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現役税理士が警告。「M&Aマッチングサイト」で初心者がハマる“落とし穴”

今やM&Aもネットのマッチングサイトからスタートすることが可能になりましたが、初心者といえども知っておくべきこと、注意を要する点は厳然とあるようです。今回の無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』では著者で現役税理士の今村仁さんが、そんな重要ポイントを専門家の目線でレクチャー。「売り手側に立った当然の礼儀」が必要と説いています。

マッチングサイト初心者の買い手がハマる「落とし穴」とは?

■ネット買い手あるある

「売り手に質問したが、音沙汰無し!」
「再度送れば、怒られる」

ネットのマッチングサイトを使ったスモールM&Aでは、登録者のうち、買い手が9割以上となっています。もしマッチングサイトに訪れている人をリアル化出来るとしたら、そこにいる人のほとんどが買い手であるということです。マッチングサイトを通じて私たち専門家に送られてくる問い合わせも、そのほとんどが買い手からです。

更にその売り案件が人気のものであれば、ライバルの買い手候補は通常20社以上となります。そんな状況にも関わらず、「短文の質問事項を、スマホ片手に、お酒飲みながら夜中に書き込み」をして、返事がないのは、当然かもしれません。

「お金を出して買おうとしているのに、何で返事がないのかな?もしかしたら、書き込みを見落としているのかな?」と考えて、「至急返事下さい!!」なんて、買い手が更に書き込むとどうなるでしょうか。売り手や売り手アドバイザーの多くの反応は、更に「音沙汰無し」でしょうが、もし返事があるとしたら、それは怒りの滲み出た「結構です」の一言だったりします。

冒頭の「質問しても音沙汰無し」という状況にマッチングサイト初心者の買い手が陥ってしまうのは、そもそも「サイト利用者のほとんどが買い手であるという事実」を知らないからと、ネットであってもM&Aという会社の第三者承継である以上、「当然の礼儀が必要であるという真実」を知らないからだと思われます。

■ネットでもリアルと同じ、ファーストインプレッションは大事!

最近のマッチングサイトでは、スマホから、いつでも簡単にそして自由に、売り手へコンタクトがとれます。このこと自体は、ネットの特性でもあり素晴らしいことだと思います。しかし、買い手9割というライバルが多い状況であることを考えると、「是非と思う案件ほどファーストコンタクト=最初の書き込み」は、慎重にされたほうがいいでしょう。リアルと同じでネットでも、ファーストインプレッション=最初の印象は、最後まで良きにつけ悪しきにつけ、引きずります。

短文の質問事項で、誤字もあり、自分の欲求解消だけを目的としたような書き込みを、最初に売り手やそのアドバイザーが見て、どのように感じるでしょうか。他の丁寧な売り手の事情も考慮されているような書き込みをされている買い手さんと比べて、売り手やそのアドバイザーはどう思うでしょうか。

もしこのような状況で前に進んだとしても、最初に上記のようなネガティブな印象を売り手が受けた場合に、その後、トップ面談や財務調査などお互い顔を合わすときに、スムーズにいくでしょうか。更にもしですが、売り手が我慢したままM&Aが成約となった場合、買い手は売買対価を支払った後にある売り手からの引継ぎ業務において、ノウハウの開示や承継、前向きな取引先の紹介などをしてもらう事が出来るでしょうか。

売り手やそのアドバイザーは、買い手が思っている以上に、「必死」です。アドバイザーのことはまた後日述べますので、ここでは売り手に絞りたいと思いますが、売り手にとってM&Aとは、手塩にかけてきた自分の子供のような会社や事業を、見ず知らずの第三者に譲り渡すということです。

そこには、長年苦楽を共にしてきた従業員もいれば、大切な取引先もいます。

買い手も同じ経営者である以上いつかは売り手側に回る可能性もあるのですから、当たり前に「売り手側に立った当然の礼儀」が必要です。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 マネーコンシェルジュ税理士法人 【発行周期】 週刊

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