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官邸SNS運営からTVニュース買い切りも。日本を牛耳る電通の正体

毎日新聞が3日、「首相官邸ネット発信「中の人」は電通マン 前任者も 政権のSNS戦略と深いかかわり」と題した記事を公開しました。以前からそのような噂は出ていたものの、首相官邸のSNSの運営に大手広告代理店「電通」の社員が一部関わっていたことが大手紙で報じられたことに衝撃が走っています。コンサルタントの今市太郎さんは自身のメルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』で、電通と官邸の蜜月を疑いつつ、意外にも知られていないテレビ番組と電通の「買い切り枠」という暗部についても暴露しています。

首相官邸のSNS運営を電通マンが担当? 安倍「謀略志向」政権の中身がまた露呈

つい先日、持続化給付金の支給に関するアウトソーシングの業務委託を、電通などが引き受けているのは業者採用要件から考えても全くおかしいという内容のメルマガを配信させていただいたばかりですが、今度は毎日新聞が首相官邸のSNS運用を担う内閣官房広報調査員のうちの1人を、またしても電通から受け入れていると報じ、安倍政権のネット情報発信に関して電通が深く関わっていることが明るみに出ました。

前々から、首相官邸が電通を使ってSNSによるコミュニケーションコントロールをしているという噂は常にあったわけですが、一応公募の形をとっているものの、すでに前任者にも電通の出身者がおり、電通枠が常態化していることは、どうやら間違いのない状況のようです。

妙に経済産業省の新旧役人が関わって、猛烈にバイアスがかかっているこの政権が、新型コロナ禍に関しては何も収束に向けての政策を打ち出すことができず、思考停止の放置プレー状態に陥っていることは、すでに多くの国民も気がついていると思います。しかし、政策ではなく政権に都合の悪い情報を排除し、SNSのコミュニケーション上だけ調子のいいイメージ醸成をはかろうとするのは完全に間違った政権運営であり、誤解を恐れずに言えば、とんでもない「謀略政権」であることすら疑わざるを得ません。

こうした問題は一見、個人投資家の投資活動とはなんの関係もないことのように感じますが、実は国や政権が自らにとって都合の悪い情報、経済指標などを開示しなかったり、デフォルメするようなことがあっては、我々はまともな投資行動を実現することなどまったくできないわけですから、実は非常に大きな関係のあるエリアと言えるのです。

足元では安倍政権の支持率はどんどん下落していますが、とにかく出てくる話、出てくる話ろくなものではなく、まったく容認できない状況に陥りつつあります。歴代の自民党政権も決して褒められたものではありませんが、今のこの政権は酷さにも磨きがかかっており、劣化のレベルは比較しようもない状況に陥りつつあります。

先般の、持続化給付金の「中抜き」業務委託を巡ってだけでも、なぜ電通が関与しなくてはならないのかという疑問の声は大きくなるばかりで、経産省の役人と電通による合法的な税金搾取を許せない、電通に何らかの不買運動をすべきであるといった意見も多くネットで見られるようになっています。しかし、広告代理店はクライアント、スポンサーの広告出稿の枠を抑えて掲載、オンエアするのが大きな収益源ですから、最終消費財を販売しているわけではなく、不買運動というのは実はきわめて難しいものがあるのもまた事実です。

電通の「買いきり枠」番組を一切見ないのがお勧め

こうなると、電通に抗議する方法は何もないのかと諦めてしまうことになりますが、それでも一つ効果的な方法があるとすれば、電通が保有する、いわゆる「買い切り枠」の番組を一切見ないという選択肢があります。

この買い切り枠というのは、80年代ごろまでは在阪民放各局に特定スポンサーが一社提供する一社枠というものが多く存在していたことから、ゴールデン、プライムといった夜の主要時間帯は「電通買切り枠」といった番組が驚くほど多かったものですが、最近ではそうしたスポンサーも激減していることから、かなり少なくなっているのが実情です。

