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飲食店やジム、劇場に学校も。ニューヨークが完全閉鎖を急いだ訳

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ニューヨークのビル・デブラシオ市長は16日、レストランやバー、劇場やジムなどの完全閉鎖を指示する行政命令に署名しました。ニューヨーカーにとっても急な今回の規制強化の背景を『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者でニューヨーク在住のりばてぃさんが伝えてくれました。りばてぃさんによれば、17日にカトリックの祭日を控えていたことに加え、50%規制がかかった前週末の飲食店の様子から、規制実施の困難さの実態も要因の1つと推測しています。

なぜ完全閉鎖を急いだのか!?

ついにここニューヨークもほぼ閉鎖状態になった。先週の木曜日までは、50名以上集まる会合は原則禁止、ブロードウェイ・ミュージカルなどのショーも禁止、レストランやバーは収容率を50%に抑えるようにといった規制があっただけだった。

ヨーロッパからの入国規制がはじまったので若干ニューヨークの街を行き交う人が少ないなぁという程度だったが、週末ついにレストランやバー、さらにはフィットネスジムまで完全閉鎖。街から人が消えた…といってもいいような状況となっている。

ご参考:
Ten of the Most Dramatic #NYCShutdown Images

レストランやバーなどの飲食店に関してはテイクアウトやデリバリーは可能だが対応していない店も多いため期間未定で閉店というところがほとんどとなっている。

さらにあんなに閉校を拒んでいたニューヨーク市内の公立学校も今週から閉校している。本当に急だった。それだけ今、人の交流を止めないと感染拡大を防げない状態になっているということなのだろうけども、それでもこんなにも対応を急いだ背景には、17日(火)のセント・パトリックス・デー(St.Patrick’s Day)を控えていたからだとも言われている。

セント・パトリックス・デーはカトリックの祭日かつ、アイルランドの祝祭日。もとはアイルランドにキリスト教を広めた聖人聖パトリックの命日で、アイルランドだけでなくアイルランド移民が数多く住むアメリカでも(総人口およそ10%超)全国的に各都市で大規模なパレードが開催される日となっている。

緑色をモチーフにした服やグッズ、クローバーを身に付けることでも有名で、過去のブログで取り上げたパレードの様子をいていただくとイメージがつかめると思う。

ご参考:
NYのセント・パトリック・デー・パレード 2016
セント・パトリック・デー(St. Patrick’s Day)のNYの街角風景

アイルランドといえば、アイリッシュ・パブ。いわゆるバーだ。アイルランドの首都ダブリンに行ったことのある人はご存知と思うが、ダブリンといえばアイリッシュパブが有名で、人気店は並ばないと入れないほど混んでいるし、バーの外には樽を使って立ち飲みエリアを設置しているところも数多い。

また、世界的に有名なギネスの醸造工場がある。中は博物館にもなっていて、ギネスの歴史を学んだり、一番美味しいギネスビールの注ぎ方講座も受けることができたり、(しかも上手くつげたら証書ももらえる笑)最上階にはダブリン市内を見渡せるビール・バーもあるなどギネスビール好きには堪らない場所となっている。

そして、アイルランドはビールだけじゃない。アイリッシュ・ウィスキーも非常に有名で、アイルランドでしか飲むことができない銘柄も多く、それだけを飲みに旅行にいくと言う人もいるだろう。

アイルランドといえばお酒だけではないけども、アイルランド人が多く住むアメリカにはアイリッシュ・パブがそこかしこにあり、セント・パトリックス・デーには大盛況となる場所の1つとなっている。

それが今年は冒頭でお伝えしたように先週からニューヨークのレストランやバーは収容率50%とする規制がはじまった。アイリッシュ・パブも当然収容率を50%にしないといけない。でもそんなことは到底不可能ということがわかったのだろう。

アイリッシュ・パブに限らず、金曜、土曜のニューヨークのレストランやバーは非常に賑わい満席だったとニュースで報じられている。実際、個人的な経験としても実感している。先週の金曜日に会食があったのでイーストビレッジのレストランに行ってきたのだが、収容率を50%にするのは店側が強い意志を持って臨んだとしても運営的に非常に難しそうだった。

実際、店員さんとお話したところ、お客さん同士の間を1メートルあけるため席を1つあけて座ってもらうようにするといっていたけど、実行しきれていなかったのだ。

空いている時間帯はコントロールが効くが忙しさがピークになるとどうしても隣の席に案内するしか方法がなくなっていたようだしデザートまで食べて帰りそうなお客さんが意外とその後長く話し込んでしまうということもあるようだった。

私たちの席でも、デザートを食べ終わってお茶も飲み終わりお会計をお願いしようとしたけども、店が混んでいたので店員さんがつかまらない。ようやくお願いしても忙しいのでお会計の紙がなかなかテーブルにこないという状況だった。

じゃあ、席があくまでお客さんを入れずに対処すれば良いのでは?と考える人もいるかもしれないが、商売をしていれば少しでもお客さんを入れたいだろうし、なにより席が空いているのにお客さんを立たせて待たせるのは思った以上に心苦しい。

1日働いて疲れている人もいるだろうし、とにかく早く座りたいと言う人や空腹で大変だと言う人もいるだろう。様々な事情は人の数の分だけあるし、対応する側も様々なのだ。一律に規制をかけるのは難しいのである。おそらく同じような状況は他のレストランにもあるだろうし、これがバーになればなおさらだろう。

結果、先週末のニューヨークのレストランやバーは大繁盛だったところが多く、年に1度の祝いの日であるセント・パトリックス・デーではさらなる混雑が容易に予想できたということで急な閉鎖が決定されたのだろう。

そう考えるとニューヨーク州に限らず、ニュージャージー、ペンシルバニア、コネチカットなどの近隣の州もバーが混み合う夜8時以降の店内飲食を禁止にしたのが理解できる。解除期限は明確ではなくいつまで続くかは不明だが、ひとまず15日間は様子を見て延期するのか、一部を解除するのかが決まっていくようだ。

ちなみに、ニューヨークのレストランはテイクアウトやデリバリーはOKなのと、普段は違法だけど食事と一緒であればアルコール類もオーダーできるという特例が出されている。

image by: shutterstock

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ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。

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