近年、あらゆる面でとかく「自己評価」が低い状態が続いている日本ですが、他国からは我が国の国家戦略に対して高く評価する声も上がっているようです。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、日本の外交や民間企業の動きを取り上げたシンガポール紙の記事を紹介。「アジア各国は日本に学ぶことができる」とまとめているその内容を喜びを以って伝えています。
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日本の国家戦略を高く評価するシンガポール新聞
「日本には確たる国家戦略がない」
とよく言われます。
しかし海外から見るとどうでしょうか。
シンガポールの新聞、ストレートタイムズは11月4日「静かに動き出した日本」との題名で日本は戦略的に動いていると掲載しています。
まずは外交です。
最近、日本は目立たないながらも主導的な役割を果たすようになったと記しています。以下、抜粋編集します。
■QUAD日米豪印戦略対話
日本は安全保障をアメリカに依存するあまり、その外交政策は米国の付属品のように見られている。しかし最近注目されている日米豪印戦略対話(Quad)は、安倍首相が2007年にインド議会で行った演説で、太平洋とインド洋という2つの海の合流について語ったことがきっかけとなっている。
■ヘリコプター母艦
日本は今日、防衛費の増額を海外から求められている。3年前、ヘリコプター母艦「かが」を中心とした日本の艦隊がスリランカを往復したとき、東南アジアではほとんど波紋がなかった。今年10月3日には世界最先端の戦闘機であるF-35Bステルス・ジェット機2機がヘリ空母「いずも」の甲板から離着陸することに成功した。米国はさらなる役割を期待している。
■環太平洋パートナーシップ
トランプ大統領が就任早々、環太平洋パートナーシップ協定から離脱したにもかかわらず日本が率先してまとめた。またRCEP(地域包括的経済連携)の交渉にもしっかりと貢献している。
現在、中国も環太平洋パートナーシップ協定に加盟しようと日本に申請を邪魔しないように迫っている。岸田文雄新首相は中国の加盟に懐疑的な意見を述べているが、完全に否定しているわけではない。
■信頼あるデータ・フリー・フロー
2019年の世界経済フォーラムで安倍首相は「信頼あるデータ・フリー・フロー」の提案を口にした。
欧州連合(EU)の一般データ保護規則は、個人を特定できる情報のEU域外への流出を厳しく規制している。他の国々はこれをモデルとしているが、このような規制によって最も損失を被るのは企業であると米国は反発している。
「信頼あるデータ・フリー・フロー」の提案は、米国やEUなどの国々のアプローチとのギャップを埋め、国境を越えたデータの流れを促進するものである。
【解説】
最後の安倍首相が提案したという「信頼あるデータフリーフロー」については私もよく知らなかったのですが、「デジタル経済に関するルール作りについて、まずはWTOで電子商取引に関する交渉を進めることが先決だ」との趣旨で2019年G20大阪サミットで中国、欧州連合(EU)、米国、シンガポールを含む24の国が採択しました。
軍事面でQUAD、ヘリコプター空母なども大きな事だと思いますが、中国の脅威もありアジア各国からの強い反発がなく進んでいます。
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また記事は民間企業に動きにも以下のように記しています。
高度に発展した日本では、これ以上の経済成長の可能性は限られている。
一方、企業には現金があふれており、資本コストも安い。外へ外へと広がっていくしかない。
パンデミックの影響で1年間停滞していた日本の産業界が、再び海外に向けて動き出している。今年上半期の総取引額は、すでに4兆1,000億円に達したと言われており昨年とほぼ同額である。
今年発表された中で最大の買収は、日立が米国のソフトウェア開発会社グローバル・ロジックを1兆円以上で買収する計画だ。同社の重要なモノのインターネット・プラットフォームを進化させることを目的としている。
パナソニックは、米国のサプライチェーンマネジメントシステム開発会社ブルーヨンダーの買収を8,000億円で完了する予定である。これは過去10年間で最大の買収となる。
7月は三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、インドのクレジット会社の75%の株式を約2,200億円で購入すると発表した。日本の金融機関がインドのリテール金融への参入は初めてで大胆な行動といえる。
【解説】
確かに日本は各分野において戦略的主導権を握る立場を少しづつ構築していると言えます。
ストレートタイムズは以下のようにまとめています。
日本は目立たないようにしながらも、長期的な視野に立って意味のある効果的な動きをしている。
日本は、米国と戦略的に緊密な関係にありながらも、独自の特徴を持った道を切り開いている。
また中国と敵対しているわけでもない。
日本の考え方やアプローチには成熟した部分があり、アジアの他の国々は、新たな時代の中で、日本に学び、教訓とすることができるのではないでしょうか。
ちょっとうれしい言葉ですね。
(メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 11月7日号より一部抜粋)
社会の分断化を推し進める「バランスを欠いた報道」を見極めるために
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