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年末に大混乱か。「故意に」コロナ拡大狙う菅政権の緊急事態再宣言

新型コロナ対策として北海道と大阪に自衛隊を派遣する方針を示すも、GoToトラベルについては頑ななほど続行にこだわっているようにも見える菅政権。その理由は「観光需要喚起」意外にも何かあるのではと考えるのは穿ち過ぎでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、政府がGoToトラベルを続ける「表に出せない理由」を推測するとともに、「二階・菅政権」の退陣についても言及しています。

株価急落の警戒時期に

株価は日米ともに上昇しているが、そろそろ株価急落の警戒時期になっている。それを検討する。

ワクチンの接種が12月11日にも始まり、財務長官にイエレン前FRB議長が決まり、追加経済対策の協議進展に期待する株価の上昇が続いているし、「強欲と恐怖指数」が92になっている。そして、その結果、NYダウは12%上昇で1987年1月以来の上昇率になって、12月4日は史上最高値を更新した。

しかし、1987年には10月19日のブラックマンデーという急落が待っていた。

現在、米国のコロナ感染者数は、1日当たり15万人となり医療崩壊の可能性も指摘されている。来年1月には家賃の払えない米国民600万人が家を追い出される危機的な状況にもある。早期に特別給付を盛り込んだ追加経済対策を始める必要がある。そして、11月米雇用統計でも、非農業部門の就業者数が市場予想を下回った。

テスラの株価も最高水準になり、トヨタの2倍以上の時価総額になっているが、一部には日産が来年発売する「アリア」の方が性能が良い上に安いという評判が出ている。また、「モデルY」の品質が悪く買った人の評価が悪いようである。

このため、イーロン・マスク氏もテスラ社員に株急落のリスクを警告し、「実際の収益性を見てみると、過去1年間の収益性は1%程度と非常に低い。投資家は我々の将来の利益を期待しているが、もしそれを実現できないと判断した場合、株はハンマーで叩かれたスフレのようにすぐに崩壊するだろう」と。このため、テスラ株価もピークを超えたようにも見える。

しかも、12月21日にテスラはS&P500に入るが、そこまでは上げるとみるが、それで材料出尽くしになる。

テスラ株が株バブル相場のインディケーターとするなら、そろそろ株価急落の警戒時期に来たようにも見える。

もう1つが、12月14日の大統領選挙人の選挙の日であるが、トランプ支持者が騒ぐとか、戒厳令を出すとか、トランプ周辺では物騒な動きもある。

年内の急落がなくても、1月20日のバイデン大統領就任式後、上院のネジレで政策進展がないなら、株価は調整になるはず。

踊る阿呆に見る阿呆、であるが、そろそろ、踊る阿呆も降りる準備をした方がよいように見える。

日本の状況

12月2、3日も1991年4月以来の29年ぶりの高値更新。日経平均もNYダウに引きずられて上昇して、29年ぶりの高値が続いている。

11月は月間で3,456円上昇で15%も上がって、1990年10月以来の上昇率になっている。このため、200日移動平均線から20%以上の乖離になり、過熱感が出ているが、月曜日も株価は上昇から始まる。

その上、海外投資家は現物4,300億円買越しであるが、先物は880億円売越しになって、今までの買越し一辺倒から変化した。そもそも、この上昇の原動力は海外投資家の資金流入である。

よって、NYダウの株価動向が日経平均にも大きく影響することになるので、NYダウ急落時は注意が必要である。

それと、コロナ感染者数もどんどん増え、医療崩壊で緊急事態再宣言になると、企業業績は落ちることになるし、その上に、政治的な混乱が起こると、12月末、1月初に急落する可能性がある。

輪をかけて、12月11日のメジャーSQまでは市場参加者が多いが、それ以降は薄くなるので、益々急落の可能性が増すことになる。

株価はどこまで落ちるのか

もし、落ちるとしたら、どこまで落ちるのであろうか?1987年10月19日のブラックマンデーで、NYダウは22.6%下落したが、現時点で起こると、NYダウは6,780ドルの下落で23,220ドルになる。リーマンショック時の14.1%下落では、NYダウは4,230ドルの下落で25,770ドルになる。

