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なぜJリーグの再開カードは、公式発表より先に報じられたのか?

Jリーグの再開(J3は開幕)の日程は、J2とJ3が6月27日、J1が7月4日と発表されました。最初の対戦カードも6月15日の正式発表を前に、各スポーツ紙が全対戦カードを掲載。ファンは、これを確定情報と受け止めていますが、Jリーグ関係者からは情報漏れを問題視する発言があり物議を呼んでいます。サッカー情報で人気のメルマガ『J3+ (メルマ)』の著者じじさんが、コトの成り行きを解説。移籍については契約に悪影響が出ることはあっても、日程のリークは助かることも多く、話題面でも歓迎の立場を示しています。

再開初戦のカードのリーク問題について

新型コロナの影響で中断しているJリーグの再開が間近に迫ってきた。J1は7月4日(土)、J2とJ3は6月27日(土)に再開することが正式に決まった。プロ野球は6月19日(金)に開幕するのでようやく日本国内のプロスポーツが再開できそうな空気になってきたがJ1とJ2とJ3の初戦のカードについてはいくつかのメディアが先行して明らかにしている。J1では大阪ダービー、J2では四国ダービーが組まれるなどいきなり好カードが目白押しである。移動のことを最大限に考慮してほとんどの試合は近隣のクラブ同士の対戦になる。

J1もJ2もJ3も注目カードが目白押しなのでワクワクしている人は多いと思うが、再開初戦のカードについては「あくまでもメディアがこうなるらしい」と流しただけである。正式な発表ではない。「当面の対戦カードは6月15日(月)に発表される」と報じられているがリークされる形で公になった。開幕カードも、ほぼ毎年、Jリーグから正式発表される前にメディアで先行して流れているが「先行で流れた対戦カードが誤報だった」ということは記憶にはない。「今回の情報もほぼ間違いない」と言い切ることが出来る。

早い段階で日程が明らかになった方がサポーターにとっては都合がいい。今回は無観客試合なのでサポーターが試合を生で観ることは出来ないが、平常時であればホテルや電車や飛行機を予約するなど遠征の計画を立てないといけない。早い段階でこれらの予約が出来た方が都合がいいのは明らかである。遠征のために有給を取らないといけない人も出てくると思うので早めにメディアが情報を流してくれることをありがたく思っている熱心なサポーターは少なくないと思うが「リークされた情報」であることは間違いない。

Jリーグのサポーターにとって「先に開幕カードの情報が流れること」は当たり前になっているので、今回、先に情報が流れたことを批判する人はほぼいなかったが、J2のFC琉球の前社長の三上昴氏が自身のTwitterで「公式発表を待たずに再開初戦の日程が報じられていること」に異議を投げかけた。他にもJ3のFC今治で経営企画室長を務める中島啓太氏も自身のTwitterで同じように苦言を呈している。クラブ関係者2人の苦言はサッカーメディアでも大きく取り上げられており、いろいろな意見が飛び交っているようだ。

強い口調で批判をした両氏

FC琉球の三上氏は

とかなり強い口調でリークを批判している。三上氏はゴールドマンサックス証券出身。情報漏えいに極めて厳しい業界で働いてきた人なので情報の扱いについて相当にデリケートだと思うがビジネスマンの視点からの批判になる。痛烈に批判をしているがいずれももっともな意見である。一方、FC今治の中島氏も「え!Jリーグ再開の対戦カードって発表されたの?」、「方向性の共有、決定、公表。これらは似て非なるものです」とツイートしているが情報が正式発表の前に漏れることで生じるマイナス面をいくつか指摘している。

再開初戦のカードについて原博実副理事長は

などとコメントしており、「それが一部、合っているか分からないけど出てしまった」とコメントしたが歯切れは悪い。例えば「再開初戦のカードは大阪ダービーになるらしい」であったり、「四国ダービーになるらしい」であったり、「札幌はしばらくアウェイ戦が続くらしい」といった断片的な情報のみであるならば漏れるのも理解できるが、Jリーグの日程に関しては全ての対戦カードが漏れており、信ぴょう性も高い。今回、批判の声が出たことで来シーズン以降は「事前の開幕カードの情報漏えい」がなくなるのでは?」と思われる。

オフの移籍市場のリーク問題

Jリーグとメディアは持ちつ持たれつの関係である。開幕カードの確かな情報をキャッチできたメディアは注目される。情報の精度の高さを考えると「どこかから漏れてしまっているのではなくてJリーグが話題になるように意図してリークしている」と考えられるが、原博実副理事長の立場でストレートに言うことは難しいのだろう。毎度、リークされることに関して「Jリーグという組織の情報の扱い方」に不信感を持つ人は両氏のように一定の割合で出てくると思うが個人的には「そこまで問題視するようなことではない」と思う。

ただ、情報が漏れるのは開幕カードだけではない。クラブにとって一大事なのは選手の契約や移籍に関する情報が漏れて話がスムーズにいかないケースである。オフの移籍市場ではいきなり公式サイトに選手の移籍が発表されることもあるが、J1の人気クラブや有力クラブになると事前に「○○が××に移籍するらしい」、「△△への移籍が確実」などの情報が流れる。選手の移籍に関する情報は誰かが意図的に流さないとメディアにはほぼ流れないがメディアに流れたことで移籍自体がお流れになることはあり得る。

情報が事前に漏れたことで移籍が見送りになった例としてはプロ野球の中村紀洋のケースが挙げられる。2002年にFA権を取得して「メッツ入り」がメディアで報じられたが、その後、白紙になって、結局、近鉄に残留した。「4年契約で約20億円プラス出来高払い」という破格の契約を結んだことが近鉄球団の経営を圧迫して、その後、「オリックスとの合併」、「球界再編」、「楽天の新規参入」、「交流戦の導入」につながっていくが「確かにメッツと契約寸前までいっていたがルール違反する球団とは契約できない」とコメントした。

この件は「中村紀洋側の誤解だったのでは?」と言われているが移籍に関する情報が全くリークされなくなるとオフの移籍市場は盛り上がらなくなる。いずれはそうなるのかもしれないが「どこまでがOKで、どこからがNGなのか?」の線引きは難しい。「選手の移籍交渉が上手くいっていたのにメディアに流れたことでうまくいかなくなる」というのは普通にあり得る話である。そうなった場合のやりきれなさは大きいと思うが、事前にメディアに漏れることでJリーグのオフの移籍市場が大いに盛り上がっているのも確かなことである。

image by:mooinblack / Shutterstock.com

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