ウェブアナリストとしてマイクロソフト、アマゾンジャパンなどに勤務し、コンサルタントとして独立した小川卓さんのメルマガ『小川卓の「海外ウェブマーケティングニュース解説」』では、ウェブ担当者ならぜひ押さえておきたい最新情報やマーケ事例を、かみ砕いて日本語でご紹介しています。
今回はそのメルマガの2020年11月3日号より、「Google Analytics 4 正式リリースとアクセス解析界隈への影響」を特別に無料公開。小川さんによれば「GA4はアクセス解析業界的には大きな変化」「今まで習ってきたノウハウが半分は活き、残りの半分は画面の使い方や、分析の仕方含め切り替える必要がある」のだそう。どのようなものか、早速見ていきましょう。
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※本記事は有料メルマガ『小川卓の「海外ウェブマーケティングニュース解説」』2020年11月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:小川 卓(おがわ・たく)ウェブアナリストとしてマイクロソフト、ウェブマネー、リクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパン等で勤務後、コンサルタントとして独立。ブログ「Real Analytics」を2008年より運営。全国各地での講演は500回を突破。HAPPY ANALYTICS代表取締役、デジタルハリウッド大学院客員教授、AVANCELLMONT CAO・UNCOVER TRUTH CAO、Faber Company CAO、日本ビジネスプレスCAO、SoZo最高分析責任者、ニフティライフスタイル 社外取締役、ウェブ解析士協会顧問。ウェブ解析士マスター。渡米・渡英歴合計14年。University College London (英国) 卒業・早稲田大学大学院理工学研究科 卒業
Google Analytics 4 正式リリースとアクセス解析界隈への影響
今回PickUPニュースで取り上げるのは「Google Analytics 4」。
読者の中にはGoogleアナリティクスというツールの事を聞いたことある方や、使ったことがある方も多いかと思われます。
世界で最も利用されているアクセス解析ツールで、世界でのシェアも50%は超えており、日本の上場企業での導入率は70%を超えています。
● 10/25 Google Analytics 利用率は 74.3% (前回から 変化なし)
さて、このGoogle アナリティクスですが、先月新しいバージョン「Google Analytics 4(以下、「GA4」)」が登場しました。
第15号で触れた時は「App+Web版」という名称でしたが、こちらが正式リリースと共に、GA4という名称に変わりました。
なぜGA「4」 なのか?それは今回が4回目の「集計方法」の変更になるためです。
GA4とは何者なのか?今までとの違いや今後どうなっていくのか?QA形式で解説します。
Q: 結局何が変わったのか?
A:大きく分けて3つ。
- 「データ取得の設計思想が変わった」
- 「画面が一新された」
- 「生データが取得・集計可能に」
Q: データ取得の設計思想が変わったとは?
A: 今までは様々な方法でデータが取得出来たが(つまりそれぞれごとの実装方法が違う)、データの取得方法が統一されました。
また「訪問」単位ではなく「ユーザー」単位での分析を意識した計測方法となっています。
Q: ユーザー側にとって設計思想が変わったことのメリットとデメリットは?
A: メリットは「ページ間の移動が30分経つと別セッションになる」「日をまたぐと別セッションになる」といった使いづらい訪問単位の集計や分析から、ユーザー単位の分析が容易になったこと。
例えば機械学習を利用したコンバージョン予測や解約率などの分析機能も用意される予定です。
デメリットとしては今までのセッション単位の考え方を変えなきゃいけないこと。
直帰率やコンバージョン率といった指標は最初から用意されているレポート群の中にはありません。
Q: 画面はどのように変わったのか?
