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コロナ禍で脚光「マンション管理士」という資格の“不思議”な性質

新型コロナウイルス感染症の流行に伴う外出自粛の影響もあり、資格試験の受験を考える方が増加しているようです。「マンション管理士」も受験者数を増やした資格のひとつですが、そもそも同資格はどのようなもので、どんな方が取得を目指すのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士資格をお持ちの廣田信子さんが、この資格の全貌を紹介しています。

マンション管理士試験の受験申込者が増えた理由

こんにちは!廣田信子です。

2020年度のマンション管理士試験の申込者は1万4,486人。前年より525人増加しています。どうでもいいことのようですが、実は、私の中ではちょっとしたニュースでした。平成13年の第1回の試験(申込者10万9,520人)から、毎年減り続けた申込者数が、ようやく下げ止まり、プラスに転じたからです。

といっても、今年は、マンション管理士試験に限らず、資格試験は、みな受験者数が増えているようです。一番の理由は、まさに「コロナ禍」。外出自粛で家にいる時間が多かったことから、ならば仕事に関連する資格試験の勉強でもしようと思った人が多かったということです。

また、コロナ禍のような状況では、今後、仕事が今まで通り続けられるか不安があり、何か資格を取っておこうという気持になりやすいものです。

ただ、マンション管理士試験を受けようと思う人には、独特の傾向があり、仕事とは別の理由で受験者が増えたこともあるのではないかと思っています。

マンション管理センターのアンケート調査によると、マンション管理士試験を受験しようと思った理由で、一番多いのが、「現在又は将来の仕事に生かすため」で65.8%です。管理会社等に勤めている人が、知識取得はもちろんですが、将来のための社内評価項目のひとつとしてマンション管理士資格を取っておこうと思うようなケースです。ですから、すでに、「管理業務主任者」や「宅建士」の資格を持っている人が7~8割台に達しています。

次に多い理由が、「居住するマンションの役員等の職務に生かすため」で20.8%です。これが、マンション管理士試験の特徴です。ごく普通に、役員として必要な知識を持っていたいという気持ちで受験される方もいるでしょうが、知識があると主張する組合員に負けないようにしたいと勉強されるケースもけっこう多いです。

「マンション管理士」資格を持っているという組合員に何かとかき回されて困っていて、それに対抗するために資格を取ったという理事長さんもいます。「マンション管理士」という資格を持つことで、管理組合の中で自分が特別な立場にいるような感覚になる方が、少なからずいるのです。

で、受験する理由が、「マンション管理士として就職するため」というのは19.2%となっています。直接、その資格で、業として「マンション管理士」をしようという人は決して多くはないのです。

では、マンション管理士としての活動状況はというと、「本業として活動している」は5.4%で、「副業として活動している」は7.7%。不動産業や保険代理店、行政書士事務所と兼業で行っているケースが多いようです。

そして、資格をとったけれど「活動を行ったことがない」が、実に75.8%に達しています。その中には、管理組合の役員としての知識取得のために資格をとった、社内の人事評価のためにとったという人も含まれているのです。

本業として活動している人の1年間の売上高は、「100万円以上、400万円未満」が最多で30.4%。「100万円未満」と「収入を得たことはない」を合わせると47.9%に上ります。

個人事務所として活動している人で年間の売上高が700万円以上は5.6%です。

ただ、これは、全国が対象のアンケート結果です。大都市圏では、かなり手広く活動しているマンション管理士の方も多いので、地域差はかなりあると思います。

私としては、管理組合の役員の方が知識取得のために受験しようと思ってくれるのはうれしい…と思いつつ、管理組合の中で「マンション管理士」を御旗に自己主張をするような人は出ませんように…と思ってしまいました。

「マンション管理士」って、どの立場で、どう生かすかで、見え方が違うとても不思議な資格だと思います。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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