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褒められ慣れてもいない「最近の若い世代」を育てる7つのステップ

自分としてはこれまで上司に育ててもらってきたように部下に接しているつもりなのだけれど、指導を受ける側から「厳しすぎる」と不満を持たれてしまい困惑しているというケース、こと最近よく耳にします。今回、iU情報経営イノベーション専門職大学教授を務める久米信行さんの元に届いたのも、そのような状況に陥っている管理職の男性からの相談。久米さんはメルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』で、そんな「イマドキのお悩み」に自身の体験を交えつつ、まさに親身になって回答しています。

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オトナの放課後相談室「命令&咎め口調を直したい」

今回のご相談も、昔だったら何の問題にもならなかったかもしれないイマドキのお悩みです。

Question

今年の春から会社で昇格して、部下を持つようになりました。

しかし、夏頃に上司に呼ばれて、「君の指示や注意の仕方がキツイという部員からの報告があったから少し言い方を考えて欲しい」といわれました。

詳しく聞くと「なんで言われたことをきちんとできないの?」とか「ちゃんと言ったよね?」とか、「いつまでに仕上げるの?」という言葉が、部下的には、「無能だと言われている気がする」「追い詰められる」とのことでした。

理路整然と指示を出していると自分自身では思っていただけにマネージャーとしての自信をなくしています。

ただ、子供たちを叱る私の様子を見た自分の母親からは、「あなたの言葉は、逃げ道をふさぐ叱り方だから直した方がいい」と言われたことがあるので、確かに思い当たるフシはあります。

とはいえ、打開策も見つからず、自信を失ったまま働いています。

世の中の管理職は、どうやって部下に指示や注意をしているのでしょうか?何かヒントを頂ければ幸いです。(群馬県・39歳、男性)

久米さんからの回答

不本意かもしれませんが、厳しいティーチングから、優しいコーチングにシフトしましょう

お気持ちわかります。おそらくご自身からしたら、そんなに厳しく注意しているつもりはないのですよね。それに、若い頃は、上司や先輩から同じように指導されながらも、それを乗り越えて今があるのだと思います。

しかしながら、世はハラスメント過敏時代。そして、若者たちは怒られ慣れていないビクビク世代。アラフォー以上の私たちが耐えてきた辛い下積み時代とは、まったく違う時代になったと、まずは割り切りましょう。

ついつい「私が若い頃は、先輩から…」と言いたくもなりますが、グッとガマンです。

私も新大学では、必修科目を担当することになったので、出席しない、課題を出さない学生に手を焼いております。しかし、残念ながら、厳しく言ったところで事態は変わらないことに気づきました。

そこで、厳しいティーチングから、優しいコーチングにシフトすることにしました。

1.当たり前のことでもしてくれたら「ありがとう」

まずは「ありがとう」という魔法の言葉を使いましょう。

それも、頼んでいた仕事をやっただけという当たり前のことでも「ありがとう」と言ってみるのです。

さらに大切なことは、期限内にやったけれど不備がある仕事でも、まずは「期限内にやってくれてありがとう」と感謝することです。

「期限内に提出したのはいいけれど、これじゃあね」と言いたいところをグッとこらえるのです。

2.どんなことでも良いのでまず「褒める」

「ありがとう」と言った後で、不備な点や間違いをすぐに正したいところですが、その前に、まず褒めてみましょう。

褒めるところを探すのは最初は難しいのですが、慣れれば、どんなことでも褒められるようになるものです。

字がうまいとか、言葉遣いがていねいだとか。あるいは元気がイイとか、あいさつが気持ち良いとか。

たとえ完璧でなくとも、褒めれば、それより悪くはなりませんし、もっと褒められようと思うようになるはずです。

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3.Yes But法で、改善して欲しい点について質問する

「ありがとう」と切り出し、良い点を見つけて「褒め」た後、はじめて改善して欲しい点を告げましょう。

その時、おそらくは「こうすれば良いのに」とアドバイスしたくなることでしょう。しかし、ここでも、じっとこらえましょう。

「ここは、もっと〇○した方がいいと思うけれど、君ならどうする?どうしたい?」

アドバイスの代わりに質問をしてみるのです。

4.その回答が不十分でも、任せてやらせてみる

おそらくその回答は、ご自身のアイディアより劣っていることでしょう。それでも致命的なリスクや、コンプライアンス上の問題が無ければ、思い切ってそのまま任せてやらせてみてはいかがでしょう。

