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「尖閣侵略」を堂々と狙う中国。その本気度を決定づけた4つの事実

先日掲載の「日本は『一線』を越えたか?首脳会談で日米が中国に送った最後通告」等の記事でもお伝えしているとおり、尖閣周辺や台湾海峡での中国による示威的な活動がエスカレートの一途を辿っています。そのような状況下においても「軍事衝突などありえない」とする日本人を「平和ボケ」と斬るのは、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、中国が尖閣を本気で狙いに来ていることを証拠付ける4つの事実を挙げるとともに、彼らの行動に対する岸信夫防衛大臣の認識を紹介。その上で、我々日本国民にも覚悟が必要になってきたとの見方を記しています。

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岸防衛大臣の対中認識は正しいか?

気づいている人は、あまり多くないかもしれません。しかし、日本は、中国といつ戦争(=戦闘)になってもおかしくない状況になっています。「ありえない!」というのは「平和ボケ」。今の時代、すべてが急速に変わっています。

たとえば、香港。2019年は、100万人デモ、200万人デモができる状況だった。2020年、「香港国家安全維持法」が成立し、香港の自由は完全に無くなりました。1年で、劇的に変わったのです。また、2020年5月にはインドと中国の国境紛争(戦闘)が再燃。インド兵20人が犠牲になりました。

日本はどうでしょうか?中国は「尖閣中国漁船衝突事件」があった2010年から、「尖閣は、我が国固有の領土で、核心的利益だ!」と宣言しています。そして、ここ1年で、侵略の意志をはっきり示すようになってきました。4つの事実をあげておきましょう。

■事実1 ~ 中国公船が接続水域を111日間連続航行(2020年4月~8月)

中国公船、接続水域出る 過去最長111日航行─沖縄・尖閣沖

時事通信2020年08月02日15時17分

 

沖縄県石垣市の尖閣諸島沖で2日、中国海警局の「海警」4隻が領海外側の接続水域から出たのを海上保安庁の巡視船が確認した。第11管区海上保安本部(那覇市)によると、尖閣周辺の接続水域内には中国公船が過去最長となる111日にわたり航行していた。

 

中国公船は4月14日に接続水域に入ってから、船が入れ替わりながら尖閣周辺で航行を続けていた。

■事実2 ~ 中国公船、過去最長の領海侵入(2020年10月)

毎日新聞 2020年10月13日。

第11管区海上保安本部(那覇)は13日夜、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入した中国公船2隻の連続侵入時間が57時間39分となり、2012年の尖閣国有化以降、最長になったことを確認した。(中略)

 

侵入時間が過去最長を更新するのは今年に入り、3回目で、中国は同海域での行動をエスカレートさせている。

■事実3 ~ 中国公船、日本の領海で、日本漁船を追跡する方針

日本漁船を即時追跡 中国の尖閣対応が強硬に 8月以降、方針を変更

沖縄タイムスプラス 2020年12月29日10:18

 

中国海警局の艦船が8月以降、尖閣諸島周辺の日本領海で日本漁船を見つけた場合、原則直ちに追跡する方針に変更したと日本政府が分析し警戒を強めていることが28日、分かった。

■事実4 ~ 海警法成立(今年2月)

「海警法」とは何でしょうか?「海警が武器をつかえるようになった」などといわれますが。福島香織さんがJBPress1月28日付で、海警法の条文を中国語から訳してくれています。抜粋してみましょう。

第21条には、「外国軍用船舶、非商業目的の外国船舶が中国管轄海域で中国の法律に違反する行為を行った場合、海警は必要な警戒と管制措置をとり、これを制止させ、海域からの即時離脱を命じる権利を有する。離脱を拒否し、深刻な損害あるいは脅威を与えるものに対しては、強制駆逐、強制連行などの措置をとることができる」とある。となれば、中国が領有を主張する海域、例えば尖閣諸島周辺で、海上保安庁や海上自衛隊の船が海警船と鉢合わせすれば、どのような衝突が起きても不思議ではない。

ここで重要なのは、中国が、「尖閣は我が国固有の領土で核心的利益だ」と主張していること。当然、尖閣周辺は、「中国の領海」ということになります。つまり、日本の漁船や海上保安庁が、尖閣周辺にいれば、それは中国から見ると、「領海侵犯」ということになる。それで、中国海警が、強制連行したり、強制駆逐したりすることができるという法律。

この状況、もう一度考えてみましょう。尖閣諸島の周辺に海上保安庁の船がいた。中国海警の船が来て、「ここは中国の領海だ!速やかに出て行きなさい!」と命令する。すると海上保安庁は当然、「いや、ここは日本の領海だ!そちらこそ出て行け!」と応酬する。海警は、「海警法」に従って、海上保安庁の船に発砲。中国政府は、「日本の海上保安庁が我が国の領海を侵犯していた。再三警告したが出て行かないので、法律に従って発砲した。悪いのは、領海を侵犯し、警告を無視し、居座り続けた日本だ。100%日本の責任だ!」と、図々しくも発表する。

ここで、加藤官房長官が、「遺憾砲」で終わらせれば、「日本は、尖閣周辺が中国の領海であることを、事実上認めた」ことになり、尖閣諸島は侵略されるでしょう。もし、日本が、自国領土、領海を守ろうとすれば、戦闘になります。

どうですか、皆さん。「日本は、中国といつ戦争(=戦闘)になってもおかしくない状況になっています」と書いたことが、冗談でないこと、ご理解いただけるでしょう。

岸防衛大臣の認識

この件に関して、岸信夫防衛大臣は、ど考えているのでしょうか?22日に開かれた自民党議員の会合で、考えを明らかにしています。

岸大臣は22日夜、中国の海洋進出をめぐり、「目立たないところで一歩ずつ侵略し、最終的に全部変わっている状況をつくろうとしている」などと述べました。
(日テレニュース24 4月23日)

正しい認識ですね。事実1から事実4まで、順番に並べると、少しずつ、着実に、「既成事実化を図っている」こと、ご理解いただけるでしょう。

ちなみに、日本と中国の戦争は、「尖閣から」とは限りません。「台湾から」になる可能性がある。皆さん、「中国が台湾を攻めたら日本はどうするのだろう?」と考えたことがありますか?今までは考えなくてよかったかもしれません。しかし今は、「本当に起こるかもしれない」ので、真剣に考える時期に来ています。

岸防衛大臣は、この件について。

台湾が中国に統一された場合を念頭に「台湾が赤くなったら大変な状況の変化が起きるかもしれない」と述べ、有事への備えが必要だとしました。
(同上)

「有事への備えが必要だ」

これが、岸防衛大臣の認識です。

まったく正しい認識で、私たちにも覚悟が必要になってきました。私たちは、もちろん戦争=戦闘を望みませんが、勝手にむこうが殴ってくることがあります。

尖閣で中国は、まさにジャブを繰り出している状態。「どこまで日本を殴ってもいいのかな?」と日本政府を試しています。殴っても殴っても反応がなければ、まず尖閣を奪い、その後は沖縄を奪うでしょう。なんといっても中国は、「日本に沖縄の領有権はない!」と宣言しているのですから。絶対証拠はこちら。

反日統一共同戦線を呼びかける中国

image by: 岸信夫 - Home | Facebook

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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