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時代は「6G」へ。KDDIがイーロン・マスクのスペースXと提携する理由

9月13日、イーロン・マスク氏がCEOを務める宇宙開発事業会社「スペースX」との業務提携を正式発表したKDDI。同社はマスク氏と手を組むことでどのようなサービスを提供することが可能となり、そして我々消費者はいかなる恩恵を被ることができるのでしょうか。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、KDDIを含む大手キャリアが進める「空からの通信」の現状とその先について解説しています。

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KDDIが6G時代に向けてスペースXと提携へ――ASTの低軌道衛星とスマホの直接通信は実現するのか

6G時代に向けて「空」が面白くなってきた。

9月10日、日本経済新聞がKDDIと米・スペースXが提携すると報じた。KDDIは「当社が発表したしたものではない」としているが、同社は9月13日に新サービス発表会を開催する予定であり、そのタイミングで発表、もしくは質疑応答で何かしらの発言があるだろう。

すでにソフトバンクがHAPSモバイルとして、空から通信の開発に熱心だ。NTTドコモもHAPSに取り組んでいる。楽天モバイルも米・AST Space Mobileとともにスペースモバイル計画を進めている。

一部では、今度発売されるiPhoneが「衛星通信に対応している」という噂があったが、最近になって否定報道が出始めた。

各社が衛星からの通信に取り組み、今後、実用化されることで「圏外がなくなる」と期待されるが、それぞれ仕組みが異なっている。そのあたりがあまり理解されていないようにも思う。

HAPSモバイルは上空20キロ程度の成層圏を、ソーラーパネルを積んだ飛行機がグルグルと旋回する。地上に向けて吹く電波は、スマートフォンが使っている既存周波数帯だ。HAPSモバイルでは、日本展開する際には3Gサービスで使っている周波数帯を転用しようと考えているようだ。

スマートフォン単体で電波が届く距離はHAPSモバイルによれば100キロ程度といわれている。HAPSモバイルはスマートフォンとすでに使っている周波数帯を用いて、直接、通信を行うものだ。

一方、スペースXは、上空340~1,150キロを飛ぶ衛星と通信を行う。地上ではパラボラアンテナが必要で、そこからWi-Fiを飛ばすなどして利用する。日本経済新聞の報道では、KDDIはスペースXのスターリンクにつながる地上基地局を設置し、周辺をエリア化するとしている。これにより、離島や山間部など、光ファイバー網で整備するにはコストがかかり過ぎ、採算性の悪い場所を圏内にしていくというわけだ。

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ちなみに、衛星とスマートフォンが直接、通信するには独自のアンテナが必要だ。実際、ソフトバンクなどが数年前に扱っていた衛星携帯電話などは衛星と通信する大きなアンテナが特徴だったりする。iPhoneが噂通り、衛星通信に対応するならば、独自の大きなアンテナをつけないことには難しいのではないか。

その点、楽天モバイルのスペースモバイル計画では、上空430マイルの低軌道衛星とスマートフォンは直接、通信を行い、しかも既存のスマートフォンでも通信ができるとしている。

まさにスペースモバイル計画は、従来の常識を遙かに超え、技術的に大きく進化することを意味する。YouTubeにはAST Space Mobileが、7月末にサービス内容についての解説する動画が上げている。

確かに実現すればすごいことだが、本当に計画通りに行くのか。目が離させない。

AST SpaceMobile Transforming How the World Connects

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image by: Thomas Dutour / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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