、iOS、Androidがあるなかで、HMSという独自のものが混ざっていくのは、正直想像できない。ショップスタッフがきちんと説明できない状態が続いてしまうと、ファーウェイにとっても良くないんじゃないかと、個人的には思う」と語る。

日本市場において、Google Playが使えないというのは、キャリアにとってどうすることもできないようだ。

日本では昨年10月に法改正があり、端末割引に規制が入った。5Gスマホが飛ぶように売れている韓国にさらに置いてけぼりをくらう感がある。

菅野氏は「5Gが広がると産業に大きな影響を与える。他国はそこを広げようとやっている。5Gの世界感を広げていきたいが、明確な答えはない。中国や韓国、アメリカは5Gを契機にIT産業周辺でさらなる成長を目指している。我々もBeyond carrierを標榜しているので、なんとかしていきたいなと思っている」という。

いよいよ5Gが始まり、盛り上がりを見せようとしているが、結局、法改正が足を引っ張ることになるかもしれない。

image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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