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【英語嫌い必見!】日本で育って英語がペラペラになる6つのチェック項目

しんコロの英語学習のキモ

『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』 Vol.089(2015.1.6号)

【英語学習レベルの設定】

今回は、具体的に僕がどのようにして英語を学んだか、自分の経験に基いて書いてみたいと思います。僕なりに、どうすれば効率よく英語が学べるか考えてみます。僕は英語教師ではありませんし、帰国子女のようにネイティブ英語が使えるわけではありません。日本で英語教育を受けた普通の日本人です。けれどもそんな僕が系統的に英語を勉強して、アメリカの大学院で博士号を取るのに必要な英語力を得られたという経験を共有することで、みなさんにも何か英語学習において役に立つ話ができるのではないかと思うのです。ということで、あくまでも自分なりに考える英語学習のキモについて書きたいと思います。

もちろん、英語力には皆それぞれ差があると思います。ここでは、恐らく多くの人が最初にぶつかる壁であるレベル、つまり中学校で学ぶ英語は身につけたけれども、高校や大学受験レベルはちょっと難しいと感じる方が、大学生の英語力を上回るレベルを目指すという設定で何をすべきかを考えてみます。

【語彙の身につけ方】

英語はそもそも言葉のスペルも意味も全く日本語とは違います。知らない語彙が集まった文章になったら、もうチンプンカンプンです。仮にその文章を辞書で引きながら解読しても、また次の新しい文章ではまたよく分からない語彙の羅列になり、またチンプンカンプンの繰り返しです。そんな経験をしていると、語彙なんてもう無限にあるのではないかという錯覚に陥り、途方もない気持ちになって英語を読む気力自体が失せてしまいます。これは、どんなに勤勉な人でも同じ気持になります。

ここで、語彙(単語)をどうやって学ぶかということです。多くの英語教師が「単語は文脈の中で学ばないと生きた意味として身につかない」と言うと思います。この意見は、嘘ではないけれども、ホントでもありません。というのは、この意見はどちらかというと英語中級者の人には当てはまりますが、初心者の人には必ずしも当てはまりません。初心者の場合、そもそも語彙が少ないので「文脈」や「文章」なんて目の前にしたらそれだけで圧倒されてしまいます。そこで辞書を引き引きがんばっても、そのうち力尽きてしまいます。

子供が「あれなに?これなに?」と親に単語を教えてもらってランダムに単語を憶えるように、英語初心者も最初は英単語を丸暗記してしまって良いと僕は思います。乱暴に聞こえるかもしれませんが、まずは英語で考える基板を頭に作ることが大切です。丸暗記という作業は苦労が伴いますが、辞書を引き引き意味のわからない文章と取っ組み合いをするよりもずっと簡単な作業です。そしてある程度の単語力がつくと、英語の「勘」が養われてきて、その後がものすごく楽になります。こういう作業を丸暗記と意識せずに自然にできてしまう語学の得意な頭を持った人も中にはいますが、僕も含めてそうでない人もたくさんいるはずです。そんな普通の頭の人でも、順序立てて系統的に勉強することで確実に力をつけることができます。僕はダンスもこれに近いものがあると思います。習わなくても自然と踊れる才能を持った人はいますが、それは稀です。そんな才能がなくても、基本からしっかりと練習することでかなり上手くなることはできます。そして最終的には、しっかりと練習を繰り返す人の方が才能があって練習しない人よりもずっと上手くなります。もちろん、才能があって努力する人たちもいますけれども、使える英語を身につけるのにその両方が不可欠なんてことはないと思います。

【1,500語憶えるのがキモ】

では、どれだけの数の英単語を憶える必要があるかというと、中学校で習う単語はすでに知っているという前提で、それプラス1,500語はしっかりと憶えるのを目標にすると良いと思います。このプラス1,500語を知っていると、英語を読むのが以前よりもグッと楽になり、その後の英語学習がかなり加速されるはずです。書店で1,500語程度の単語本を見つけたら、一日寝る前に25単語をがんばって憶える努力をしてみます。15語でもかまいません。そして寝て脳に定着させる。翌日はまた新しい25単語と、前日の25単語の復習をします。翌々日は新たな25単語と前日の25単語を憶える作業に加え、初日の25単語を自分にテストしてみて、覚えていなかった単語にチェックマークをつけます。知っていた単語にはチェックマークはつけません。この3日間のサイクルで進めていくと、2ヶ月で1,500語が終わります。そして、単語本には覚えにくかった単語にチェックマークがついた状態になります。この段階では、まだ覚えていない単語がたくさんあるはずですが、全部覚えていなくても良いのです。けれども、自分で意識していなくても脳の中にはほのかにでもインプットされています。そして、この作業をまた単語本の最初から繰り返します。ただし、今回はチェックマークのついた単語のみを憶える作業をするのです。最初と同じようにまた覚えていない単語にはチェックマークをつけます。これを繰り返すと、なかなか覚えていない単語にはチェックマークが増えてゆき、そこを重点的に学習できるようになります。これは自分の弱点をあらわにすることで、その弱点を強化するプロセスにもなります。弱点は隠したりそこから逃げるのではなくて、露わにすることが上達の近道になります。

