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ソフトバンクとドコモは否定。基本料金ゼロ円競争は拡大するのか?

基本料金ゼロ円の先鞭をつけた楽天モバイルにauが「povo2.0」を投入し対抗。どちらもユーザーから受け入れられ、楽天は前期比倍近い契約者増、auは解約率が改善していると伝えられています。となると、気になるのはソフトバンクとドコモもゼロ円プランを打ち出すのかということ。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、2社のトップによるゼロ円プランを否定するコメントを紹介。その理由には理解を示しながらも、楽天とauへの転出がさらに増えればゼロ円競争の構図も変わるだろうと伝えています。

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ソフトバンクとNTTドコモは「ゼロ円プラン」に否定的──三木谷楽天会長「povo2.0の影響はない」

基本料金ゼロ円を巡る攻防が面白くなってきた。楽天モバイルが今年4月からスタートさせた基本料金ゼロ円から始まる新料金プラン。過去を振り返ってみるとauがケータイのころにやっていた「ダブル定額」に近いかもしれない。

当時、パケットを使いすぎて高額請求となる「パケ死」が問題視された中、auはCDMA 1X WINの開始とともに月額4200円の「EZフラット」という定額制を提供していたのだが、ユーザーの反響はイマイチであった。そこで、最初の値段を下げ、それ以上使っても定額内に収まる設計にしたことで、一気にユーザーが飛びついたのだった。 まさに楽天モバイルの新料金プランは「ダブル定額」の再来というわけだ。

楽天モバイルの基本料金ゼロ円に対して、真っ向勝負を挑んできたのはKDDIだ。当初、他社対抗としてUQモバイルを強化したものの、それでも基本料金がゼロ円から始まるプランを求めて、楽天モバイルに流れるユーザーがいたため、povo2.0で基本料金のゼロ円を投入。結果、解約率の改善につながった。

一方で、ソフトバンクとNTTドコモは基本料金ゼロ円には慎重な構えを見せる。ソフトバンクの宮川潤一社長は「ネットワークを維持するために24時間365日体制でネットワークの監視をしている社員がいるし、機械は必ず壊れるものだ。復旧のために現地に出向くこともある。こういう運用コストが賄えなくなるような料金プランまで踏み込むつもりはない。基本的なネットワーク維持コストについては、ユーザーに応分に負担していただき、あとは使用量に合わせた料金の違いがある形がベストだと思っている」とした。技術畑出身の宮川社長らしい考え方だ。

また、NTTドコモ・井伊基之社長は「ゼロ円から始めるプランは、いわゆる低容量、通話やデータの利用が少ない人には魅力的だろう。そうした低利用のお客様が楽天モバイルへ転出している事例もあると認識しているが、当社としてゼロ円プランをやるつもりはございません。MVNO様との座組が低容量・低料金の方にフィットする。ゼロ円競争に参画するつもりはございません」としたのだ。

NTTドコモでやらなくても、OCNモバイルONEあたりにゼロ円プランをやらせることで対抗するという策は残っているが、あくまでNTTドコモとしてはゼロ円プランは「やらない」という宣言をしたことになる。

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ただ、先日の通信障害を考えると、「iPhoneにeSIMをもう1キャリア契約しておく」という使い方も今後は検討していかざるを得なくなるだけに、世間的にゼロ円プランの需要が増す可能性もあるだろう。ソフトバンクもNTTドコモも、この段階で「やらない」と明言してしまうのは命取りになる気もするのだが。

ちなみに、povo2.0の影響を楽天モバイルに尋ねたところ、山田善久社長は「povo2.0の発表で、多少数字に影響は出ていると感じるが、大きく見ると、すごく大きな影響が出ている感じはしない」とコメント。それに続く形で三木谷会長も「前年同時期で比較すると倍くらいの契約数増。povo2.0については影響はないと考えている。MNP転入による新規ユーザーも多い」とした。

単にゼロ円に群がるユーザーを集めても意味はなく、いかに「ゼロ円から収入を上積みさせていくか」が課題ではあるが、楽天モバイルやpovoがNTTドコモやソフトバンクを脅かす状態になることで、ゼロ円競争の行方も変わっていくことだろう。

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image by:Ned Snowman / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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