それでも今もいくつかの有名番組、ニュースなどが「電通の買いきり枠」として存在しています。

あの報道ステーションも「買い切り」枠

テレビ朝日系の夜9時54分から帯番組となっているニュースショーの報道ステーションは、1985年に久米宏がキャスターでスタートした「ニュースステーション」の後番組ですが、この枠が月-金ベルトの枠としてスタートした時点から、全国ネットの放送部分はすべて電通が買い切りをしています。つまり、スポンサーがつかなくても電通がカネを払う枠としてスタートしたわけです。

当時のテレ朝は、夜10時台は系列局の朝日放送が制作するドラマの視聴率が高かったものの、それ以外の番組は鳴かず飛ばすで、起死回生の策として編成が持ち出してきたのが夜10時台のニュースショーということだったのです。しかし、本当にスポンサーがつくかどうかわからないときにすべて買い切りにすることで番組を支えたのが電通で、この番組は電通なしにはスタートできなかったと言っても過言ではありません。

しかし、公共性、中立性の高いニュースを特定の代理店が買切りするというのは、スポンサーの選定に大きな影響を与えることになるわけですから、当時、民放他社の報道部門の責任者は、自局ではあり得ない判断であると強く批難していたことを思い出します。

もちろん、局側にスポンサー選択の最終権限があることは間違いありませんが、これだけの金額を買い切りしている電通に、スポンサー選定のイニシアチブがあることは明らかで、2011年の東日本大震災後の報道ステーションにおける原発報道を巡って、電通が局に横やりを入れてきたのは記憶に新しいところです。

本来、番組提供するスポンサーが報道の中身に口出すなどということはあり得ないのですが、電通だけの買い切り枠ともなれば、こうした歪んだ状況も実現しやすくなるというわけです。

テレビ東京「WBS」「モーサテ」も残念ながら電通の買切り枠

電通が番組開始の当初から一貫して買い切りとしていることで有名なのが、テレビ東京の夜の経済ニュース「ワールドビジネスサテライト」通称・WBS、ならびに朝の「モーニングサテライト」通称・モーサテの枠です。

この二つの枠も、月-金ベルトで電通を通してしか番組提供することはできません。こちらも電通仕切りなので、ある意味なんでもありの提供形式で、本来は1番組中同業者のスポンサーが複数入ることなどはあり得ませんが、「モーサテ」を見ていますと、混在状態で典型的な「買い切り枠の掟破り」が公然と実現していることがわかります。

もちろん、提供するスポンサーがそれで納得すれば仕方ないことですが、経済ニュースといっても証券、金融業界のSell Sideにとって不都合な内容をニュースにするはずもなく、視聴にはそれなりの注意が必要であることは間違いありません。個人投資家の方は熱心にこの2番組を視聴されているかと思いますが、私はまったく見ていないのが実情です。

テレビ番組というのは、制作費、電波料、ネット費という3つの料金合計から生成されており、制作費はその名の通り番組制作費であり、ネット費は地方局へのネットの提供料の分け前負担ということになり、電波費がいわゆる番組提供料の根幹をなすものです。

テレビ放送の場合には、スポットという必要量だけを各局から買い付ける方法もありますが、視聴率が悪くなりますと視聴率に一定単価をかけて金額を算定するテレビスポットの価格も下がることになりますし、前述の電波料にも視聴率はそれなりの影響を与えることになります。

こうした、電通買い切り枠に対する視聴拒否というのが効力を発揮するためには、とにかく視聴率がガタ落ちになり、スポンサーが離反するというところまで時間をかけて行う必要があるのは確かですが、確実にダメージを与えることになるのは間違いありません。

ニュースというと、とかく局制作で中立性があるものと信じられていますが、実は様々な形で電通が関与し、影響を与えているということはしっかり理解しておきたいところです。

この手の話は、既存のメディアでは全く触れられませんが、実はこうした構造を持っているものなのです。この構造を知っていると、もう地上波のニュースなど見たいとは全く思わないのが、私の個人的な気分です。

image by: Manuel Ascanio / Shutterstock.com

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