新型コロナウイルスのパンデミックにより、長い長いロックダウンを経験したニューヨーク。1日3000食提供可能なお弁当屋さん「BentON」は、街からオフィスワーカーが消えたことでほとんど売上がなくなったそうです。そんな危機的状況で、日本人オーナーが打って出て見事に成功した新たなビジネス展開とは?『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』著者で、NY在住人気ブロガーのりばてぃさんが伝えてくれました。
BentONのミールキットが美味しすぎました
新型コロナのパンデミックで私たちの生活が大きく変わり、それに伴い食生活も変化。その結果、飲食業界も新たな商品やサービスを提供しないと生き残れない状況に…。そんな逆境を経て、売上を大きく伸ばしている飲食会社の1つのがBentOn(ベントオン)さんです。
BentOnはもともとお弁当などをNYで販売していました。日系スーパーに卸したり、オフィスから注文を受け日々のランチのためのお弁当を販売したり、店舗展開もしていました。数年前の記事によると、1日3000食の生産が可能なセントラルキッチンを持つ他にミッドタウンと金融で有名なウォール街にも店舗展開していました。
ご参考:
● セントラル・キッチンについて~biz’16
● 創業の背景~COURRIER-JAPON
お弁当屋さんで数店舗も展開していたのはこのBentOnだけでしたし、今後、他店舗展開とかフランチャイズなど事業展開について取り組み進めていたはず。
そんな矢先にパンデミック勃発。オフィスワーカーたちのほとんどがリモート・ワークとなります。そう、BentOnが店舗を出していたミッドタウンとウォール街はゴーストタウンのようになってしまったのです。当然、他のエリアにある企業さんからのお弁当の注文もピタっと停止。まったくお客さんが来ない状況に…。
BentOnの古川社長にはクラブハウスの飲食のルームでお話してもらったことがあるのですが、その際に仰ってたのは、「うちの商品に問題はないのに(味や質の変化なく)、お客さんが来ないということは人々の生活が変化したということ。だからロックダウンになってから注文がなくなり、時間ができたので人々はいまどこにいるのか?どこに商機があるのか考え調べました」…といったこと。
いろいろ調べ考えた結果、これまで店舗に来てもらって販売したり、オフィスからの注文を受ける需要は無くなった、自宅にいる人たちにどうやって届けたらいいのか考えたそうです。そして生まれたのが、「和食のミールキット」です。
で、今回いろいろご縁ありまして、BentOnさんからミールキットをご提供頂きました。早速食べたところ、めちゃくちゃ美味しかったので、アメリカにお住まいの方はぜひ食べてみてください。近々ブログのほうに動画と写真付きでご紹介予定ですが、ミールキットは以下をご参照。
1品ずつ真空パックされたものを指定の時間湯煎にかけるだけで食べられます。おすすめはご飯も一緒になっているセット。現在受け付けている、鮭の粕漬け焼きと彩り野菜五目煮セットは品数も豊富なのでかなり満足します。
ご参考:
● BentOnのミールキット
ちなみにBentOnさんのモットーはご家庭の料理の負担を少しでも減らしたいというもの。たしかにBentOnさんの食事が冷蔵庫に常備されていれば、忙しいときや疲れて何もしたくないとき、家庭での自分の料理に飽きてしまった人には本当に助けになります。
味も十分に美味しいのですが、おそらく古川社長はもともと出来立てのお弁当を販売していたので、一旦、真空パックにすることで「出来立て要素」が減る分、味よりも便利さを強調したPRにしているのもあるのかも?
しかも西海岸にも宅配していますが、和食が比較的高めの東海岸に比べて西海岸ってめっちゃ安いんです。LAにある日系スーパーで7ドルほどで売られているお弁当は東海岸では2倍になってしまうほどの価格差。そういう地域による価格差も考慮して作られたのが今のミールキットという感じがします。
なので、これはブログの方には書きませんが、メルマガの読者だけということで一言そえると、東海岸の人にとってはお得感さえある値付けと内容ですが、西海岸の人たちにとっては高いと感じるかもしれません。でも栄養バランスも取れているので、健康的なため、西海岸の人たちにとっても嬉しい商品ではないかと思います。
2025年には、すべてのレストラン(=外食産業)の売上げの半分以上(54%)がデジタル販売になるというデータもあるのでこれまでなかったようなミールキットが出てくるかもしれませんね。
ご参考:
● コロナ禍を生き残るため、米国の外食産業はどのような変化(進化)を見せたのか?
image by: Shutterstock.com