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ICT化もグローバル化も大間違い。海外とマスコミの“脅迫”に踊らされた日本

世の中には多くの情報があふれています。自分で取捨選択できるものもあれば、一方的に受け取るだけのものも多くあります。まるで私たちを脅迫しているような情報の押し付けに騙されてはいけないと語るのは、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さん。今回のメルマガ『j-fashion journal』では、そんな脅迫消費から互いに利益と満足を得ることができる貢献消費に切り替えるべきだとしています。

脅迫消費から、貢献消費へ

1.テレビは脅迫的な情報を流す

最近、テレビをみていると、脅迫されているような印象を受ける。ワイドショーでは、常にコロナの話題で、感染者数が減少しているにも関わらず、今度は変異型のウイルスの恐怖を煽り、リバウンドが心配だという。

変異型は去年から発生している。コロナウイルスは変異するものだし、変異したとしても、感染力が強まれば弱毒化するというのが定説である。

これまで何度も、いろいろな専門家が登場して、「気を緩めると、感染者が劇的に増加する可能性がある」と脅したが、その予測は全て外れている。ウイルス感染は精神論ではなく、もっと数学的に増加したり、減少したりするのだ。常に感染者のカーブはなだらかに推移している。学者の予想だけが、不自然なカーブを描き、それは外れるのである。

外れる予測だけして、具体的な対策は何もしない。病棟を増やすわけでもなく、治療薬を認定するわけでもない。何もせずに、国民を脅しているだけだ。

そもそも緊急事態宣言を解除したからといって、羽目を外す日本人は少ないだろう。居酒屋が急に満員御礼になるはずもない。急激なリバウンドなど起こしたくても起きないのだ。

そんなことは誰でも分かるはずなのに、なぜ、こうまでして脅迫を続けるのか。とにかく国民にワクチンを打つまでは脅迫し続けるとでも言うのだろうか。

その割には、東京五輪を中止するという話は出てこない。議論しているのかも分からない。五輪開会後に、変異型のクラスターが発生した場合どうするのか。選手や審判が感染したらどのように対応するのか。

2.CMも脅迫的だ

テレビCMも不安を煽るものが多い。誰でも加齢により体力は落ちるのに、「サプリメントを飲まなければ寝たきりになる心配がある」といい、一度サプリを飲み始めると、「止めた人は老けて見える」という。

血圧は130を超えると高血圧だというが、ほとんどの高齢者は130以上だろう。降圧剤を飲む方が本当に身体に良いのかは疑問だ。高血圧は病気ではなく、身体の状態であり、その原因を究明してから解決を目指すべきだろう。原因を解明せず、降圧剤を飲むのはかなり乱暴な話だと思う。

ある書籍には、血圧200超えの長寿の村があるそうだ。高齢化すると高血圧でないと血液が隅々まで回らないというのだ。

血圧を下げれば安全というが、脳に十分な血液が回らないと認知症が進むこともある。そもそもピンピンコロリを望むなら高血圧で丁度いいのではないだろうか。

肌の染みや衰えも化粧品を使えば、若返ると言わんばかりだ。それよりも、「年老いた表情は美しい」という価値観を訴求するべきではないか。

人体に最も毒なのは薬だという説もある。薬は毒を薄めたものであり、ほとんどが化学物質で副作用もある。

健康に関する書籍を読むと、「日本人には玄米食がいい」という意見が多いようだ。人工的な薬品を試す前にまず玄米食を試すべきではないか。

健康的な食生活を目指さず、薬やサプリメントを飲みながら身体に悪い食生活を続けることが正しいとは思えないのだ。

3.プロパガンダに流されるな

我々はビジネスについても脅迫的な風潮に押されていないだろうか。

私もコロナ禍以前はICT化とグローバル化を進めることこそ、企業のあるべき方向性だと考えていた。

しかし、コロナ禍で全てが止まり、ゆっくりと考えてみた。例えば、繊維業界はグローバル化と共に、中国生産を増やしたが、結果はどうだったか。国内製造業は淘汰され、価格競争が激化し、単価下落と共に、市場が縮小し、売上も利益も減少した。中国生産で利益を上げた企業もあるが、大多数の企業は業績が悪化した。

