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京大・藤井聡教授が完全論破。コロナ「自粛厨」が掲げる3つの大ウソ

新型コロナウイルスの感染拡大予防のためとはいえ、行き過ぎた対応を求める「自粛警察」なる人々の言動が社会問題ともなっています。そんな面々の主張を「間違いだらけの酷い代物」と全否定するのは、京都大学大学院教授の藤井聡さん。藤井さんは自身のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』で今回、彼らが挙げる「自粛を必要とする理由」を完全論破しています。

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「皆で自粛してコロナを乗り越えよう」物語をどうすれば転換できるのか?~精神病理学に基づく集団的コロナ脳現象へのアプローチ~

今、世間では、次の様な「物語」が平均的に共有されているようにおもいます。

コロナで医療崩壊の危機が迫る緊急事態になっており、これを回避するには、感染リスクの高い飲酒飲食を自粛することが必要だ。その自粛をより強力に進めるには、緊急事態宣言が効果的。だから、感染者数が目に見えて減るまで緊急事態宣言を続けるべきだ。そうすればまた、コロナを気にせずに普通の生活が始められる。自粛はつらいけど、そういうコロナを気にしないで暮らしができる日が来るまで、我慢して自粛が必要だ。

これはいわば「皆で自粛してコロナを乗り越えよう」物語です。

そして、この「物語」が共有されているが故に、

自粛しないヤツがちょっとでも居れば、いつまでたってもコロナは無くならない。その結果、俺たちはずっと我慢して自粛し続けなきゃいけなくなる。真面目に自粛しない奴らは楽しい思いをしてて、俺たちはそいつらのせいでずっと嫌な自粛をさせられる。なんて馬鹿馬鹿しい話だ。自粛しないそんな奴らはホントに悪い奴だ。徹底的に取り締まって、見つけたら徹底的にバッシングしなきゃいけない。そうすれば、皆が真面目に自粛をするようになって、早く自粛生活から逃れられるんだから。

という物語を信じ込む人が大量に存在しています。これはいわば、「自粛警察で取り締まってコロナを早く終わらせよう」物語です。

で、「皆で自粛してコロナを乗り越えよう」物語があるからこそ、緊急事態宣言にも、そしてその延期にも国民の大半が賛成しているのです。そして、「自粛警察で取り締まってコロナを早く終わらせよう」物語があるからこそ、自粛警察やそれに準ずるような監視や注意や密告の様な行為が頻発するようになります。さらには、「自粛しなくてもいい」という結論に繋がるような事を言う(当方や京大の宮沢教授や小林よしのり氏のような)人々は、あちこちで激しくバッシングされる事になります。

つまり、今世論でまき起こっている空気は、「物語」が作り上げているのです。

(なお、この物語をつくりだした張本人は、このままだと42万人死ぬぞと世論を脅した西浦という教授やワイドショーに出まくってコロナは怖いぞと同じく脅しまくった岡田という専門家風タレントを代表とするような「専門家」達です。彼等専門家が過剰に煽らなければ、如何にワイドショーやマスコミといえど、ここまで濃密に「皆で自粛してコロナを乗り越えよう」物語を作り上げることなど出来なかったはずです。なんせ、ワイドショーやマスコミは素人なので、コロナのことなんて何にも分からないのですから。)

しかしこの物語にはツッコミどころが満載の、科学的実証的に考えれば間違いだらけの酷い代物です。

逐一ツッコミを入れていきましょう。

コロナで医療崩壊の危機が迫る緊急事態になっておりこれを回避するには感染リスクの高い飲酒飲食を自粛することが必要だその自粛をより強力に進めるには緊急事態宣言が効果的。」

→間違いです

自粛しなくても、政府がカネをつかって感染症法の規制を緩和すればいくらでもコロナ対応病床が増えて緊急事態が回避できる。しかも、自粛してもしなくても、コロナは感染拡大するときは拡大するし、収束する時は収束している。

その上、第一波も第三波も、収束に転じたピークアウトは、全て、緊急事態宣言とは無関係。宣言前にピークアウトしてるのが実態。さらに言うと、宣言前後で、収束速度が変化した形跡すら認められない。

そしてより決定的なのが、緊急事態宣言エリアとそれ以外とで、感染者数の推移パターンはほぼ同じ、という事実。

これらの諸事実はいずれも、感染収束に対して自粛する意味が十分に存在していない可能性を明確に示すものです。

だから感染者数が目に見えて減るまで緊急事態宣言を続けるべきだ。」

間違いです

そもそも、宣言と感染者数の因果関係が無い可能性が濃密にある以上、そんな事が言える筈がない。しかも、仮に因果関係があるとしても、今、目にしている感染者数ってのは2週間前に感染した人の数。だから、「目に見えて減るまでやる」なんてやってたら、「2週間も無駄に自粛を人々に強要する」ことになる。だから、(仮に宣言に効果があるとしても)2週間後の感染者数の見込みをベースに(安全度も一定見込みつつ)解除することが必要。

そして何より、自粛や宣言によって、倒産と自殺が増えること「だけ」は「確実」。

つまり、緊急事態宣言は、それによる深刻被害だけは明確にある一方で、効果が無い疑義が濃厚だし、仮にあってもそんな風に感染者数が目に見えて減るまで待ってたら少なくとも2週間も余計に待ちすぎなわけで、感染者数が目に見えて減るまで待つ必要なんて絶対有る筈がない。

そうすればまたコロナを気にせずに普通の生活が始められる自粛はつらいけどそういうコロナを気にしないで暮らしができる日が来るまで我慢して自粛が必要だ。」

間違いです

コロナを完全に撲滅することなんてできない。風邪が流行る時期にはまた必ず流行る。

だから、どれだけ自粛しようがしなかろうが、コロナを気にしないで暮らせるようになることは、ワクチンが完全普及するか集団免疫がつくか位しないと無理。だから皆で我慢すれば皆でコロナを気にしなくて生活できるようになる、なんて、アホ丸出しの単なる妄想。

…ということで、「皆で自粛してコロナを乗り越えよう」物語なんて、どこからどうツッコミを入れて良いか分からない位、一から十まですべて間違いまくっているのです(大笑)。

まさにいわゆる「コロナ脳問題」は、不条理な集団心理・群集心理であり、集団ヒステリーであり、集団的神経症現象なわけです。つまりそれはもはや、精神病理、精神医学の問題であって、科学の問題ではないのです。

(メルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2021年2月6日配信分より一部抜粋。続きはご購読の上、お楽しみください)

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京都大学大学院・工学研究科・都市社会工学専攻教授、京都大学レジリエンス実践ユニット長。1968年生。京都大学卒業後、スウェーデンイエテボリ大学心理学科客員研究員,東京工業大学教授等を経て現職。2012年から2018年まで内閣官房参与。専門は、国土計画・経済政策等の公共政策論.文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞等、受賞多数。著書「プライマリーバランス亡国論」「国土学」「凡庸という悪魔」「大衆社会の処方箋」等多数。テレビ、新聞、雑誌等で言論・執筆活動を展開。MXテレビ「東京ホンマもん教室」、朝日放送「正義のミカタ」、関西テレビ「報道ランナー」、KBS京都「藤井聡のあるがままラジオ」等のレギュラー解説者。2018年より表現者クライテリオン編集長。

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【著者】 藤井聡 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 土曜日

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