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女性の命を救えぬ日本の男たち。「AEDでセクハラ」懸念はデマか女の自業自得か?

突然の心停止時の救命に用いられる自動体外式除細動器(AED)。人命を助ける大切な手段のひとつだが、この機器の利用を巡って、女性への処置の際に体に触れたり服を脱がせたりする行為が「セクハラやわいせつ行為になりかねない」との議論があることをご存知だろうか。

女性へのAED救命行為がセクハラになる?

たとえば千葉県では公共施設等でAEDの設置が進んでいるものの、使った場合に「責任が問われる可能性がある」との心配から利用が進んでいないことを受け、万が一の際の訴訟費用を貸し付ける規定を盛り込んだ条例が制定されている。

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これは基本的には救命が上手くいかなかった時のことを想定していると思われるが、実は「セクハラで訴えられる」ことまで考慮されているのではないかとの見方もある。なぜなら、もし女性が倒れていた際にAEDを使用する場合、女性の洋服をめくり、胸をはだける必要があるからだ。

AEDによる救命行為がセクハラになるというのは悪質なデマだ、という見方が一般的ではあるが、それでも世の男性たちが躊躇してしまうのはなぜだろうか?

目の前に見知らぬ女性が倒れていた場合に、「救命する」か「通報だけする」か「無視する」か?果たしてあなたは、胸を張って「自分なら女性の命を救う」と言えるだろうか。万一の事態を考えると、失うものがあまりに多すぎるのもまた事実だ。

こうして比較するとわかるように、AEDを使って救命したとしても、相手が女性の場合は「セクハラで訴えられる」という大きなリスクが存在している。「私は不快に感じた」「救命に必要な範囲を超えて胸を触られた」などと主張された場合、反論は容易ではなく、世間からは白い目で見られ、最悪の場合は巨額の賠償金を支払うことにもなりかねない。

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たとえ目の前で女性が倒れていたとしても、気づかないふりをして「無視する」という選択は、妻や子を持つ男性にとっては、あながち悪い選択肢ではないのかもしれない。少なくとも、そう考える層が一定数存在するのは間違いないだろう。

何でもかんでも“セクハラ”という風潮

AEDとは心停止の際に自動で電気ショックを与えて回復を図ることができる機器。電極パッドを体に貼り付ける必要があり、右胸と左わき腹に直接つけることになる。

男性としては、倒れている人が同じ男性であれば何のためらいもなく行えるが、これが女性であればそうはいかない。衣服をめくるだけではなく、下着の中へ手を入れなければならないため、どうしても躊躇してしまう。

そこに何でもかんでも“セクハラ”と言われてしまう、昨今の風潮を垣間見ることができる。

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たとえば、オフィスで「その洋服かわいいね」「髪の毛切ったんだ」と男性上司が女性社員に言っただけでセクハラになる。これが逆に女性から男性に「洋服かっこいいですね」「今日の髪型素敵ですね」と言った場合はセクハラだとは捉えられない。

これは電車における痴漢冤罪も同じことが言える。混雑した社内でちょっと女性の体に触れてしまっただけで睨まれたり、場合によっては痴漢扱いされることもある。一方、女性が男性の体に触れたからと言って、同様の扱いはされない。「この女性痴漢です」と駅員に伝えても、全く相手にもされないだろう。

現代日本の男性たちは常にセクハラのリスクと隣り合わせで女性と接している。もはや家族以外の女性とは一切関わりを持たないほうが賢いという考え方すら出てきた。そのような環境に長年置かれた男性が、いくら医療行為だから問題はないと言われても、「女尊男卑」のこの世の中で、セクハラとも言われかねないリスクを男性は負いたくないのである。女性という存在自体を信用できなくなっていると言ってもいいかもしれない。

苦しんでいる女性が目の前にいるのに、「無視する」という選択をする男性たち。彼らを人でなしと非難することは簡単だが、一部の権利ばかりを主張する女性たちにも責任の一端はあるのかもしれない。

女性はAEDを使ってもらえない。研究データも

実際に倒れた人が女性だったことを理由にAEDが使われなかったという事態は起きている。

あるスポーツ大会に参加していた女性が突然意識を失って倒れた。AEDは用意されていたものの、関係者が男性だったことから使用せず、119番を要請。一命は取り留めたものの、女性には重い意識障害が残り、寝たきりの生活になってしまったとNHKが報じている。

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このような事態も発生していることから、「AEDを利用するとセクハラ行為となりかねない」という議論がネット上で巻き起こっているが、厚生労働省は人命救助のためにAEDを使用した場合、悪意や重過失がない限り刑事、民事ともに責任を問わないと発表している。

医師以外の人でも正当な理由があれば医療行為として認められており、実際にセクハラで訴えられることはないという“お墨付き”だ。

しかし、それが広く認知されていないこともまた事実。

京都大学などの研究グループが2019年に発表した報告によると、倒れた人が女性の場合、男性よりAEDが使われにくいデータが明らかになっている。

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日本では多くの人が心臓突然死で命を失っており、その数は1年間で約7.9万人。1日で約200人、7分に1人が心臓突然死で亡くなっている。日本AED財団によると、AEDを用いて電気ショックが行われれば、約6倍の人の命が救えるという。

心停止の状態で放置していると、1分経つごとに約10%ずつ救命率は下がっていくといわれる。本来、命を助ける行動にためらいなど必要ない。男性側の意識向上はもちろんだが、女性まで含めた国全体として、もっと何かできることはないだろうか。

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image by : shutterstock

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