元検事が暴くTBSの嘘。『朝ズバッ!』不二家叩きデマ報道との死闘全記録

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2007年初頭に発覚し、各メディアが大々的に報じた菓子メーカー「不二家」による不祥事。中でもTBSの情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』による同社へのバッシングは凄まじく、不二家商品の小売店からの撤去や製造停止など、影響は甚大なものとなりました。存亡の危機に立たされた不二家がこの時期に設置した「信頼回復対策会議」の議長を務めたのは、元検事で弁護士の郷原信郎さん。郷原さんは自身のメルマガ『権力と戦う弁護士・郷原信郎の“長いものには巻かれない生き方”』で今回、信頼回復の途上で明るみに出た『朝ズバッ!』の「捏造報道疑惑」とその疑惑追求の一部始終を公開するとともに、「電波の私物化」を始めとするTBSサイドのあきれた対応の数々を白日の下に晒しています。

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プロフィール:郷原信郎(ごうはら・のぶお)1955年島根県松江市生まれ。1977年東京大学理学部卒業。鉱山会社に地質技術者として就職後、1年半で退職、独学で司法試験受験、25歳で合格。1983年検事任官。2005年桐蔭横浜大学に派遣され法科大学院教授、この頃から、組織のコンプライアンス論、企業不祥事の研究に取り組む。2006年検事退官。2008年郷原総合法律事務所開設。2009年総務省顧問・コンプライアンス室長。2012年 関西大学特任教授。2017年横浜市コンプライアンス顧問。コンプライアンス関係、検察関係の著書多数。

不二家信頼回復対策会議とTBS『朝ズバッ!』捏造疑惑追及

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  2. 独自のコンプライアンス論
  3. 組織の不祥事事例の分析
  4. 第三者委員会委員長等で関わった不祥事の解説
  5. 特捜事件の論評
  6. 弁護士として担当した「権力と戦う」訴訟事件の解説

をコンテンツとして、読者の皆様への発信を行っていきます。

創刊号の「2020年11月5日号」では、この中の【4.第三者委員会委員長等で関わった不祥事の解説】として、《「不二家信頼回復対策会議」でのTBS「朝ズバ!」捏造報道追及》を取り上げたいと思います。

「ペコちゃん」ブランドで国民的人気のある不二家が不祥事で存亡の危機に立たされて設置した「第三者委員会」の「信頼回復対策会議」は、不当なバッシング報道の中心だった巨大メディア企業TBSと真っ向から戦い、そこに、「文春砲」、BPO放送倫理検証委員会、国会での追及も加わって、当時、高視聴率を誇っていたワイドショー番組『みのもんたの朝ズバッ!』の「メディア不祥事」に発展するという“前代未聞の展開”になりました。

かなりの長文になりますが、この事件の経過の詳細を皆様にお届けします。


私は、検察に所属していた2005年から、桐蔭横浜大学法科大学院に派遣され、教授・コンプライアンス研究センター長を務めていたが、2006年3月末で検事を退職し、弁護士登録。それまでの組織のコンプライアンスの研究をベースに、企業不祥事についての具体的な助言・指導にも関与するようになった。

その後、企業不祥事の第三者委員会等にも多く関わったが、その原点となったのが、「食品企業不二家をめぐる不祥事」だった。それは、コンプライアンスの専門家として企業不祥事に具体的に関与する仕事の原点と言える。

「不二家信頼回復対策会議」の設置

不二家は、「ペコちゃん」ブランドで国民的に親しまれてきた菓子メーカーだ。

その不二家は、2007年1月に表面化した不祥事で、存亡の危機に立たされた。

消費期限切れの牛乳を原料に使ったシュークリームを製造・出荷していたことが発覚し、それを契機に、新聞、テレビなどから連日激しいバッシングを受けていた。

同月末、不二家は弁護士・有識者による「第三者委員会」としての「信頼回復対策会議」を設置、私はこの会議の議長に就任した。

不二家問題のキーワードは「発覚したら雪印の二の舞」という言葉だった。

「雪印」というのは、2000年に乳製品による集団食中毒事件が発生して厳しい社会的非難を受けた雪印乳業を指す。

「不二家は、この言葉を使って社内でかん口令を敷いて事実を隠蔽しようとした。そこまでやるぐらいだから、その『消費期限切れの牛乳』というのはよほど不衛生なもので、それを原料として使用した不二家の行為は食品メーカーにあるまじき悪質なものだ」というのが、世の中の認識だった。

しかし、食品衛生の専門家による調査の結果、「消費期限切れの牛乳」と言われていたのは、食品衛生上、品質上は何の問題もなく、それを原料として使用したのは社内ルールに違反した形式的なコンプライアンス違反に過ぎなかった。

「雪印の二の舞」という言葉も、不二家の内部者が考えた言葉ではなく、同社が業務の全面見直しのために委託した外部コンサルタント会社が、消費期限切れ原料使用の事実を発見し、センセーショナルな表現を使った報告書を作って不二家の経営陣も加わった会議の場にいきなり提出し、それが外部に流出したものだった。

「雪印の二の舞」という悪意に満ちた表現のために、不二家が隠蔽を図ったかのような誤解を受け、食品メーカー失格の烙印を押されてしまったというのが、この事件の真相だった。

信頼回復対策会議にとって重要なのは、不二家が、この程度の行為で、なぜマスコミから猛烈なバッシグを受け、存亡の危機に立たされることになってしまったのか、その原因を究明し、信頼の回復のための対策を講じることだった。

議長としての私の役割は、それを具体的に実行していくことだと考えていた。

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