日経平均も22%下落すると、5,940円下落して21,060円になり、14%下落なら3,789円下落して23,220円になる。

この程度の下落は覚悟する必要がある。14%下落なら、11月の上昇分が帳消しになることを意味する。

急落になると、そこが押し目買いのチャンスにもなる。今は現金ポジションを多めにしておくことだと思う。

菅政権の寿命

11月28日から東京の65歳以上の高齢者のGoToトラベル利用の自粛になったし、重症患者用病床が逼迫してレベル4になった大阪市は、非常事態宣言を出して、外出自粛の要請を知事がしている。

医療専門家の間では「東京も含めた一部のGoToトラベル運用見直しだけでは、感染拡大が止まるはずがない」との見方が支配的だが、国は非常事態宣言を出す状態の県が出ても、GoToトラベルを止めないで、旅行奨励の状態を続ける。

GoToトラベル中止は、旅行制限ではなく、旅行の奨励を止めるだけである。今の状態は、国が病気の拡散を奨励しているようなものだ。

GoToトラベル中止は、旅行の自粛でもないので、GoToトラベルを中止しても、ある程度の拡散は起こるが、スピードが緩やかになる。

感染拡大スピードを緩やかにして、ワクチンの接種を速めて、何とか医療崩壊を食い止めることで、死者数も減らし、外出自粛させずに経済も回すことだと思う。

しかし、GoToトラベルで若者は病状が軽いので、国が奨励するので安い旅行に出かけることになる。しかし、地方では高齢者が多く、その人たちに移すのだ。

このため、今まではほとんど感染者がいない地方でも多くの感染者が出ている。というように、東京の若者が地方へ感染を拡大させている。ほとんどの県でコロナ感染が確認できる状態になってきた。

このため、病床が逼迫してきて、外出自粛を出す大阪市のような状態に福岡市、東京都、名古屋市、札幌市、旭川市なども近づいている。医療崩壊に近づく都市は、今後もどんどん増えるはずだ。

大阪市のような非常事態宣言を出すのもGoToトラベル中止をするのも、国ではなく県知事の判断としている。地区の事情で決めればよいとした。国の問題ではないようだが、小池都知事はGoToトラベル中止を要請したが、65歳以上の自粛にされたという。菅首相は、東京発の旅行奨励を死守したいようである。

そして、脇田隆字・国立感染症研究所長は「20~50代の比較的活発に動く方々の移動を抑えることが重要だ」と述べ、東京発着65歳以上自粛GoToトラベルでは感染拡大を止めることができないとした。

もう1つに、GoToトラベル中止や非常事態で外出自粛をした県は、その県だけ景気が悪くなるので知事も出したがらない。このため、時機を逸することになる。

12月4日現在、死者45人、重症者505人と過去最高になり、感染者は2,442人となっている。1週間前より状態が悪くなっている。

GoToトラベルを中止しないことで、ドンドン感染が広がってきているが、地方でICUにエクモがある病院は、県に1つか2つしかないので、今後、先に地方の医療崩壊が起こる可能性がある。

東北では県の大病院に収容できない重症者を東北大附属病院に搬送するようである。といっても東北全体で見るとICUもエクモも数が少ない。

感染状況は、2週間後にしか結果が出ないので、今の感染者数は2週間前の結果であり、現時点の感染結果は、2週間後になる。このため、現在の政策を続ける限り、感染者数も重症者も死者数も増えることになる。

12月中頃には専門家は「感染者が4,000人を突破し、東京の感染者も600人超えとなるのは必至」との見方をする。

菅義偉首相は4日夕、臨時国会が閉会するのに合わせ、首相官邸で記者会見を行った。GoToイートは新規発行を停止するが、GoToトラベルは続行するという。直近の危機的な感染状態でも、この件は会見全体のごく一部でしかなかった。菅首相に危機感はない。