一方、中国企業は成長し、日本に観光旅行に来て、ラグジュアリーブランド商品を買い求め、高価なグルメを楽しむようになった。

中国市場進出も試みたが、中国市場は日本企業に開放されているとは言い難く、関税や様々な許認可の壁もある。多くの日本企業は中国市場から撤退した。

もちろん、中国生産も中国市場進出も日本企業が選んだ道であり、自己責任である。

それでも、純粋に結果だけをみれば、多くの企業にとって、グローバル戦略は間違っていたといえるだろう。

更に、もし、中国生産、中国投資、中国進出が、中国政府のプロパガンダ、情報操作だったとしたら、我々はそれに見事に乗ったことになる。

4.デジタル化で日本企業を支配する

それではICT化はどうだろう。コロナ禍における最も大きなビジネスの変化は「テレワーク」「リモートワーク」の進展だった。しかし、テレワークを進めて分かったことは、多くの会議や出張は無駄が多いこと。都心のオフィスにも無駄が多かったこと。そして、実は余剰人員が多かったことも明らかになってきた。

見方を変えれば、会社組織は合理的なビジネスだけを行っている場ではない。社会を構成する最小単位であり、そこに多くの社員が所属することで、社会は安定していたのだ。

もし、経済合理性だけで判断するならば、AIを導入すれば、管理職の多くは必要ないだろう。しかし、失業者が増え、社会が混乱する可能性もある。

会社は株主の利益のために存在するならば、徹底的な人員削減が正解かもしれないが、会社は社会を構成する要素であり、社員のものでもあると考えれば、様々な無駄も許容すべきだ。

実は、日本の強みはアナログではないだろうか、とも思える。日本の製造業はアナログな技術に支えられている。職人仕事を全てロボットに置き換えれば、中国企業は簡単に日本の技術を吸収できる。全てがデジタル化すれば、何でもコピーできる。全ては金で買えるのである。

そう考えると、日本の産業を保護するには、デジタル化の制限も必要かもしれない。もちろん、日本語による経営も守るべきだ。

グローバル化やデジタル化は、海外企業が日本企業を買収し、支配するための戦略かもしれない。

我々は、脅迫的なビジネストレンドに流される前に、本当に日本の産業や企業を発展させるには、何を守らなければいけないかを考える必要があるだろう。

5.貢献消費の可能性

コロナ禍で飲食店や観光業、エンターテインメント業などが、壊滅的な打撃を受けている。日本経済を守るためには、消費者が利己的にコストパフォーマンスを求めるのではなく、日本経済を回すために消費するという意識が必要である。

これは企業も同様だ。単純に海外生産に依存し、コストダウンを図るのではなく、国内企業とのサプライチェーンを構築し、より付加価値の高い、ビジネスを目指すべきである。

脅迫されて、不安になって、消費するというスタイルは、情報操作によって消費をコントロールされることを意味する。そうではなく、日本経済に貢献するための消費を行い、そこから人々とのコミュニケーションを生み出し、互いに利益と満足を得るというのが、貢献消費だと思うのだ。

みんなが少し高い商品を選べば、雇用が生れ、社会が安定し、お金が回ってくる。そして、収入が増え、消費も増えるのである。お金がないからと、海外製品だけを購入すると、ますます生活は苦しくなってくる。量を減らして、質を上げる。

そもそも我々はコロナ禍で断捨離をしたではないか。モノが多すぎる生活は貧しくなるのだ。消費から世の中を変えることができれば、自然と企業や政府はついてくる。

それを実行するには、脅迫や情報操作に屈しないことである。

編集後記「締めの都々逸」

「いつのまにやら 洗脳されて 自分の幸せ 捨てている」

コロナで考えさせられ、コロナで気付かされることがとても多いような気がします。本当に元には戻れないですね。

ある意味の覚醒ですが、これが世界で同時に起きているのではないでしょうか。

何となく過ごしてきたことが、別の意味を持ち出して、あれ、騙されていたのかな、と思い始める。そうなったら、全てを考え直さなければなりません。

人生とは何か、幸せとは何か、仕事とは何か、国とは何か。

まぁ、でも、人生のラスト近くで、気がついて良かったな、と思っています。(坂口昌章)

image by: Shutterstock.com

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