世界各国に対して恫喝的な外交を展開する中国ですが、新たな手段が加わったようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、アメリカ副大統領の訪問を直前に控えたベトナムで、マイクロ波攻撃に起因するとされる「ハバナ症候群」の症例が確認されたことを伝える記事を紹介。その首謀者が中国であることをさまざまな証拠を挙げつつ指摘するとともに、自国に有利な状況を作るためならば手段を選ばぬ国との友好関係などありえないと記しています。
※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年8月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
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中国が外交でマイクロ波兵器を利用した疑い
● 米副大統領のベトナム訪問に遅れ、ハノイで「原因不明の健康事案」
現在、アメリカのカマラ・ハリス副大統領が東南アジアを歴訪中ですが、ベトナム国内でアメリカの当局者や親族などが「ハバナ症候群」に見舞われたということで、ベトナム訪問に向けた出発が3時間遅れるということがありました。
「ハバナ症候群」とは、マイクロ波攻撃が原因だと疑われている、原因不明のめまいや吐き気、偏頭痛などの症状のことです。2016~2017年にキューバのハバナでアメリカやカナダの外交官がこのような症状に見舞われたことで、マイクロ波攻撃による可能性が高いとされたものです。
ニュースによれば、ハリス副大統領の到着が遅れたあいだに、ベトナムのファム・ミン・チン首相は事前に公表されてなかった中国の大使と会談を行い、「ベトナムは特定の国と強調して大国に対抗することはない」と述べたということです。
確たる証拠はありませんが、このタイミングでの「ハバナ症候群」ですので、当然、アメリカは中国によるマイクロ波攻撃を疑っています。
2018年には中国の広州にあるアメリカ総領事館でも、職員が同様の症状を訴えたことで、マイクロ波攻撃が疑われています。
● 米外交官らがキューバで体調不良、マイクロ波攻撃の可能性=米報告書
また、つい最近ではオーストリアのウィーンに駐在するアメリカの外交官や情報機関当局者20人ほどが、ハバナ症候群と同様の原因不明の症状を報告していることが明らかになっています。
これらハバナ症候群を引き起こすマイクロ波攻撃ですが、ロシアや中国の関与が囁かれてきました。特に中国については、昨年6月に起きたインドとの国境紛争においてマイクロ波を使用した疑いが持たれています。
これは、中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長が、マイクロ波兵器によってインド軍を撤退させたと講演で話したことで明らかになったことです。金教授は、「山の下からマイクロ波を放つと、山頂は電子レンジと化した。山頂にいたインド軍は15分で嘔吐し、立てなくなって逃げ出した」と述べたそうです。もっとも、インド軍はこれを否定しているようですが。
マイクロ波兵器は、指向性エネルギー兵器とも呼ばれています。高出力のビームや高周波の音響を出すことで、目標物を破壊、機能停止させるものです。中国ではすでに国内の不満分子鎮圧にも使用されていると言われています。
中国は2015年7月に開催された国防科技工業軍民融合発展成果展において、「WB-I型テロ防止・阻止システム」というマイクロ波を照射できる兵器を展示していました。有効距離は80メートルで、出力を上げれば最大1キロ先の相手に使用することができるとされていました。
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アメリカの人口問題研究所所長で、中国での研究中に当局に逮捕、国外退去処分になったことがあるスティーブン・W・モッシャーは、著書『中国はこれほど戦争を好む』(成甲書房)で、次のように書いています。
中国工作員が盗み出した軍事技術や装置を並べてみると、人民解放軍の求めているものが明らかになる。
ミサイルMIRV化技術や、指揮管制システムに欠かせない暗号化技術の他に、高周波兵器、レーダー衛生、ミサイルや軍用機の誘導技術、電磁パルス(EMP)兵器技術、ミサイル設計情報などが含まれている。
盗み出した情報によって、中国での研究に必要な時間が延べ1,000万時間短縮されたとの推計もある。アメリカの科学者が50年かけて研究し、作り上げたものを、中国はたった10年で盗み出し、コピーしてしまったのだ。
よく知られているように、中国は「超限戦」を展開しています。「超限戦」とは、1999年に人民解放軍大佐の喬良と王湘穂が発表した戦略論で、戦争を従来の戦場のみならず、外交、テロ、スパイ、金融、ネットワーク、法律、メディアなど、あらゆる場所、空間、手段で行うというものです。
戦争と非戦争の境界がなくなるため、いついかなる場合でも相手国への攻撃を行うと同時に、軍人と非軍人の境界線もなくなるため、この戦略において一般の中国人も戦闘員となるのです。
そして、中国はこの「超限戦」に沿って、戦略を展開しています。フェイクニュースで世論操作を行うためのサイバー部隊「五毛党」「網軍」を組織し、2010年からは国防動員法を施行して有事には在外中国人もスパイや戦闘員として動員・徴用の対象となることが決められました。
あらゆる手段を使って破壊工作や攻撃を行うことを厭わないため、自分たちの有利な状況を作るためにマイクロ波兵器を使用した可能性は高いでしょう。
このように、中国は非常に厄介な戦略を展開しています。だからアメリカはファーウェイをはじめとする中国企業のみならず、中国からの留学生も制限しようとしたわけです。誰がいつアメリカに牙をむくか分からないからです。
民主主義国は人権を大切にしますから、このように中国企業や中国人を排除しようとすると、「人権侵害だ」「対立を煽ろうとしている」などという批判が出てきます。これも中国が仕掛ける世論戦のひとつです。
とくに日本では、その傾向が顕著です。しかし中国が国防動員法を施行しているのは事実ですし、香港やウイグルで人権と自由が奪われているのも事実です。そして尖閣への領海侵犯も日常化しており、領海侵犯の回数はすでに8月の段階で、昨年を超えています。そのことを考えれば、日中友好など絵空事でしかありません。
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