MAG2 NEWS MENU

反体制派の中国人を同胞が暴行。海外にスパイを送る中国共産党の卑劣

監視社会として知られる中国ですが、その「網」は国内のみならず他の民主国家にまで広げられているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国当局による自国留学生を利用した、海外在住の反体制派中国人や香港人への暴行脅迫の実態を紹介。その上で、中国共産党の監視強化は他国の民主主義や学問の自由を脅かす存在であると警告しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年6月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

中国と台湾の真実を最もよく知る黄文雄先生のメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

【中国】民主国家に滞在する中国人の口封じのため暴力恫喝する中国共産党

人權觀察:中國政府持續騷擾恫嚇澳洲中國學生 致廣泛自我審査(ヒューマン・ライツ・ウォッチ:中国政府によるオーストラリアの中国人学生に対する脅迫で自己検閲が蔓延)

6月30日で、中国政府が香港への国家安全維持法を成立させてから1年が経ちます。また、7月1日には中国共産党100周年を迎えますが、党の功績を強調するプロパガンダ番組がさかんに流され、さまざまな式典が行われています。

そうしたなか、国際的な人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは6月29日、オーストラリアの中国人学生が中国政府から嫌がらせや脅しをかけられ、自己検閲せざるを得ない状況に追い込まれているというレポート「They don’t Understand the Fear We Have」(彼らは我々の恐れを理解していない)を発表しました。

オーストラリアには香港返還時に多くの香港人が移住しました。また、その後も中国から投資移民が入り込み、いまや中国系オーストラリア人は人口の3.9%にまでなっています。

豪、多文化主義の危機(中国化進む世界)

そのため、オーストラリアの政治が、中国共産党の指令を受けた中国系移民によって乗っ取られてしまうのではないかという懸念が広がっていました。もっとも、中国系といっても多様で、香港系移民などは、中国人留学生に民主主義や言論の自由を教えようという市民団体もあります。

オーストラリアの大学には現在16万人の中国人学生が通っていますが、ヒューマン・ライツ・ウオッチのレポートでは、民主主義を支持する香港系や中国人学生が、同じ中国人同級生から暴力を振るわれたり、さまざまな脅迫、中国当局へ通報されるといったケースが相次いでおり、香港の民主化を支持するデモに参加したことで、中国人クラスメートから標的にされることも起こっているとしています。

海外の中国人留学生や学者がスパイ活動を行っていることはよく知られています。トランプ政権では、中国人留学生の審査厳格化を行い、入国を制限しました。

アメリカの「中国人留学生外し」が示す深い確執

そして彼らは、他の中国人留学生や香港人留学生、そして移民に対するスパイでもあるのです。民主主義や言論の自由を支持し、中国政府を批判する中国人や香港人、中国系移民に対して、さまざまな嫌がらせや脅迫を行い、口をつぐませようとしているわけです。

中国に親族がいる中国人は、親兄弟などに危害が及ばないかを心配し、自己検閲でものを言えなくなるケースが増えていると、レポートでは論じています。

中国と台湾の真実を最もよく知る黄文雄先生のメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

しかし、それだけではありません。オーストラリアでは、台湾を国として扱うなど、中国政府の立場と異なった教材を使ったり、発言を行った教師に対して、中国人留学生が「不快な思いをさせた」として謝罪を求めるようなことも起こっています。

中国人学生に「謝罪」する豪の大学教師たち…台湾や領土表記で「不快な思い」と批判、ネットで拡散

このように、中国は学生を使って他国の学問の自由までも犯そうとしているのです。日本でもそのうち、「尖閣諸島は日本領土」と教えた場合、中国人留学生が大挙して学校に抗議してくるという事態すら起こりかねません。

中国には国防動員法というものがあります。この法律によれば、中国政府が「有事だ」と判断した場合、国外にいる中国人にも国防義務が生じ、諜報活動や破壊活動などを行うことを命じることができるのです。

この法律が2010年に施行された際、「中国人のほとんどは中国共産党を信じておらず、また、個人主義・家族主義が強い一方で、国家への忠誠心は薄いため、さすがに海外にいたら、命令には従わないだろう」という意見もありました。当時は中国人の海外移住もさかんで、共産党幹部も不正蓄財とともに妻子を海外移住させるケースも多く、多くの中国人が海外逃避していたという背景もありました。

現在も海外逃避の夢はあるものの、新型コロナで海外渡航が制限されていることもあり、中国にいる親族を呼び寄せることも出来ずに人質に取られていては、中国共産党に従わざるをえなくなることも多くなっています。