「なるほど。面白いアイディアだね。それでやってみようか」

たとえご自身のアイディアが100点だとしても、部下が本気で取り組まなければ40点の成果しか上がらないかもしれません。一方、60点のアイディアでも、部下本人が言い出したことゆえ全力で取り組めば60点の成果が出る可能性もあるからです。

5.失敗しても怒らないで尻ぬぐい。反省点を考えさせ、励まし、再チャレンジを

とは言え、任せてみたら失敗するケースも多いでしょう。その時に、あえて怒らないで、黙って尻ぬぐいをすることで、大きな器を見せてあげましょう。

「最初は失敗することもあるさ。どうしたら次はうまくいくと思う?」

そこで、答えが思いつかないで逆に尋ねてきた時に、初めてヒントを出すぐらいでちょうどいいでしょう。

6.成功したら「褒めて褒める」

部下自身のアイディアで成果を上げたら、もちろん大いに褒めましょう。

「おめでとう。アイディアが生きたね。君に任せて良かったよ」

最近の若い世代は、怒られることにも慣れていませんが、褒められることも少なく自己肯定感が低いのです。褒められる時には大いに褒めてみましょう。

7.もう少し高い目標に挑戦してみたいか尋ねる

褒めて、本人も気をよくしたところで、次なる目標を目指せるよう導くことが大切です。

「この前は成果を収めて素晴らしかったね。嬉しかったよ」

「次は、もう少し難しい仕事にチャレンジしてみたらどうかな」

もちろん、チャレンジしたいと言ってくれたら喜んで応援してください。

「そうか、頼もしいね。それでは、一緒に上を目指してみよう」

しかし、イマドキの若者は「まだ自信がありません」と固辞するかもしれません。

そんな時は、じっくり待つ ことにしましょう。

「わかった。チャレンジしたくなったら声をかけてくれ」

「君には期待しているので、私からお願いする時がくるだろう。その時はよろしく」

このやり方は、まどろっこしいし、甘やかしているように見えるかもしれません。

しかし、実のところ上司としてやるべきことは、ちょっとした意識転換をした上で、「ありがとう」「いいね」「やってみようか」といった常套句を繰り返し、質問でやる気を引き出すだけです。

こうした声掛けと質問で、今よりも部下と働いてくれて、人間関係も良好になるなら、お安い御用ではありませんか。

試してみれば体感されると思いますが、叱るのにはエネルギーが要りますし反発も受けますが、褒めるのは楽で反応も良好なので精神衛生上もイイのです。

とは言え、私も、新大学では学生たちの想定外のやる気の無さに驚き、半ば修行中の身であります。お互い意識を切り替えて「やさしいコーチング」で、ストレスなき上司業&指導者業に挑みましょう。

※ 大好評「オトナの放課後相談室」の他にも久米さんのコラム、さらに「毎月のお題」やなんでも歓迎「フツーのおたよりコーナー」に寄せられた読者の声に対する久米さんのお返事等々、圧倒的ボリュームでお届けする「読者参加型サロン」的メルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』は初月無料! ぜひこの機会にお申込いただき無料サンプルをご覧ください。

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image by: Shutterstock.com

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1963年東京墨田区出身。87年慶応大経済卒。イマジニア新卒一期で飛込営業と株式投資ゲーム開発。88年日興證券でAI相続診断システム開発研修統括。91年家業の国産Tシャツメーカー久米繊維工業入社。94年三代目社長就任(現相談役)。97年日経インターネットアワード、05年経産省IT経営百選、09年東商勇気ある経営大賞等受賞。10年APEC中小企業サミット日本代表。20年開学の新大学iUでは起業家教育・地域創生担当教授。明治大、多摩大の授業や企業団体研修に即した25万部超の「すぐやる技術」シリーズ等著書15冊。内外情勢調査会等で毎年数千人に講師。東京商工会議所墨田支部副会長、墨田区観光協会理事、墨田区文化振興財団 評議員として地元振興。新日本フィルハーモニー交響楽団・NBS日本舞台芸術振興会・日本吟剣詩舞振興会 各評議員として文化芸術振興。

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