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お金の管理をすべて任せたのがアダに。ヤンチャな父の「暗証番号」騒動

個人が多くのIDとパスワードを保有する世の中になって、不慮の事故や突然の病気で大切な資産やデータにアクセスできずに困ったことになるという事態が頻発しています。家族を困らせてばかりの父親のヤンチャエピソードを紹介するメルマガ『ファンキー過ぎる家族がいてもマジメに生きてる娘の話』で、著者のミーミーさんが披露するのは、父親だけが知っている「暗証番号」問題が勃発したという時代を先取りしたようなお話。父親が入院している病室でのちょっと笑ってしまうやりとりを軽快に綴っています。

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父の「笑った!困った!驚いた!」エピソード:暗証番号

自営する店(スナック)のお金関係はすべて父が管理しておりました。意外と器用で字も丁寧。毎日ちょこちょこと計算してノートに記入。そして銀行に行く。フットワークも軽いため、そういうのが得意な人でした(しかし丼勘定で、しょっちゅう大変なことにはなっていましたが)。

父が入院している間、お店のお金の管理を母と弟がすることになり、さて、困りました。通帳の暗証番号がわからないのです。何冊か使途不明の通帳が出てきて、それが何のお金なのか、どうなっているのかもわからない。そこで母から、「(父に)通帳の暗証番号を聞き出してくれ」と頼まれました。

脳梗塞で倒れての入院で手が今までのように動かせなかったり、記憶がおぼろげになったり、そういうこともあったので、私としてもすぐに暗証番号を聞きだせるとは思っていなかったのですが、お見舞いに行って他愛のない話をしていると記憶もハッキリしてきて上機嫌。(今ならいける!)と思いました。

「あのね、パパ、暗証番号がわからない通帳があるのよ。○○銀行の○○支店のやつなんだけど。あれの暗証番号わかる?教えてくれない?」今まで笑っていたというのに、急に黙り込む父。「あとね、知らない通帳がいろいろ出てきたんだけど、あれは何の通帳なのかお母さんが聞いてる」父はタヌキ寝入りをしようとして白目をむいています。…教えたくないようです。

しかたない。話を変えよう。誕生日の話をしましょうか。今は安全面から考えてあまり暗証番号を誕生日にしたりすることは推奨されていませんが、誰かの誕生日や記念日が暗証番号になっている可能性大です。「ねぇ、ねぇ、パパの誕生日は…」「9月22日!!」今、白目になっていたのにいきなり目をカッと開けて自分の誕生日を言います。よしよし、良い感じだ。

「今年でいくつになったんだっけ?」「28!!!」大体、いつも父は年齢を聞かれると「28」と答えていたのでこれもOK!いつもの父です。「私の誕生日は?」「うーん…11月の…」どうにか正解。弟の誕生日も正解。孫の誕生日も。全部覚えております。しっかり答えられました。

その流れで「誰かの誕生日が暗証番号?」と聞くと、「おまえ!最近の銀行はな、詐欺とかあるからな、誕生日を暗証番号にせんようになっとるのよ!!アホやな!!」と普通に返してきます。アホ呼ばわりは酷いのですが、これは本当のようです。家族の誕生日が暗証番号に使われていないことはこちらも試して調べ済みです。「じゃあ、誕生日を使ってないんだったら、暗証番号は何番?」サラッと聞いてみます。黙る父。そして白目。

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わかった!病室で暗証番号を言うのはよくないと危機管理で黙っているのかもしれない!と、「じゃあ、ノートに番号書ける?」と、ペンを持たせると、さらさらっとへのへのもへじを描きました。「おお!それが描けるのすごいね!!次!暗証番号を書いてみよう!!」と言うと、ポンとペンを落とします。

私はイライラしてきました。「ねぇ、パパ、支払いはね、勝手に引き落とされてるとして…暗証番号がわからないと困るじゃない?スタッフの皆さんの給料日はどうする?そしてあの他の銀行の通帳は何なのよ?」「…知らん」父は面倒くさそうにして、テレビをつけようとします。怪しい。

テレビをつけたら、日曜の夕方だったので競馬番組をやっていました。競馬番組を見ながら、しばらくまた違うお話。すると父は安心したのか、昔の競走馬の思い出話や好きな競馬場の話。オッズがどうとか、払い戻しがどうとか、何番の馬が良いとか、かなり難しい数字に関することをペラペラ喋りはじめました。

今です。「ねぇ、パパ、暗証番号は?」…白目。「今、いくつだっけ?」「28!!」「暗証番号は?」「…おまえ、しつこいな」。気づけば同じ病室に入院している皆さんがしんとなって私たち親子の会話を聞いていました。私…親の銀行の暗証番号を無理矢理聞き出そうとするものすごく悪い娘みたいになってません?!

「ちょっと!!暗証番号がわからないと困るってわかるでしょ?!なんなのよ!!私、怪しい娘みたいになってるじゃない!!」小声で父に言います。父はクククと笑い、「暗証番号…」と私が言うと、また白目をむきました。

皆さん、人生何があるかわかりません。家族の銀行の暗証番号。大切なものは元気なうちに聞くなり調べるなりしておくことをおすすめします(結局、とうとう最後まで暗証番号はわかりませんでした)。

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image by:yu_photo / Shutterstock.com

ミーミーこの著者の記事一覧

主婦歴10年経ったところで「これからの10年は何をしよう?」とnoteを始める。その中で父について書いた「ジェット風船の行方」で【第2回たまごまる杯金賞】を受賞。その他には岸見一郎氏の『ほめるのをやめよう』についての書評を記事で【読書の秋コンテスト2020 日経BP賞】を受賞。2020年5月から毎日note開始。1年間、エッセイを中心に毎日note更新し、現在も執筆継続中。 1977年熊本市生まれ。大学卒業後、図書館司書として4年間、国語と特別支援の教員として6年間の計10年間、中学校に勤務。結婚を機に福岡市で専業主婦に。夫と息子の3人家族。好きなことがいっぱいです!!(野球と競馬と本が好き。最近は将棋や麻雀も夢中で見ています)

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【著者】 ミーミー 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第1金曜日・第2金曜日・第3金曜日・第4金曜日

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