元検事が暴くTBSの嘘。『朝ズバッ!』不二家叩きデマ報道との死闘全記録

 

なんでチョコ工場にクッキーが返ってくるのか

しかし、『朝ズバッ!』の放送内容への不二家側の抗議への対応から考えて、「捏造」を疑う証拠があっても、TBS側が、素直にその事実を認めるとは思えなかった。

「電話メモの記載のような事実確認は行っていない」とか、「言い間違えた」などと、ありとあらゆる弁解や言い逃れをしてくることが予想された。

TBS側から直接、メモに記載されたとおりのカントリーマアムについての証言が存在することの確証をつかんでおく必要があった。

そこで、TBS側の“逃げ道”を塞ぐため、不二家側から、TBS側に会談の申し入れを行わせた。

3月25日、不二家本社で、不二家の広報部長、広報担当者、TBSのコンプライアンス室長、『朝ズバッ!』のプロデューサー2名に、信頼回復対策会議の議長の私が同席して、会談が行われた。

会談内容を録音することについて了承を得た上で行った会談の中で、私が、TBS側に、

「電話メモに書かれているような『カントリーマアム再利用についての証言』は実際にはないのに、あるように装って不二家側に事実確認をして引っ掛けようとしたんじゃないでしょうね」

と言うと、TBS側は、血相を変えて、

「失礼なことを言わないでほしい。我々は、カントリーマアムについても証言を得て、不二家さんに確認している」

と反論した。

それによって、TBS側は、不二家側に事実確認した内容がメモのとおりであること、そこで発言した「カントリーマアム再利用証言」が存在していることを明確に認めた。

それに加え、コンプライアンス室長を含むTBS側の3人は、口をそろえて、

「チョコレート工場なのに、『なんでクッキーが戻ってくるのだろうか』と思いながら、カントリーマアムの包装し直す作業を行っていたと元従業員が証言していた」

と述べた。

そういう疑問があったので、カントリーマアムについての証言は敢えて放映せず、チョコレート再利用についての証言のみ放映したというのだ。

TBS側は、完全に罠にはまった。

カントリーマアムについての証言ビデオの存在、そして、それを明確にチョコレートと区別して証言していたことを、TBS側が明確に認めたことで、局面は急展開することとなった。

その頃、週刊文春の取材も佳境に入っていた。平塚工場を訪れた週刊文春の記者の取材に、全従業員が総出で協力し、「顔なし証言」の女性に該当する工場従業員がいないことを確認する取材がほぼ終わっていた。

不二家側とTBS側の会談の内容を週刊文春に提供したことで、『朝ズバッ!』に関する記事掲載が決まった。

私は、その情報を、古くからの知人の共同通信文化部の記者に伝えた。

3月28日の水曜日の午後、翌日発売の週刊文春の『ペコちゃんを泣かせたみのもんた』と題するトップ記事の早刷りが出回った。

TBS『朝ズバッ!』の「チョコレート再利用疑惑報道」で、インタビュー映像の捏造が行われた疑いを取り上げた記事だった。

それと相前後して、共同通信が、『朝ズバッ!』の捏造疑惑を報じる記事を配信したことで、TBSにマスコミの取材が殺到した。

それを受けてTBS広報室長とコンプライアンス室長が会見を行った。

その会見で、TBS側は、

「証言者は平塚工場ではクッキーを製造していないことを承知しており『チョコレート工場になぜクッキーが戻ってくるのか』との疑問を抱いたという趣旨の証言をしている」

と記載したペーパーを配布した。

また、

「カントリーマアムとチョコを混同・流用していたのではないのか」

と質問されて、TBS側は、

「放送2日前に、証言者の証言を得て、カントリーマアムの話とチョコレートの話それぞれについて、事実確認の質問をしている。記事にあった、『賞味期限が切れていたのでゴミ箱に捨てたら上司に怒られ、再度パッケージに入れて製品にしていた』という趣旨の質問は、チョコレートに関する質問だった」

と答えた。

しかし、本当に、チョコレートに関する質問に対するそのような証言、しかも、「カントリーマアム再利用証言と文言まで酷似している証言」が存在するのか、TBSにその映像があるのか、そこが最大の問題だった。

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