ここでみなさんは、文脈で覚えないと1,500語が生きないのでは?と思われるかもしれませんが、人間の頭はよくできていて、後から文脈で覚えた語彙に違和感がある時はそれを補正する機能が働きます。たとえば、Fine という単語は「良い」などと習うと思います。How are you?と聞かれてI’m fine.と答えましょうと習いますよね。このI’m fine.は「私は元気です」くらいに習いますが、実際のアメリカ英語ではI’m good.くらいが「私は元気です」で、I’m fine.
は「まあ悪くはない」くらいのニュアンスに近くなります。けれども、Fine の辞書上の意味は「良い」で、それはそれで良いのです。実際に文章に出くわしたときに、単に「良い」と解釈したら少し違和感があるなと気づいて補正することができるからです。むしろ、Fine が出てきた時に全く意味を知らない方が、英語学習の効率が悪くなります。単語の意味をあらかた知っていて、その補正作業を繰り返すことが英語の「勘」を身につけてゆくまさにそのものなのです。

したがって、まずはプラス1,500語を目標にすれば、そこから先はさらに語彙を増やすことも楽になってきます。その先はレベルに合わせて増やしてゆけば良いと思います。

【構文はどうする】

さて、あと英語で知って置かなければいけないのは構文です。構文というのは、英語の骨組みであり、文章の意味合いを構築する単語の組み合わせです。例えば、So とthat が組み合わさった構文です。So もthat もどちらも簡単な単語ですが、組み合わさった時には「とても~なので~だ」のような意味合いが含まれてきます。これは、はじめから知っておかないとどうしようもありません。

これも単語同様に、構文の含まれる文章を100程度しっかりと頭に叩き込んで下さい。例えば、So that の含まれる文章は?と聞かれたら、その例文を口からぱっと言えるくらいにしっかりと憶えるのです。その時に、構文がどう使われているかをしっかり意識しながら憶えるのです。

また結局丸暗記か!と思われるかもしれませんが、決して無理な丸暗記の提案をしているのではなく、英語を系統的に身につけるのに最低限必要なレベルの数を提案しています。大学受験の予備校では単語は6,000語覚えろ、構文は700構文丸暗記せよなんていう所もあります。一方、僕が提案している学び方は、最低限のことはしっかりと覚えて、そこから先は英語の「勘」を養う脳内補正の作業を繰り返すことです。1,500語の単語と100の構文をしっかりと憶えると、ほとんどの英文を見た時に「この構造は見たことあるぞ」と認識ができるはずです。そしてその文章を自分の知っている知識で解釈しようとした時に、意味合いに微妙な誤差や違和感が必ず生まれます。これは外国語なのだから当然といえば当然で、心配する必要はありません。ここで自分の脳内で補正するエクササイズをすることで、語学力が養われてゆきます。

【リスニングやスピーキングは】

ズバリ、英語を聞き流していれば英語の耳ができるかどうか?ですが、脳が柔軟な子供だったら別として、大人の頭では僕はそれは無い!と考えています。なんとなく英語に慣れることはあっても、しっかりと聞き取れるような「英語耳」にはなかなかならないと思います。もしなったとしても、効率は良くありません。それはこんな理由です。

目の前でダンサーが踊っていて、それをマネしてみてと言われたとしましょう。ダンスの基本的なステップや体の動かし方を知らなかったら、ダンサーのやった動きが果たして足を動かしたのか、腰を動かしたのか、経験のない人にはわかりません。それと同じように、英語の単語や構造を知らずに英語を聞いても、さざなみの音や街の雑音を聴いているのと同じで、そこに意味を見つけることができません。時々知ってる単語が出てきて「あ、いまの分かった」と思うくらいで、他の分からない部分は分からないまま音が流れていってしまいます。他の例では、目の前でギタリストがコード進行をいくつか弾いていて、それをマネしてみてと言われたとします。よほどの才能でも無い限り、どんなにコード進行を聴いていてもそれをマネすることはなかなかできません。コードがなんぞやという理解と、どの弦を押さえればどの音が出るかなどの、基礎知識が必要です。その基礎知識があれば、ギタリストが弾いたコード進行の内容が聞き取れて意味のあるものとなります。そういった基礎知識がなければ、そよ風と同じように意味がわからないただ心地良い音として耳を素通りしてゆくだけです。もちろん、繰り返し聴くことで感覚やセンスが養われることはあると思います。けれども、系統的にギターを学んで身に付けるという目的としては、ただ聴いているだけでは効率が良くありません。

