わたしたちの暮らしには数字や番号が溢れていますが、例えば野球の2塁と3塁の間を守る遊撃手の守備番号はなぜ「6番」なのでしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが取り上げているのは、そんな「番号の起源から裏事情」を徹底調査した書籍。本文から引用されている「番号の本質」は確かになるほど納得、な内容ですよ。
偏屈BOOK案内:佐藤健太郎『番号は謎』
佐藤健太郎 著/新潮社
我々を取り囲む数々の番号の、起源から裏事情までを徹底調査。そこには混沌と秩序をめぐる驚くべき裏事情が……とカバー袖にある。
かつて著者は全国の国道を走り回り、標識を撮影した「国道者」と題する本を書いた。読んだような気がする。なぜ国道に「萌え」を感じるのか、それは番号がついているからだ。著者は1から順に番号がついているものが好きらしい。番号フェチである。
我々は番号に囲まれている。だが空気のように誰も関心を払わなくなっている。本書では身の回りの番号に関する謎に多角的に迫り、その謎を解き明かす。
番号が用いられるのはすぐには数え切れないほど多くの対象を、ひとつひとつ区別して管理する必要が生じたときだ。つまり番号とは支配者、管理者が用いるものであり、本質的に上から目線のものだといえる。
やはり野球の背番号が気になる。王の1、長嶋の3、落合の6、イチローの51なんて、野球は好きでも嫌いでもないわたしでさえ知っている。背番号は選手が背負うもう一つの顔であり、プライドやモチベーションに直結する。
ここまで思い入れを持たれている番号は他にない。背番号と縁の深いのが守備番号だ。守備位置を番号で表す。たとえば「6-4-3のダブルプレー」などと実況放送で聞く。
高校野球は基本的に守備番号をそのまま背番号としているが、ちょっと不思議な並び方をしている。投手が1、捕手が2、一塁手が3、二塁手が4、三塁手が5、そして二塁と三塁の間にいる遊撃手が6となっている。
これは野球の黎明期には遊撃手が投手の近くで守っていたからだ。打球を打者に近い位置で捕って、他の塁へ送球する役回りで、英語では「ショートストップ」と呼ばれた。
日本では中馬庚(「野球」の命名者)によって「遊撃手」と訳された。時代を経るに従い遊撃手は現在の位置に固定されるようになり、ショートという名称と6番という守備番号だけが、当時のまま残ってしまったのだ。
高校野球のレギュラー9人は、それぞれ守備位置を表すことが多い。1桁の背番号の選手がエラいのだ。プロ野球は守備位置と関係ない、好きな番号を選べる。知らなんだ。わたしは5がいいな。高校ではろくに勉強しなかったから、その数字5がついたのは国語だけだった。
編集長 柴田忠男
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