A: 「ユーザー」「集客」「行動」「コンバージョン」と大きく分けて4つのレポートがあったのですが、こちらが「ライフサイクル」「ユーザー」「イベント」「探索」の4つに変更されました。
基本的な集計機能は最初の3つのレポートとなり、
ライフサイクルの中に
「集客」
「エンゲージメント」
「収益化」
「維持率」
ユーザーの中に
「ユーザー属性」
「テクノロジー」
イベントの中に
「コンバージョン」
「すべてのイベント」
というサブメニューがあります。
ページ単位のレポートは「すべてのイベント」内で見ることになります。
探索の部分では、自分で自由にレポートの項目を選んだり、セグメントを反映したりと集計結果を見るのではなく「分析」を行いたい場合はこちらのレポート群を使う必要があります。
今までのGoogle アナリティクスの有料版で提供されていた機能がGA4では無料で利用出来るようになりました。
Q: どうやったらデータ計測が出来るのか?
A: 大きく分けて2つです。
- 新規に計測タグを実装して計測を行う
- 現在の計測をアップデートする
いずれの方法でも、計測記述の追加や変更が必要です。
Google Tag Managerを利用すればブラウザ画面の設定だけで変更が可能ですが、一部のデータ(イベントやeコマース)の取得はGA4にあわせた実装が必要になります。
Q: 生データが取得・集計可能とは?
A: 今までのGoogle アナリティクスでは集計された結果(表やグラフ)を画面で見る形式でした。
集計する前の状態(イメージとしては1PVあたり1行のデータ)のデータ取得は月100万円~の有償版でしか取得出来ませんでした。
しかしこの生データ取得機能がGA4では搭載されました。
GA4で取得されるデータをBig Queryと呼ばれる、Googleが提供しているクラウドデータウェアハウスに保管する事が可能です。
保管したデータはSQL文を書く事で取得できます。
データを取得すればTableauやPower BIといった分析ツールに取り込んでの分析が可能となり、分析の幅が大きく広がります。
Q: 既存の計測はどうなってしまうのか?
A: 今までのGoogle アナリティクスも利用可能です。ただ機能改善等はほぼ期待できません。
逆にGA4では現在は毎週のように機能追加(というか、今までのGAには実装されていたけど、GA4には無い機能の穴埋めが中心です)が行われています。
Q: アプリとウェブを横断して分析が可能なのか?
A: アプリとウェブを同じ画面内で見ることは可能です。
アプリとウェブを横断した集計や分析(つまり、同じユーザーがアプリとウェブをどのように利用しているか)を見るためは、双方でキーとなるID(会員ID等)がありそれをGA4で取得する必要があります。
そのあたりが自動で行われるわけではありません。
Q: 結局、どちらを利用すればよいのか?今すぐにでも移行したほうが良いのか?
A: まだ慌てる時間ではないです。
興味がある方は、今のGoogle アナリティクスと併用できるので、データ取得して色々触ってみると良いでしょう。
また新しくGoogle アナリティクスを導入する場合は、現段階ではGA4での実装形式はオススメできません。
整っていない部分も多く、当面は推奨できない&サポートしてくれる人もいないでしょう。
本格的な利用は1年後くらいですかね。それまでは情報収集程度でよいかな!と。
今回のGA4はアクセス解析業界的には大きな変化です。
今まで習ってきたノウハウが半分は活き、残りの半分は画面の使い方や、分析の仕方含め切り替える必要があります。
個人的には「より正しい方向」に進んでいる気はしますが、ツールの理解や活用の難易度は今まで以上に上がった印象を受けます。
これまではなんとなくGoogle アナリティクスを導入して数値を見て来た人達にとっては使う事を諦めてしまうかもしれません。
そのため、来年Google アナリティクスを利用しなくなる人は増えるでしょう(今までもちゃんと使えていたかはさておき)。
ただある意味一度リセットされるので、いろんな意味でもチャンスかなと思っております。
国内のGA4の第一人者に今ならなれる!
私もウェブサイトの分析・改善が本業のため、継続してウオッチしつつ、自らも利活用していきますが、更に多くの方が利活用や発信してくれることを願っております。
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- [2020/11/3] 第18号 Google Analytics 4 正式リリースとアクセス解析界隈への影響(11/3)
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