英語のリスニングやスピーキングに関しても、同じことが言えると思います。流れてくる英語に対して耳が「解像度」「理解度」がないと、ただの雑音になってしまいます。そしてその解像度や理解度は、上記の語彙や構文を知っているかどうかで大きく変わってきます。自分の中に、英語の意味をキャッチする受け皿を作ることが、多くの人にとって効率よく英語を身につける上で大切なことだと僕は思います。

ということで、英語のラジオを聴いたり、英会話教室やネイティブの人と会話を練習するのは良いエクササイズですが、それだけでは不十分です。単語や英語の構造を知った上で英語耳をつくっていくことが大切です。

【理解力はもうすでにあなたの中にある】

最後に、英文を読んだり聞いたりして内容を理解しようとする時に、自分の持っているものすべてを使うことを心がけてみて下さい。ここまで単語や構文などの基礎的な話をしてきましたが、それらを身につけた上で、英語と向き合う時にそれらをツールとして使いながら、自分の人生経験もフルに活用して理解しようと試みるのです。日本語だったらきっと簡単にできることですが、英語になるとこれが急に難しくなってしまうことがあります。単語や構文は非常に大切ですが、その中だけに凝り固まってしまうと、英語に接した時に単語と構文に縛られてしまうことがあります。そして理解に誤差や違和感が生じた時に、その誤差や違和感の脳内補正がこの縛りのためにうまくいかないことがあるのです。ですから、単語や構文はしっかりと覚えることは大切ですが、それを一度した上で、英語と接する時に自分の頭をある程度開放することが必要で
す。

たとえば、日本語でなにか文章を読んでいたり話を聞いている時には、「何の話なのかな」「次の展開は何かな」「似た話聞いたことがあるぞ」「人っていうのはこう考えるんじゃないかな」などと、色々な予想を立てたり意見を持つことができます。この能力を、英語を読んだり聞いたりする時もフル活用するのです。この能力こそみなさんの人生経験であって、最終的には最もパワフルな語学理解のツールになります。英語の文章を「追う」のではなくて、「先導」するように意識するのです。評論家の難しい話を聞いている時に、なんとか理解しようとしたら自分の経験に照らし合わせて考えるはずです。子供がなにか言いたそうな時は、その子の表情や性格も合わせて理解しようとするはずです。ねこがなにか訴えている時にでさえ、その子の気持ちを一生懸命察する努力をしながら理解しようとするはずです。そもそも言語は「伝える」ツールであり、発信者が「伝えたい」という気持ちで言葉を送って来ています。前々回のメルマガで「伝えたい気持ちが大切」ということを書きましたが、今回はその受け側の心構えとして「察して理解する努力」が英語習得でもキモになるということを強調しておきたいと思います。そして、その察する能力はみなさんがすでに送ってきた人生経験の中に満ちあふれているのです。

僕が高校生の時に大変お世話になった英語の先生が、Reading is leading.と言っていました。訳してみたら「読むことは先導すること」となりますが「読むということは自分の人生経験を使って先読みと理解をすること」というのがその核心だと思います。

ということで、英語学習における基礎と心構えについて書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』 Vol.089(2015.1.6号)

著者/しんコロ(ねこブロガー・ダンスインストラクター・起業家・医学博士)
神奈川県生まれ。ニューヨーク在住。環境科学の修士号を取得後渡米、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、ドイツキール大学での客員研究員を経て、免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。現在、世界有数のがん研究所として知られるニューヨークのメモリアル・スローンケタリング・がんセンター勤務。研究者としての仕事の傍ら、ヒップホップダンスインストラクターを兼ね、レシピやエッセイなどの執筆なども行っている。2011年にOKYN,LLCを起業。著書に「しゃべるねこ、しおちゃんと僕」「しゃべるねこ、しおちゃんの写真集」や、DVD「しゃべるねこ、しおちゃん」「ともだち」等がある。
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