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日本卓球界初の五輪金メダル獲得を可能にした4つの育成プログラムとは

7月26日、水谷隼・伊藤美誠両選手の混合ダブルス優勝が、日本卓球界に初めてもたらした五輪の金メダル。その裏には、長きに渡る不断の努力があったと言います。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、日本卓球協会副会長の前原正浩氏が、日本ラグビーフットボール協会専務理事の岩渕健輔氏との対談の中で語った、選手育成プログラムの内容を紹介。実技と講義で徹底的に選手たちへと伝えた「4つのプログラム」が明らかにされています。

日本卓球「史上初」の金メダル 快挙を支えた8つの秘訣

日本中が沸いた──。7月26日、東京体育館で行われた東京五輪卓球混合ダブルスの決勝で、水谷隼・伊藤美誠両選手が中国ペアを下し、日本卓球史上初の金メダルを勝ち取りました。

これまで王者・中国に阻まれ続けてきた悲願の世界一。いま新たに打ち立てられた金字塔の陰には、20年以上に及ぶ地道な競技普及、選手強化の努力の積み重ねがありました。その立役者の一人、日本卓球協会副会長の前原正浩さんに、金メダル獲得への道のりと、世界で勝つ選手・チームの条件を語っていただきました。


前原 「……まず何をやったかというと、2001年10月に小学生の日本代表であるホープスナショナルチームを当時の監督・宮崎義仁さんと一緒になって結成しました。

あと、競技者育成委員会を設置し、2002年から年に1回、2泊3日の研修合宿を実施。これは小学生対象の全日本選手権でベスト16に入った選手と、その手前で負けたけれどもすごくパワーがあるとかすごくスピードがあるとか、キラリと光る才能を持つ将来性のある選手を数名加え、男女約20名ずつを選抜して行います。

そして、小学生の選手だけを集めて合宿しても効果が薄いので、やっぱり指導者を変えないと選手を育てることはできない。普段、選手の身近にいる大人にもそこで勉強してもらう必要があると思ったので、指導者もしくは保護者がペアになって参加することを必須にしたんです」

岩渕 「そこが特筆すべきところですよね」

前原 「先ほども話に出たように、いかに初期設定が大事かということです。

僕も現役時代、世界で戦いましたけど、構造からして欠陥車なんですよ。フォアハンドは攻撃的な半面、バックハンドが弱い。だから、中国のトップ選手と戦ったら、弱点を突かれてもう白旗を掲げるしかありません。

そういう意味で、小学生の男女約20名ずつのトップ選手を集めて何を教えたかというと、第一に『技術』、世界に通用するプレースタイルを叩き込む。

第二に『フィジカル』、発育発達の段階に合わせてどういう身体トレーニングをすればよいかを学ぶ。

第三に『メンタル』、都合が悪くなった時にすぐキレるのではなく、その状況を耐え忍び、平常心を保つ心を育む。

第四に『栄養指導』、好きな食べ物だけを偏食する子供が多い中で、アスリートとして栄養補給の観点からバランスのよい食事を取る。

これら四つのプログラムに関してそれぞれ専門の方を講師に招き、朝9時から夜9時まで実技と講義を徹底的に伝えました」

前原 「他にも小中高大それぞれの全国大会で行われる監督会議に出向き、映像を駆使して世界の技術や傾向などを伝達する講習を行ったり、2003年からJOCの助成金を活用し、有望選手を海外に留学させたり。

加えて、2008年に東京都北区にナショナルトレーニングセンターが完成したと同時に、有望選手をその近隣に住まわせて才能を伸ばすJOCエリートアカデミーを始動させるなど、様々な改革を実施しました。

その中で頭角を現してきたのが、卓球日本勢で五輪初の個人メダリスト(リオ五輪銅メダル)に輝いた水谷隼(じゅん)選手をはじめ、いま日本代表で活躍している選手たちです」

(※ 本記事は月刊『致知』2020年6月号 特集「鞠躬尽力(きっきゅうじんりょく)」の対談“世界で勝つ選手やチームをいかに創り上げるか”より一部を抜粋・編集したものです)


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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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