もうすぐ夏休みも終わり、9月から学校が始まると話題になるのが「いじめ自殺」問題です。昔から、子どもの「いじめ」や犯罪は「少年法」で守られると思われていますが、実はそんなに生易しいものではありません。無料メルマガ『億の近道』では、著者の一人であるファイナンシャル・プランナーの遠藤功二さんが、子どものいじめ問題で「損害賠償」が請求され自己破産する恐れがあるという事例を紹介。そして、いじめを撲滅させるためには、子どもに対して「お金の教育」をすることが重要だと説いています。
大人の論理「お金」の力でいじめ撲滅
私はお金の教育によって、子供たちの世界からいじめを撲滅できるのでは?と思っています。
子供の世界で起きる「いじめ」。これは暴力です。暴力には精神的な暴力と、身体的な暴力があります。最近、注目されている誹謗中傷は精神的な暴力です。子供の世界でよくある、「人を殴る」というのは身体的な暴力です。
学校での「いじめ事件」はなくなりません。事件が起きる度に、非常に心が痛みます。
「少年法で子供は守られている」という話を聞きます。実は、この話かなり甘いです。子供は守られていません。暴力を振るうことで起きる罪を「傷害」と言います。「傷害」には「刑事」と「民事」があります。
そうです。少年法で子供を守っているのは「刑事」です。子供は何をしても、「無期懲役」などにはなりません。
しかし、民事は違います。
民事の世界では、「傷害」は「損害賠償」で解決します。
傷害を負った人は、傷害を負わせた人に対し、精神的な苦痛、身体的な苦痛の弁済として、慰謝料を請求します。治療費や逸失利益などを請求するということです。
損害賠償は非常に怖いものです。
もし、私の子供がいじめをして、相手の子に一生社会復帰できない精神的苦痛を残してしまったら、私は子供の親権者、監督者として、いったい、いくらの損害賠償金を払わなければならないのでしょう。
逆にあなたがいじめを受けた子供の親なら、いくらの慰謝料を請求しますか?
500万円程度の慰謝料でも、10年かけて払う場合、月の支払い額は41,666円です。5000万円だったら、数字は恐ろしいことになります。
ありえないことではありません。自動車保険の対人賠償の上限は「億」になっています。人を傷つけた場合、程度によっては「億」に到達することもあるということです。私たちが目指しているのは、「億の負債」ではなく「億の資産」です。
ちなみに、「故意」は、個人賠償責任保険の対象外です。ケースによる損害賠償金の算定は、弁護士に譲りますが、損害賠償金は、自己破産しても免責されない場合がある点もご注意下さい。
現代は、腕力ではなく、頭の時代
人生を慰謝料で棒に振る人は、少なからずいます。子供には刑事責任はありません。
しかし、子供が他人の子を傷つけたら、民事の損害賠償請求に応じるのは子の親です。子供が成人したら、親が払っていた損害賠償金の続きは、子供に働いて払ってもらうしかありません。大学などへの進学は絶望的です。損害賠償債務は、相続放棄をしない限り、代々続きます。たった1つのいじめが、子供とその家族の人生を狂わせるかもしれないのです。
だから、いじめをしてはいけないのです。私みたいな親もいるので、とんでもないことになります。逆に、あなたの子が、気が小さくて、いじめられる側だったら、どのように教えますか?
「いじめられたら、損害賠償請求するからすぐに報告しなさい」
このように教えると、子供は勇気を持つかもしれません。ただ耐えるのではなく、いじめられるのを堂々と待ち受けられるようになるかもしれません。録音をする知恵も教えてあげましょう。
現代は、腕力ではなく、頭の時代です。堂々としている人は、体は小さくてもいじめられません。先生方には申し訳ないですが、いじめを学校の先生に報告しても、解決してくれるとは限りません。
「いじめはいかん」
みたいなことを言っても、いじめはなくなりません。大人の世界にもいじめはあります。
「いじめで訴えられるとお金がかかる」
「いじめられたら、その場は耐えて損害賠償で倍返し」
お金の学びで、いじめられっ子が勇気を持てたら幸いです。
私は子供に、
「もしいじめられたら、いじめた人からお金取るから言ってね」
「頭にきても絶対人を殴ってはダメだ。その場は我慢しなさい」
と教えています。
もちろん、弱いものいじめはいかん、といった人間として当たり前のことは子供はしっかり学んでいます。いじめとお金を関連付けたお話は学校ではしてくれないでしょう。ご家庭でするしかありません。
遠藤 功二氏 プロフィール
日本FP協会認定CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、MBA(経営学修士)。大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。証券会社と外資系銀行で延べ1000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。
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