3月25日に聖火リレーが福島県をスタートしたものの、未だ多くの国民がその開催に異を唱える東京五輪。7月23日、予定通りに開会式を迎えることができるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、国内の新型コロナ新規感染者増と、米放送局のNBCが聖火リレー中止を訴える記事を自社サイトに掲載した事実に注目。その上で、菅政権による再度の緊急事態宣言発令が米国世論を動かし、五輪が中止となる可能性があると記しています。
本当に五輪開催できるのか?
3月22日に緊急事態宣言を解除したが、新規感染者数が増加傾向になって、このままであると5月前には再度、緊急事態宣言発令の可能性も出てきた。
3月22日に緊急事態宣言が解除されたが、先週号でも懸念していたが、新規感染者数の増加が止まらない。そして、緊急事態宣言解除で、皆が旅行や会食を行い始めている。
東京は、3月26日376人で、3月19日303人から1.24倍になっている。実効再生産数が1.2より大きいことになり、4月中に1日の感染者数は500人を超えることになる。これから急激に増加するはず。3月27日は430人となって、500人まであと少しになっている。
もう1つ、10歳未満の新規感染者が14人もいる。コロナ変異種が蔓延していることを伺わせる。コロナ変異種は感染力が強く、かつ、子供でもかかるような進化をしている。また、ワクチンの効きを弱めるとも言われている。
ここは、感染防止をしてコロナ変異種を蔓延させずに、ワクチン接種で、コロナ禍を乗り越えたいが、その方向ではなく、変異種を蔓延させる危険方向に、意図せずに日本国民は行ってしまっている。
その上に、このような状態でGoToトラベルを再開するという。地方自治体が行う地域限定のGoToトラベルへ補助金を政府は出す。
勿論、旅行業者やホテル業者への経済補助としては有効であるが、宮城県限定のGoToイートでコロナ感染者数を増加させた事例もあり、本当に補助になるかどうかは分からなくなっている。
コロナ禍を早く収束させることが、経済的に重要なことであり、そのためのコロナ変異種拡散を防ぐ必要にあるが、逆に行動している。
5月までに、ワクチン接種が65歳以上の高齢者に行き渡っていないことで、死者数・重症者数が増加する可能性が高くなっている。
一応、6月末までには65歳以上の高齢者の接種が終わることになっているが、緊急事態宣言は再度出さざるを得ないことになる。
そして、五輪の聖火リレーも福島を出発している。しかし、この聖火リレーに対して、資金を供給する米国放送局NBCは、聖火リレーを中止するべきと論評している。
もし、再度、緊急事態宣言が発令されたら、その時、NBCなどや米国世論で五輪中止を主張されて、中止になる可能性も出てくる。米国の選手が派遣されないことになるからである。
このためかどうかは知らないが、菅首相は4月に訪米することになっているが、その日程が決まらない。菅首相は、バイデン大統領に五輪見学のための訪日を依頼するというが、米国の選手団が日本に来ないなら、五輪のための訪日はないことになる。
どうも、米国は、日本の感染状況を見ているような気がする。五輪の中止か開催かを瀬踏みしてから、菅首相に会うような気がする。
また、緊急事態宣言解除で自民党内で議論されていた4月に衆議院選挙を前倒しで行うこともできない。感染者数増加中に、選挙運動を行うことは、感染者数を増やすとして、大きな世論の反発を招くことになる。
さあ、どうなりますか?
image by: Ververidis Vasilis / Shutterstock.com