緊急事態宣言下に無観客で行われるという異例尽くしの東京五輪ですが、今大会から採択された「新しいルール」をご存知でしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、「無観客開催」以上に世界が注目しているという新ルールを紹介。さらに海外の選手たちから「最悪な五輪だった」と言われないため心がけるべきことについて、自身の見解を記しています。
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無観客オリンピックの海外報道、最悪と言われないために
東京オリンピック、首都圏での無観客開催が決まりました。
海外ではどう報道されているのでしょう?
香港の英字新聞、サウスチャイナモーニングポストでもオーストラリアのテニス選手が無観客を理由に出場を辞退した事や、他の選手たちの落胆を伝えています。
しかしながらこの問題、非常に大きく扱われているわけではありません。開催も危ぶまれた状況でしたから、無観客はそれほど驚く事ではないのでしょう。
海外のインテリからは、それ以上に注目されている問題があります。
それは東京オリンピックにおける政治的主張の許容度です。
今までオリンピックでは政治的主張をしてはならないというのが国際オリンピック委員会の方針でした。
しかしながら東京オリンピックから新しいルールが採択されました。
それによって政治スローガンがはいったTシャツを着たり、手袋をつけた拳をあげたり、膝をつくといった行為を競技前や紹介中にすることは許されるようになりました(表彰台、競技中、選手村、開会式、閉会式では禁止されています)。
昨年、大阪なおみ選手が黒いマスクをして全米オープンに出場した事でもわかるようにスポーツ選手も政治的な発信をする傾向が増大しています。それに国際オリンピック委員会も配慮したのです。
この問題について7月9日のニューヨークタイムズ紙は、政治弾圧に反対する意味の腕を交差するジェスチャーでゴールしたエチオピアのマラソン選手や、表彰台で差別に反対の拳をあげた米国黒人女性選手らを紹介しています。
また米国オリンピック委員会と国際オリンピック委員会との対立も紹介しています。米国オリンピック委員会の方が、選手の政治アピ─ルに許容的なのです。
選手は選手である前に1人の人間であり発言の自由がある、という主張です。2028年夏の米国オリンピックに向けて「国際オリンピック委員会はもっと表現の自由を重視すべきだ」とも言っています。
来年、2022年2月の北京オリンピックも控えており中国も敏感になっています。
東京オリンピックでは、選手が政治メッセ─ジをどのように発信するのか、国際オリンピック委員会がどう処分するのか、日本人はどう反応するかなどが、世界中が注目している事なのです。
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「最悪のオリンピックだった」と言われないために
関連して心配があります。
こういった政治的な情報発信のルールが周知されると、かえって発信したくなるものです。まして今回の選手はSNSをする時間も十分にあるでしょう。
現在、日本では安全・安心を第一義としていますが、過度な事なかれ主義で選手の行動を制限するとSNSで世界中に「東京オリンピックの運営は最悪だ」と発信されかねません。
一般日本人に許されているのにもかかわらず、選手に許されてない行為があったりしたら当然に怒るでしょう。
各国からの選手は、オリンピック後、自国で日本での経験を何度もインタビューされるでしょう。つまり日本にとっては友好大使のような存在なのです。
日本の安全も大事ですが、一生をかけて頑張ってきたオリンピック選手が「楽しい経験であった。日本のファンになった」と感じてもらうのも非常に大事だと考えます。
(メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 7月11日号より一部抜粋)
社会の分断化を推し進める「バランスを欠いた報道」を見極めるために
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image by: Peace H. Okumura / Shutterstock.com