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中国の不動産大手「恒大集団」30兆円破綻へ秒読み。焦る習近平の悲惨な末路

2008年に発生し、全世界の金融市場に「100年に一度」と言われる大打撃を与えたリーマンショックですが、またしても新たな金融危機の芽が膨らみつつあるようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国の不動産大手「恒大集団」が襲われている、「中国のリーマン・ショック」となりうる深刻な破綻危機を取り上げるとともに、現在多くの中国企業が危うい状態にあると指摘。さらにこの先習近平政権が取り得る政策を予測した上で、日本や欧米に対しては厳しい事態に巻き込まれることを防止するため、同国との関係の希薄化を進めるべきと記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年9月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【中国】30兆円規模の企業破綻が間近。国内統制強化を急ぐ習近平の危うさ

中国不動産大手が巨額負債、投資家ら殺到 破綻すれば経済リスク

中国・深センの不動産大手である恒大集団は、これまでの事業多角化や乱開発によって、資金繰りが逼迫、経営危機に陥っています。

同社はこれまで、不動産価格の上昇を背景に、リゾート開発などに強気の投資を続けてきました。その他、電気自動車やミネラルウォーターなど事業の多角化も進めてきましたが、資金繰りが苦しくなり、銀行融資の利払いや金融商品の償還への懸念から、債権や株式が売り込まれる事態になっています。

同社の有利子負債は2021年6月時点で5,700億元(約9兆7,000億円)とされていますが、グループ全体では3,053億ドル(約33兆円)の負債があると見られており、債務不履行の懸念が広がっています。

中国恒大の債務問題、同業他社の借り換えにも影響広がる見込み

33兆円といえば、日本の国家予算の約3割、エジプトやバングラデシュ一国のGDPにも匹敵します(2020年のエジプトのGDPは3,023億ドル、バングラデシュは3,025億ドル)。

つまり、恒大集団が潰れればエジプトが世界から消えてなくなるくらいの経済的インパクトがあるということです。

日本経済新聞によれば、9月9日時点で社債価格が暴落したことで、社債利回りは50~470%まで上昇しているとのこと。しかも、債権残高は266億ドル(約2兆9,000億円)のうち、外国人向けの米ドル建ては195億ドルと、約7割を占めていて、欧米への影響も少なくありません。

中国恒大、2兆円のドル建て債が国際金融市場揺らす

言うまでもなく、中国国内の経済に与える悪影響は甚大です。恒大集団は、中国東北部を中心とする地方銀行で総資産約17兆円である盛京銀行の筆頭株主だということです。恒大が破綻すれば、中国の金融システムを揺らがすことになります。

そのため、監督機関でもない中国銀行保険監督管理委員会が、恒大集団に経営指導するという事態にもなっています。

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ただ、中国政府は不動産市場への規制を強化しているため、恒大集団を救済しない可能性も噂されており、そうなれば、世界的にも大きな衝撃が走る恐れがあります。恒大集団の破綻は「中国のリーマン・ショック」になるとも言われています。

恒大集団の本社には、理財商品の償還を求める投資家が連日のように押しかけているとのことです。

このニュースは台湾でも毎日大きく報じられています。香港株式市場では、今年に入って恒大集団の株価が80%も下落しており、特に恒大汽車、恒大物業、中国恒大の3社の株価は、今年の最高値から昨日(9月14日)までに1.03兆香港ドル(約14兆5,000億円)が蒸発しているとこのことです。恒大集団は、各グループ会社の売却を進めているものの、負債額までにはまだかなり遠いと、悲観的なムードも漂っています。

中國恆大股價連續重挫 今年以來市値蒸發逾3.6兆

少し前から、中国では企業破綻が非常に増えてきていました。7月には、国有半導体大手の紫光集団が破産しました。

また、倒産した企業の不良債権を含む資産を取引する「特殊資産投資市場」での取引が急拡大しています。ジャーナリストの福島香織氏によれば、企業倒産急増で、2021年第2四半期の特殊資産取引指数は、前年同期比で12.8%上昇。そしてそうした資産を外国資本が買い叩いているとのことです。

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アメリカ発のリーマン・ショックや欧州金融危機の後には、中国企業が欧米企業を買い叩いて買収していきましたが、現在ではその逆が起こっているわけです。とはいえ、中国企業は中国共産党の支配下に置かれるため、いくら外資が買収しても、それほど旨味があるかどうかは疑問です。

いずれにせよ、中国企業はかなり危うい状態にあることは確かです。そして、だからこそ、習近平政権は言論統制や企業への締め付けを加速させているわけです。

しかも、習近平は8月17日の中央財経委員会で「共同富裕」なる言葉を掲げて、富裕層から貧困層への富の再配分を目指すことを表明しました。しかも、市場メカニズムによる一次配分、社会保障や税制などによる二次配分に加えて、富裕層による寄付による三次配分の重要性を強調したのです。

これにすぐさま応じたのがテンセント。農村振興や低所得者層への医療や教育支援に500億元(約8,500億円)を寄付しました。当局にたてついて取り調べを受けたり、巨額の罰金を払わされたジャック・マーやアリババの二の舞になりたくないと、習近平に忠誠を示したかたちです。

中国「金ぴか時代」の終わり、“共同富裕”に企業や富裕層が怯える理由

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かつて毛沢東は、国共内戦に勝利するために、地主階級を殺して土地を奪い、農民に与えて支持を獲得しました。これが、「農村から都市を包囲する」という戦略基盤となったわけです。

また、中華人民共和国の成立後も、地主階級を殺しまくりました。毛沢東は、反革命鎮圧運動(反鎮)と土地改革の名のもとに、「農村では人口の1,000分の1程度を反革命分子として殺さなくてはいけない、都市部では1,000分の1を超えて殺さなくてはならない」と命令したのです。

反革命分子として殺さなくてはならない数として「人口の1,000分の1」が目処とされたことについては、特に意味はなかったと思います。とにかくそのくらいの殺人ノルマを課して、人々に恐怖を与えて従わせろということだったのでしょう。

そう考えると、有名人や富裕層の吊し上げが、これから手当り次第行われていく可能性があります。経済的な衰退による人民の不満を、政治的に別のテーマにすり替えていくというわけです。富裕者への憎しみを煽り、悪いのは富裕層やセレブだと扇動するわけです。

先日のメルマガでは、趙薇(ヴィッキー・チャオ)の名前を出演作から消されるなど、習近平政権による芸能界に対する取り締まり強化について、「文革2.0」が始まったと述べましたが、習近平たちは単なる芸能界の公正さの是正だとしているものの、意図的に敵を作り出して攻撃対象にしていることは間違いありません。

【関連】毛沢東の文革時代に逆戻り。自ら進める変革で“ラストエンペラー”となる習近平

加えて中国はデジタル人民元によって、人民の経済活動を監視、統制しようとしています。そこまでしないと、政権としては不安なのでしょう。

いずれにせよ、これからの中国経済には厳しい試練がまちうけています。しかしそれだけに、中国では国内の統制と監視を強めると同時に、対外的には強硬姿勢を貫いていくはずです。日本も欧米も、中国とのつながりをさらに希薄化しておかないと、厳しい事態に巻き込まれる可能性があります。

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