また、昨年の国家安全維持法の施行以来、イギリスは香港返還前に生まれ、英国海外市民(BNO)旅券を持つ香港人のイギリスへの移民受け入れを表明していますが、これに対して中国はBNOを旅券として認めない方針を打ち出し、これを牽制しています。

香港市民対象の英国旅券「認めない」 中国が反発

本来であれば、「嫌なら出ていけ」ということで、中国共産党を批判する中国人、香港人は海外に出て行ってほしいはずなのですが、中国は海外に出して民主主義や言論の自由を礼賛したり、中国政府批判を行われることを恐れているわけです。

そのため、親族を人質に中国人スパイを送り込み、反体制派中国人を取り締まるとともに、他国の政治にも介入しようとしているということなのです。

旧ソ連は、海外逃亡した政敵に対し、スパイを送り込んで暗殺しました。トロツキーもメキシコで暗殺されています。また、現在のロシアも、反プーチンの政敵やジャーナリストなどが暗殺されていることはよく知られています。

これらは個人を狙った暗殺ですが、中国は同様のことを海外にいる反体制派や民主派の中国人、香港人に対して行っているわけです。反体制的な言論を行えば、中国人留学生から暴力を振るわれ、脅迫を受ける。中国にいる親族も当局に連行される。そうした恐怖から、香港系移民も中国系移民も、あるいは留学生たちも、言動を制限されているというのが現状なのです。

中国と台湾の真実を最もよく知る黄文雄先生のメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

2008年の北京オリンピックでは、聖火リレーの際に世界各地で中国のチベット弾圧への抗議活動が行われましたが、日本では聖火ランナーが走る際、中国人留学生や在日中国人が大挙して大きな中国国旗を振りながら、中国の人権弾圧に抗議するチベット人たちに暴力をふるうという事件が起こっています。一部報道では、チベット人やチベット支援者が中国人に暴力を振るったかのような報じ方でしたが、その逆です。チベット人らを大きな中国旗で取り囲み、周りから見えないようにして暴力をふるっていたのです。写真を見れば、衆寡敵せずで、大量の中国人が動員されていたことは一目瞭然です。

長野聖火リレーで妨害行為

2022年の冬季北京オリンピックの聖火リレーでも、世界各地で、今度はウイグル弾圧に対する抗議が起こるでしょう。2008年同様、中国政府は中国人を大量動員して、ウイグル人や人権団体への暴力や脅迫を加速してくるはずです。

オーストラリアでの中国人による中国人・香港人監視は、日本でもすでに行われている可能性があります。誰が反体制派かを探り、脅すことで、冬季北京オリンピックへの反対論や抗議デモを封じる狙いもあると思われます。

いずれにせよ、中国共産党による中国人への監視強化は、決して中国国内のみの問題ではなく、他国の民主主義や学問・言論の自由にとっても、非常に大きな問題なのです。

中国と台湾の真実を最もよく知る黄文雄先生のメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 


 


最新刊
バイデン政権がもたらす新たな米中危機 激震する世界と日本の行方
好評発売中!


image by: Claudine Van Massenhove / Shutterstock.com

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年6月30日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込660円)。

こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー

初月無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。

2021年6月配信分

2021年6月のバックナンバーを購入する

2021年5月配信分

2021年5月のバックナンバーを購入する

2021年4月配信分

2021年4月のバックナンバーを購入する

2021年3月配信分

2021年3月のバックナンバーを購入する

2021年2月配信分

2021年2月のバックナンバーを購入する

2021年1月配信分

2021年1月のバックナンバーを購入する

2020年12月配信分

2020年12月のバックナンバーを購入する

2020年11月配信分

2020年11月のバックナンバーを購入する

2020年10月配信分

2020年10月のバックナンバーを購入する

2020年9月配信分

2020年9月のバックナンバーを購入する

2020年8月配信分

2020年8月のバックナンバーを購入する

2020年7月配信分

2020年7月のバックナンバーを購入する

2020年6月配信分

2020年6月のバックナンバーを購入する

2020年5月配信分

2020年5月のバックナンバーを購入する

2020年4月配信分

2020年4月のバックナンバーを購入する

2020年3月配信分

2020年3月のバックナンバーを購入する

2020年2月配信分

2020年2月のバックナンバーを購入する

2020年1月配信分

2020年1月のバックナンバーを購入する

黄文雄この著者の記事一覧

台湾出身の評論家・黄文雄が、歪められた日本の歴史を正し、中国・韓国・台湾などアジアの最新情報を解説。歴史を見る目が変われば、いま日本周辺で何が起きているかがわかる!

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」 』

【著者】 黄文雄 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け