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大坂なおみ選手「黒人差別抗議マスク」に対する違和感と2つの危惧

無観客開催ながら開幕したテニスの全米オープン。1回戦に登場した大坂なおみ選手の入場時のマスクには、就寝中に警察の銃撃を受け亡くなった黒人女性の名前が刻まれていました。試合後、7人の名前入りマスクの用意があると明かし、決勝まで勝ち進む意欲と、世界にアメリカの黒人差別問題を伝えていく意思を示した大坂選手。国内外で賛否両論の声が上がっているこの行動ですが、サッカー情報メルマガ『J3+ (メルマ)』著者のじじさんはどちらかと言えば否定的に見ていると言います。その理由は何でしょうか?

大坂なおみ選手の騒動について思うこと

テニスの4大大会の1つの全米オープンが開幕したが男子の錦織圭は、先日、新型コロナに感染していることが判明した。数日前にようやく陰性と診断されたが準備期間が足りずに残念ながら参加を見合わせた。必然的に日本国内では女子に注目が集まるが日本人対決となった大坂なおみと土居美咲の試合は2対1で大坂なおみが勝利した。世界ランキング9位の大坂なおみが順当に2回戦に進出したが世界ランキング81位の土居美咲が健闘した。格上相手に2セット目を取って3セット目まで持ち込むことに成功した。

全米オープンとしては26年ぶりの日本人の女子対決だったが大坂なおみには今大会も上位進出が期待される。「3度目の4大大会制覇」を期待しているファンは多いと思うがここ最近の大坂なおみはどちらかというと「コート外の出来事」が話題の中心になっており、先日まで行われていた大会の準決勝をボイコットする?しない?が日本でも大きな話題になった。結局、準決勝はプレーして勝利。決勝戦に進出したが怪我のため決勝戦は辞退することになった。ボイコット騒動に関しては特に日本国内では賛否両論あった。

8月23日(日)にアメリカのウィスコンシン州というところで黒人の男性が警察官に背後から撃たれたことに対する抗議活動は全米各地で続いている。州最大の都市であるミルウォーキーで活動するNBAのミルウォーキー・バックスが試合をボイコットしたのに続いて、WNBAやメジャーリーグの試合もいくつか中止になっている。大きな騒動になっているが大坂なおみは全米オープンの1回戦で3月に寝ていたところを警官に踏み込まれて射殺された黒人女性、ブレオナ・テイラーさんの名前が刻まれたマスクを着用したという。

ボイコット騒動に続いてマスク騒動が話題になっているが「さすがにやりすぎなのでは?」と感じる人は多いだろう。もちろん、黒人差別に限らず、差別というのは絶対的に良くない話である。差別を容認する気持ちは一切ないが、やはり、彼女はアスリートである。活動家ではない。「ボーイフレンドの影響を受けてこういう活動にエネルギーを注ぐようになったのではないか?」とも言われているが、やりすぎると自身のイメージが傷つくだけでなくテニスプレーヤーとしての競技生活にも大きなマイナスの影響が及ぶだろう。

NBAのレブロン・ジェームスなども積極的に発信中

こういう話になると、必ず、「アスリートである前に彼女は1人の人間である」、「アスリートが自己主張して何が悪いのか?」という話になる。アスリートや芸術家や芸能人などが政治的な主張をするのは当然のことながら自由だと思うが、やはり、やりすぎるのは良くない。大坂なおみほどの有名人になると影響力は絶大なので彼女の影響力を利用しようとする人は必ず出てくる。ボーイフレンドがそうなのか?否か?は分からないが、自身の影響力を考えた言動をしないと不必要に「大坂なおみ」を利用されるだけである。

アメリカ国内の黒人差別の激しさは普通に日本で生活している人間には想像すらできないレベルの話だと思うが、ここ最近、警察に撃たれた黒人の話を聞くと全面的に警察が悪いとは全く言えず、また、黒人だから撃たれたとは言えないケースも多々ある。「このケースであれば黒人でも白人でも黄色人種でも撃たれたのでは?」と思うケースが多々ある。「黒人だから撃たれた」、「差別されている黒人だから撃たれた」と言いきれないケースが多いこともどちらか一方には肩入れしにくい大きな理由の1つに挙げられる。

サッカー界でも差別はある。欧州では結構な頻度で黒人選手がサポーターから差別を受けて問題になる。Jリーグでは欧州ほど差別問題が発生する頻度は高くないが全くないわけではない。「差別問題は大きな問題の1つ」と言えるが、Jリーグでプレーする有名プレーヤーが試合のたびに差別問題を主張し始めると興ざめする人は多いだろう。コートやピッチを離れたところで、時折、問題提起をするのは許容できるが、毎度、コートやピッチまで持ち込まれると一気にそういった活動を否定的に考える人が多くなると思われる。

NBAのスーパースターのレブロン・ジェームスなども今回の騒動に深入りをしているがこちらは現代の世界を代表するスーパースターである。大坂なおみと比べてもはるかに発信力の高い選手になるが、同じく、「深入りはしてほしくない」というのが正直なところである。自身の影響力をフル活用して政治的な発言をするのは個人的にはどうかと思う。いわゆる、サブ垢などを使って「1人のアメリカ人」として政治的な発信をするのは全く問題はないと思うが「レブロンとして発言をする」というのは影響力が大きすぎる。

差別のない世界は遠ざかったのでは?

この件で危惧するのは次の2点である。

である。大坂なおみにしろ、レブロンにしろ、今後、同じような事件や騒動が発生したら、必ず、意見や発言が求められる。その時にスルーをしたり、無視をするようだと、逆に、今、熱烈に行動を支持している人たちから批判をされるだろう。「お前は寝返ったのか?」、「お前は変わってしまったのか?」などなど。これはかなり大変なことである。また、今は静かに息をひそめている黒人以外の人たちがこのままずっと黙っているとは考えにくい。フラストレーションを溜めているアメリカ在住の白人などは多いと思う。

今、表立って黒人の人たちを批判したり、暴動を起こしている人たちを批判したり、警察側を擁護するようだとバッシングをされるので黙るしかない人は多いと思うが、特に白人のアメリカ人はプライドが高い人が多いのでこのままの状態がずっと続くとは考えにくい。暴動を起こしている人たちに不満を持っている人はたくさんいるだろう。結局のところ、こういう感じで差別を訴えても何ら解決しないどころか、全くの逆効果だと思う。本当に黒人差別の問題を解決したいのであればもっと考えた行動が必要だと個人的には考える。少なくとも騒動に便乗した暴動を頻繁に起こすのは支持をしてくれる人を減らすだけの愚行である。

image by: Mai Groves/Shutterstock.com

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