先日掲載の「かならず相手に見抜かれる。他人の話を聞いている時に注意すべきこと」では、「アクティブリスニング」の基本的手法とNG行為についてレクチャーしてくださった、アメリカに本社を置く世界的なコンサルティング会社で14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さん。赤羽さんは今回、自身のメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』で、正しいアクティブリスニングがもたらすメリットを挙げるとともに、その具体例を紹介しています。
【関連】かならず相手に見抜かれる。他人の話を聞いている時に注意すべきこと
※本記事は有料メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』2021年8月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
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赤羽雄二の視点:真剣に話を聞いて深く信頼される、アクティブリスニングのすすめ(その2)
(前回の後半からです)コミュニケーションの原点に立ち返って、一方的なおしゃべりではなく、いま目の前にいる相手の話をどう丁寧に聞くか、どう深く理解するか、その結果をどう発展させていくか、という観点から取り組んでいくことが大切ですし、大きな課題でもあります。私も含めて、ほとんどの方は大きな改善余地があると思います。
「部下が話をしてくれない」「部下が言われたことしかしない」と悩んでいる上司、「子どもが話をしてくれない」「子どもがやる気をまったく見せない」と気にしている親は珍しくありません。実際にはほとんど全員に共通する悩みと言ってもいいくらいで、よく相談も受けます。
ただ、横から拝見していると、部下や子どもに本当の意味での関心を持たず、話を全部聞くつもりがまったくなく、こちらから言いたいことだけを言っているように見えます。そういう状況では、部下も子どもも本気で話す気になどなりません。
私は支援先の多くの方にアクティブリスニングの重要さを伝え、毎日取り組んだ結果に対して、助言しています。大きな成果が続々と生まれているいっぽうで、何人かの方は「わかっていても集中して話を聞けない」「ついあれこれ言ってしまう」点がなかなか改善されないようです。私から見ると本気でやろうと思っているのかかなり疑問ですが、本人はいたって真面目なようです。同じような失敗をしないよう、ご注意ください。
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聞くことで問題の本質がわかる
アクティブリスニングに慣れていくと、問題の本質がすぐ見えるようになります。問題の本質とは、起きている問題が本当はどういうことで、どういう原因から起きているか、どれほどの障害があるのか、ということです。
問題の本質が見えない人というのは、表面的な問題にとらわれています。何が大事で何は大事でないか、普段からあまり考えなかったり、知識が不足したりしていると、判断がうまくできません。新入社員ならしかたがないといえるかもしれませんが、こうした力は社会に出て数年以内には身につけておかないとまずいことになります。
アクティブリスニングを習慣化すれば、真剣に、徹底的に聞くことで相手が心を開いて本音を話してくれるようになり、それに対する適切な質問によってさらに深掘りできるので、話を聞いているうちに問題の本質が見えるようになります。書類をいくら見てもわからない、あるいは見つけづらいことがアクティブリスニングによってかなり短時間のうちに見つかるようになっていきます。どういうとき、どういう質問をどういう順序でするのがいいのかまで自然に頭に浮かび、行動できるようになります。
真剣に聞くことで、状況を理解できるだけではなく、問題の本質までわかるようになることがアクティブリスニングの素晴らしい点です。
たとえば、「ZOOM会議が長くダラダラしている」という不満に対して話を聞き、よくわからなかった点は深掘りし確認してみたら、少なくとも会議リーダーの問題ではなかったということがわかった。そもそも会社のマーケティング基本方針が定まっていなかったし、さらに、テレビ広告を使うのかWEB広告を使うのか、予算や展開の順番をどうするのかなどの方針に矛盾があった。その根本原因に、社長の古くからの友人が広告代理店として妙な形で入り込んでいた、といったことがわかる場合もあります。
問題を表面的にしか見ていなければ、対処への答えを間違えますが(先ほどの例だと、「会議リーダーを交代させれば解決するにちがいない」「会議への参加メンバーをもっと増やせば、スムーズに議論できるにちがいない」など)、問題の本質を理解すれば、社長の古くからの友人の広告代理店との取り引きを見直す必要があることがわかります。
どんどん質問することで、表面上の問題から深掘りし、問題の本質を見抜くところまで進んでいくことができます。可能であれば対面のほうが望ましいですが、ZOOMミーティングでもそれほど問題なくできます。
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問題の本質がわかれば答えもわかる
アクティブリスニングは、あくまで「聞くスキル」「少しだけ丁寧な聞き方」と思っておられる方も多いかもしれません。私も最初はそう思っていました。ところが、自分でアクティブリスニングを繰り返すうちに、決してそうではないことに気づきました。問題の本質が見えるだけではなく、どうすべきかが自然に浮かぶようになったからです。
話を聞き、次々に質問し、答えていただくなかで問題の本質が浮かび上がってきますが、それとほぼ同時に、「そうか、なるほど。そういうことだったのか。それだったらこうすればいいのでは?」ということが一瞬のうちに見えるようになります。問題の本質を見抜けると、何が問題で、それがどのように悪さをしているかが手にとるようにわかります。「あるべきものがない」「すべきことが邪魔されている」などがわかるので、「であれば、こうすれば解決できるのではないか」ということが見えてくる、という状況です。
話をした結果、問題の本質がわかれば、多くの場合は答えも浮かび上がってきます。人間の能力は高いので、問題を正しく認識すると、「それではどうすべきか」という答えが頭に浮かぶからです。
たとえば、「仕事が多すぎてどうにも回らない、ミスも増えた」と嘆く、管理職をやっている友人の話を聞いていると、問題の本質は仕事が多すぎることではなく、部下に適切な指示を出していないために二度手間、三度手間が発生していること、遂行上の助言もしていないことなどがわかります。
そこまでわかれば、指示はタスクシートなどの書面で伝えることでミスが一気に減ること、手戻りがなくなるので時間が浮いて、前向きな助言やコーチングもできるようになることが見えてきます。
また、「他部署との連携がうまくできない」と悩んでいる後輩の話を聞くことで、問題の本質は連携上のコミュニケーション不足ではなく、各部署の役割の重複にあること、そのためにどのように気をつかっても毎回衝突や干渉が起きることがわかりました。そこまでわかれば、他部署とのコミュニケーションを改善する以前の問題として、本部長を巻き込んで、一部の役割の見直しを行うことで、部署間の役割分担を整理し、連携もできそうなことが見えてくるのです。
(メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』2021年8月30日号より一部抜粋。全文はメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』を購読するとお読みいただけます)
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- 2021年7月26日号『良い習慣を継続し、悪い習慣をやめるにはどうすればいいでしょうか』(7/26)
- 2021年7月19日号「どうしても部下の話を最後まで聞けず、さえぎってしまいます」(7/19)
- 2021年7月12日号「このままだとじり貧なので、副業を始めて独立したいのですが」(7/12)
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