デジタル化、グリーンの経済対策に会見の多くの時間を使っていた。平時のリーダーとしては、菅首相は優秀だが、危機時のリーダーではない。経済優先で命後回しという政策は、いただけない。

1波では感染者が東京に集中していたが、3波の現在、全国で感染者が出ている。東京自体は、感染者数が多くはなっているが、今の所、45%程度の病床の埋まり具合で済んでいるが、今後はわからない。

12月末までには感染急拡大が頂点に達し、「東京、大阪など大都市が事実上の感染爆発状態になる可能性」(専門家)もあり、そうなれば、菅首相は年末年始の緊急事態再宣言を迫られるが、緊急事態再宣言になれば、経済への打撃は計り知れない。命を軽んじることで、経済もダメになる。

もう1つ、コロナを感染させる時期は、病状発生前2日と病状発生後5日だという。このため、病状のない人が移動すると、本人に自覚がないまま、人に移していることになる。

このことも分かっているのに、GoToトラベルを中止しないということは、何か、意図的にGoToトラベルをおこなって、コロナ感染拡大をしているようにも見えてしまう。

今後、75歳以上の高齢者が増えて、国家予算は財政的に逼迫するからだ。このため、医療費をほとんどの75歳以上の人で1割から2割に上げるし、今後、いろいろなものが増税になる。携帯電話料金を引き下げるのも、通信税を取るためとも言われている。

ということで、コロナで死ぬのは、高齢者だけであり、若者は死なないので、国の財政的には、このコロナ感染拡大で、高齢者が死んでもらった方がよいと思っている可能性がある。

が、それを口に出したら自民党は選挙で負けるので、旅行業界などの救済という経済的な理由でGoToトラベルを止めないとも見える。

経済的には、労働人口が確保されていれば、国の経済は保持でき、高齢者のような従属者人口が減れば、国の予算に余裕ができて、産業政策などに資金を回せるからだ。

女性の自殺者も増えているが、これには対策予算がついているのに、施行に問題があり、迅速に失業や休業中の労働者に給付を行えていないからだ。企業の休業や失職での自殺者は、生活費の給付で、自殺者数は抑えられる。評論家の中に、これを問題視しているが、これには対策がある。

よって、どの程度の感染拡大で死者が出たら、国主導でGoToトラベルを中止するのであろうか。

どちらにしても、危機時のリーダー失格の菅首相はGoTo政策を堅持する気でしょうから、国民は感染対策で国に期待しない方がよい。

そして、緊急事態再宣言になれば、菅首相も「首相としての器か」を問われ、任期内の退陣になる可能性が高い。そうでないと、自民党は衆議院選挙でボロ負けになるからだ。

このため、菅首相も簡単には緊急事態再宣言を出さないことになる。すると、益々重症者数、死者数が増えて、国民からの怨嗟の声が出てきて、やっと、発出にするので、年末は大変なことになる。

いろいろな医療関係者や有識者の意見を聞けないリーダーを危険視する日本の伝統的な考え方が、今回も正しいことを証明することになりそうである。

よって、菅政権の間、65歳以上の高齢者は、自分の命を自分で守るしかない。危険なことをしないことである。旅行にはいかないこと、居酒屋やレストランでは食事をしないことや人混みにはいかないことである。

感染の可能性がある旅行者のような若い人たちにも近づかない。今の自分の行動結果は、2週間後に出る。油断して死なないでくださいね。

しかし、民主党も自民党も両方ともに、菅政権はろくでもない。日本の危機を深めている。

菅首相退陣で、命を重視する次の首相になり、状況が変わる。そこまでの辛抱である。

そして、二階・菅政権は退陣になり、安倍前首相を「桜」で追い込んだ見返りが来る。そして、安倍さんの音頭取りで、次の政権になるような気がする。安倍前首相の菅さんへの警戒感は正しかったということになる。

さあ、どうなりますか?

image by: 首相官邸

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【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

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