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東京五輪“強行”の代償。国民の血税で尻ぬぐい開催費4兆円と箱モノ大赤字の連帯責任

開催前から賛否が渦巻いていたにも関わらず、いざ始まってみれば日本のメダルラッシュで大いに盛り上がった「東京五輪」ですが、夢から覚めたあとの現実は甘くないようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、「東京オリンピックによって生じた莫大な借金」という恐ろしいニュースをその金額などの数字とともに紹介。そして、開催都市の東京都民のみならず、日本国民の血税を使わなければ払いきれない4兆円もの開催経費をはじめ、残された無用の箱モノ維持費のエンドレス大赤字を背負わされる「罰ゲーム」のような状況について怒りをあらわにしています。

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東京五輪のビフォーアフター

ようやく東京オリンピックも終わり、残すところパラリンピックだけとなりましたが、早くも嫌なニュースが飛び込んで来ました。それは、今回の東京五輪によって生じる莫大な借金についてです。五輪によって生じた赤字は、基本的には開催都市の負担になりますので、今回の場合は東京都民が税金という形で返済させられます。しかし、今回の赤字は、世界の五輪史上でも前例がないほどの莫大な金額になるため、東京都だけでは負担しきれず、全国民に負担させるという方向で話が進んでいます。

今回の東京五輪の開催経費は、昨年末の政府の試算によると、総額1兆6440億円です。「コンパクトな五輪を目指す」と言っていた、2013年当初の予算7300億円の2倍以上に膨れ上がっています。しかし、これは政府が国民に真実を知らせないために矮小化させた捏造データの数字であって、実際には、こんなものではありません。

たとえば、この開催経費とは別会計の「五輪関連経費」というものがあります。ザックリ言えば、五輪関係者たちが五輪にかこつけて自由に使えるお小遣いのようなユルユルの財布です。もちろん、こちらもすべて、あたしたち都民や国民が負担させられるのですが、こちらの会計を見てみると、東京都と政府は2013年から2018年の6年間に、約1兆600億円も使いまくっているのです。

その上、最新の会計を見てみると「暑さ対策」などの名目で7349億円が追加で策定されているのです。これだけで約1兆8000億円の上乗せです。政府試算の1兆6440億円にプラスすると、軽く3兆4000億円を超えてしまうのです。

さらには、全競技が無観客試合となったことで水泡に帰してしまったチケット収益、捕らぬ狸の900億円がありますが、これも公表された900億円という数字は、国民に真実を知らせないための矮小化させた数字なのです。この900億円という数字は、あくまでも返金しなくてはならないチケット代の額面上の合計額であって、ここには返金作業に掛かる膨大な事務費用や振込費用などは含まれていません。これらの実費をすべて試算すると、総額は900億円の2倍近くになると見られています。

しかし、そもそもが先に受け取っていたチケット代をそのまま返すだけなのですから、新たに発生する負担額は返金作業に掛かる費用のみ‥‥と思いますよね? 普通は。でも、こうした常識が通用するのは、会計がキチンとしている民間企業だけなのです。最大限に目の粗いザル会計でお馴染みの公益財団法人、東京五輪組織委員会に、世の中の常識は通用しません。

組織委員会は、チケット販売を始めてからというもの、全国各地から振り込まれるチケット代を、入金されるそばから使いまくっていたため、口座の残金はゼロ。すでに使い切ってしまっているのです。そのため、あたしたち納税者は、返金作業に掛かる費用だけでなく、返金すべきチケット代の原資である900億円までも負担させられるのです。

その上、組織委員会は、都内40カ所以上の会場すべてで、連日、観客が満席になったと想定して飲食物や専門スタッフなど様々な契約をしていたため、全競技が無観客になったことで、それらに対する補償も生じてしまいました。こちらは、個々の契約条項が分からないので具体的な試算はできませんが、やはり相当な金額になると予想されています。

これらをすべて計算すると、今回の東京五輪に掛かった総予算は、驚くことに4兆円前後となるのです。これは、過去最高額だった2008年の北京大会の約3兆4000億円を軽く超えてしまう歴代ワースト1位、見事な金メダルです。この4兆円の大半は赤字による借金ですから、あたしたち納税者が、これから何十年も掛けて返済して行かなくてはなりません。そして、あたしのような東京都民には、さらなる罰ゲームが待っているのです。そう、都内に林立させてしまった箱モノという無用の長物が生み出す「エンドレス赤字」の尻ぬぐいです。

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あたしが生まれた1972年に開催された札幌オリンピックは、開催経費が約2000億円でしたが、札幌市民は2017年まで45年間も、五輪による赤字の穴埋めのために課税され続けました。それは、ジャンプ台やボブスレー競技場など、五輪後に単独で黒字運営することが不可能な施設を林立させたからです。1998年に開催された長野オリンピックも同様です。約1000億円の借金を長野市民が21年間も掛けて返済し続け、ようやく2019年に財政が健全化しましたが、赤字の果てに休業したまま廃墟化している施設など、問題は山積しています。

今回の東京五輪の場合は、あの愚かさの象徴のような「新国立競技場」を筆頭に、江東区青海の「海の森水上競技場」など、少なくとも5カ所以上の大型施設が、計画段階から五輪後の赤字を指摘されていました。しかし、これは新型コロナ前の試算です。終わりの見えない新型コロナ禍の現状では、何とか黒字運営できると見られていた施設も、その大半が赤字を余儀なくされ、そのすべてが東京都民の負担となるのです。

今回の東京五輪の赤字の総額が一体どれくらいになるのか? それを都と国とでどのように負担し合うのか? それはまだ分かりませんが、都民であり国民でもあるあたしの場合は、どんな比率になろうとも、どうせ両方とも負担させられるのですから同じことです。その上、バカバカしい箱モノが生み出す「エンドレス赤字」の尻ぬぐいまでさせられるのですから、もはや新型コロナ以上の頭痛の種、それが、あたしにとっての東京五輪なのです。

(『きっこのメルマガ』2021年8月11日号より一部抜粋・文中敬称略)

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